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技術で勝って、商売で負けていませんか?

ピケティ理論の実像

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recession2.jpg仏経済学者であるトマ・ピケティブームが巻き起こっていることは周知のとおりです。

同氏の著した「21世紀の資本」は、読み応えのある分厚い書籍ですが、世界的なベストセラーとなり、この手の分野の書物としては異例のことです。

もちろんこれだけのボリュームのある書物なので、書いてあることは過去の統計数値などを忠実に参考にしながら、よく知られることになった、資本収益率が経済成長率を上回ることによって、富の格差が生じていく、という定理に結びつけていくのです。


ところが、欧米には当てはまる格差拡大の事象が、我が国では当てはまらない、という考え方が国内の有識者より多く出されるようになって、彼の論理の評価は小康状態を保っているのです。

そこで今回は、より日本に親和性の高い分析をしている、評価の高い有識者の意見をご紹介したいと思います。筆者もこの意見には非常に説得力を感じています。

ピーター・タスカ氏(アーカス投資顧問株式会社)
「近年、アメリカでは最高所得層の収入が激増する一方、庶民の所得は微増にとどまっている。日本では、高額所得層の所得が微増にとどまる一方、最低所得層の所得は大幅に落ち込んだ。」

「要するに日本の格差問題は長期に及んだ経済停滞とデフレの副産物なのだ。この間に増えたものといえば、100円ショップに非正規労働者、そして引きこもりの草食系男子くらいだ。」Newsweekより

いかがでしょうか、反論できない分析だと思います。

同じ先進国でも、我が国の場合はITやインターネットなどの影響によって、欧米ほど大きな所得の格差は生み出されていないのです。

ピーター・タスカ氏の指摘する内容に繋がっていく訳ですが、他の理由としてどうして日本には欧米なみの格差が生じていないのでしょうか?

筆者の見立てでは、日本人が平均的に受けてきた教育レベルの高さがあると考えます。

つまり、いくら最先端のハイテクが登場して職場に導入されたとしても、教育レベルの高さが防波堤になって、職を失うことがない傾向にあるのだということです。

もちろんその過程では、担当する仕事の内容に変化が生じるかもしれませんが、コンピューターやロボットにはできないより人間らしい、かつ高度なスキルを要する仕事に巧みに移転していくことができる、という優秀さを身につけているのです。

従って、今後も欧米諸国ほどの極端な所得の格差は生じない、といえるのかもしれません。


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