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GoogleのテレビCMを見て考えた

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お気づきの方も多いと思いますが、最近GoogleがテレビCMを流してますね。

最初にちらっとあのカラフルなロゴをテレビで見た時は、「Googleもとうとう切羽詰ってテレビCMか」、と思いました。もともと、テレビCMのようなマスマーケティングに対するアンチテーゼ的な立ち位置に、ターゲットに絞って課金する検索連動型広告とコンテンツ連動型広告があり、ご存知のとおり、あの巨大Googleは99%を広告費で稼ぎ出しているわけですよね。そんなインターネット界の巨大広告会社Googleが、自らテレビCMを出しているのに非常な違和感を感じたのです。

もちろんGoogleとしては、「検索という入り口のサイトと、ユーザーが求めているコンテンツのあるウェブサイトとでは違う」、ということはできますし、「よりGoogleの利用者が増えればGoogleに出稿している広告主にもメリットがある」、という反論もできるでしょう。

しかし、なぜ今までやらなかったテレビCMを今のタイミングで急に始めたのか、やっぱり万年シェア2位の打開策を探っているのか、ちょっと個人的に気になりました。

テレビCMですが、最近はテレビ自体もあまり見なくなりましたが、特定の番組をHD録画で見るようになるとますますCMを見なくなりましたね。また、ライブで見ていてもCMが始まると他チャンネルにちょこちょこ変えるというのは誰しもが経験のあることでしょう。後は「ながら見」。パソコンを打ちながらテレビをつけて音だけ聞く。

そんな中、最近しょっちゅう目にするのが、携帯ゲームのGREEのCM。あの大量の出稿量に「儲かってるな」と思うとともに、GREEがコアターゲットとしている中高生にどれほど届いているのだろう、と疑問に思いました。

そこで思いついたのは「中高生」「携帯」ということ。

GREEのCMは携帯に特化していますよね。まさに、中高生などはテレビを見ている最中にもその手には携帯があって、テレビの画面と携帯の画面を行ったり来たりして「ながら見」しているのではないでしょうか。そうすると、すぐ手の中にあるものなので、そのままGREEのサイトに行きやすい。これはまさにテレビCMのメッセージがそのまますぐ行動に移される可能性が高い、ということです。私が最初ピンとこなかったのは、私はGREEのターゲットではなく、GREEのCMを目にした時の私の手には携帯は握られていなかったからなのだと思います。

一方、「パソコンで○○と検索してね」という類のCMでは、その時PCを開いていたのでない限り、一からパソコンを立ち上げて、FireFoxなりIEなりをブラウザを立ち上げて、それから検索サイトに文字を打ち込んで、といくまでにかなりのステップがあります。そうすると、CMを契機としてじゃあすぐにアクセス、というところまでには強い動機付けが必要になりますし、実際問題、私はCMを見てPCを立ち上げようと思ったことはありません。

なるほど、と思ったところで、最初のGoogleに戻りますが、GoogleのCMもよく見ると、そのほとんどは携帯サイトが使用されています。

携帯サイトはインターネットと違って特定のお目当てのサイトに直接行く(トップメニュー、QRコード、キャンペーン用のURLを打ち込んだりなどして)ので、新しいサイトを実際にユーザーに認知してもらうのは携帯以外からアプローチしないと難しいかと思います。

と、そういう見方をすると、GoogleのテレビCMには一定の理があるようにも見えてきました。また、PCなんていらない、携帯で十分、というわが国のデジタルネイティブ達に対して、Googleも携帯サイトに力を入れて、携帯界での覇権争いに本気を出してきた、ということかもしれません。

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