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【著者に訊く】「これだけ!プレゼンの本質」野村尚義氏インタビュー 2/2

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こんにちは。今回もお読みいただきありがとうございます。

  

前回に引き続き、「これだけ!プレゼンの本質」の著者である野村尚義さんへのインタビューを掲載しています。

 

プレゼンのトレーニング法を考える 

 

眞山:この本の中に、色々な事例が出ていますよね?例えばキッチンタイマーの価値を考えていくとか。こういう題材ってどうやって見つけてきたんですか?

 

野村:あー、これはね・・・たまたま目の前にあったんですよ(笑)

  

眞山:まぁ、目の前にあったキッチンタイマーだって誰かが必要だから、買うんですもんね。その目の前のものの「価値」を考えていくのって、良いトレーニングになりますよね?

 

野村:そうですね。本書にある「機能」「効用」「未来」の3つの価値についても、読むのは簡単ですが、自分で考えるのはやっぱり大変なんです。だからぜひトレーニングをしてみて欲しいですね。

 

眞山:トレーニングというと、本書で頻繁に「まねる」というキーワードが出てきますよね。やはり、他の方のプレゼンを見て、まねることが大事だと?

 

野村:そうですね、とても大事だと思います。その際、ぜひ「自分に近いプレゼン」と「遠いプレゼン」を見て、聞いて欲しいです。

 

眞山:「近い」と「遠い」ですか。

 

野村:そうです。近いプレゼンと言うのは文字通り、自分が日頃やっている内容に近いプレゼン。たとえば、職場にいるうまい先輩のセールストークを真似るとかですね。これであれば、プレゼンするテーマや受け手が近いので、具体的な手法や言い回しを盗むことができますよね?もちろん、法とモラルに触れない限りの話です。ただ、近いプレゼンは題材が限られることが多いです。身近なところにスーパープレゼンターが数多くいない場合のほうが多いでしょう。

 

逆に、遠いプレゼンは自分の日頃とはあまり関連はしないけど、プレゼントしての完成度が高いものがたくさんある。たとえば、ジョブズやオバマ、他にもテレビの世界にはプレゼン上手がたくさんいます。こういう対象からは具体的にトークスクリプトレベルで盗むことはできませんが、語る言葉の裏側にある戦略を真似ることはできます。どういう発想から、その言葉に到ったのかを想像することはできますよね。あとは、やはり本物の雰囲気に触れるということでとても良い影響があると思うんです。ちょうど、芸術の勉強をしている人がイタリアに行くのと同じような感じかもしれません。そういう空気に触れるだけでも刺激になると言うか・・・。

 

眞山:そういう「空気」に触れた経験を、野村さんもお持ちなんですか?

 

野村:ええ、大学時代の合気道部の先輩たちのトークのレベルが非常に高かったんです。逆に自分は、話せないことにもの凄くコンプレックスを抱いていたし、その都度先輩から厳しいフィードバックをもらい続けていたんです。あの時の経験が今の糧になっていると思います。でも別に、何かを意識して先輩たちの話を聞いていたわけではないんですよ。それでも、知らず知らずに鍛えられていたんです。

 

バラエティ番組は格好の題材になる

  

眞山:なるほど・・・プレゼンもそういう環境が必要だと。

 

野村:そうですね。講演とかプレゼンの音声だけでもできるだけ沢山聞くと良いです。あ、ちなみに、聞くなら日本語のプレゼンを聞いたほうが良いと思いますよ。どうしても英語のプレゼンを訊くと英語の勉強になってしまうので。

 

眞山:日本語のプレゼン、となると勉強の題材としてはどういったものがあるんですか?海外ではTEDなどのサイトがありますが...。

 

野村:楽に、楽しくやるのであれば、バラエティ番組です。「すべらない話」とか、ああいうので良いんです。やはりテレビの世界はプレゼンが上手い人が多い。その中で、トークなどの双方向ではない、まとまった長さのスピーチをやっている番組となると、「すべらない話」じゃないかな、と。DVDも出ているのでいつでも見ることができますしね。

 

眞山:まずは身近なものを題材にするということですね。

 

野村:もっとビジネスっぽいものなら、やはり講演CDを聴く。例えば「日本経営合理化協会」では沢山のCDが出ています。

 

眞山:なるほど、でも・・・講演CDとかって「ハズレ」があったりしません?そういう場合にも反面教師的に学ぶことが大事だと?

 

野村:そうですね。本書で紹介したフレームワークに当てはめて、どこを改善したら良いか?というところを考えるのは凄く良いことだと思います。もちろん、良いところが見つかったら盗む。そういう見極めができる人は成長できますよね。

 

 

 

プレゼンは、プレゼントだ

  

眞山:ちなみに私、本書の最後のほうに書いてある「プレゼンの語源は、プレゼント」という言葉が凄く気になっていて・・・。

 

野村:そう、それが本当に一番伝えたいことです。プレゼンのレベルを上げたい人の中には、自分にフォーカスが向いてしまっているケースがたまにあるんです。それって、GIVE&TAKEの「TAKE」の世界になってしまうんですよ。プレゼンで成果を出したいとか、かっこよくなりたいとか・・・。そうじゃなくて、「GIVE」を考えていく。すなわちプレゼントですよね。そうなると、やはり大事なのは、コンセプトとかシナリオを磨いていくこと。相手にとってどんな価値があるか、相手にどう感じて欲しいかを突き詰めるということです。

 

眞山:確かにプレゼントをするときは、相手が欲しいものとか、喜んでもらうためのシチュエーションとかを考えますよね。

 

野村:そう、そういうことです。

 

眞山:私が本を手にとって最初に感じた「これって、プレゼンの本なの?」という疑問は、そもそもその観点が抜けていたのかもしれません。今日は勉強になる話をたくさんしていただき、ありがとうございました。

 

野村:ありがとうございました。

 

 

【インタビューを終えて】

プレゼンテーションをはじめ、ビジネススキルを磨くための本を「ノウハウ本」と言ったり「ハウツー本」と言ったりすることがある。ハウツーは英語でつづればHow to ~である。「~」の部分に何を入れるか。このインタビューに臨むまで、筆者の答えは「do」であった。つまり、いかにして上手くこなすか、といった観点である。

 

しかし、野村さんならこの問いに、「How to do」ではなく、「How to be」と答えるのではないかと思う。表面的な手法で何かを解決するのではなく、自分のあり方を変える。プレゼンテーションで言うのであれば、自分本位の目線を、いかに聞き手に向けていくかということだ。野村さんの語り口には、終始そんな意思が感じ取れた。

 

そんな野村さんが書いた本書は、「プレゼンの本質」という書名に恥じない、強い芯のある本である。ぜひ、本書を手に取っていただきたい。

 

 

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