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カフェで買うコーヒーとコンビニで買うコーヒーは何が違うの?(1/2)

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こんにちは、今回もお読みいただきありがとうございます。


ちょっと前まで、カフェインなどの刺激物を控えていたのですが、最近はどうしても眠いときなどにはコーヒーを飲むようになりました。

コンビニで売られているコーヒー類も、ずいぶんと種類が増えていますね。中には有名喫茶店のロゴなどが銘打たれたものもあります。

例えば、これです。
タリーズ バリスタズ ブラック」(リンク先は商品サイトです)


コーヒーの味の違いはあまり分からない私ですが、何となく、美味しい感じがします。コンビニでは130円で売っているし、値ごろ感もちょうどいいなぁ、と思うのです。

でも、ふと思ったことがあります。

「これって、タリーズの路面店でアイスコーヒーをテイクアウトするのと、何が違うんだろうか?」

タリーズで水出しアイスコーヒーのショートサイズを頼むと、値段は340円します。そして、くどいようですが、私にはコーヒーの味の違いは分かりません。どちらも同じように美味しく感じます。それでも、値段がこんなに違う。いったい、どうしてだろうか?と。自分が味オンチなだけで、実は全然品質の違うコーヒーなのか?それとも、コーヒーの品質と違うところで差がついているのか?今回はこの「コーヒー」にまつわる話をしたいと思います。

※この記事のうち意見に関する部分は筆者の私見であり、筆者の所属する組織その他の個人・団体の公式見解ではありません。


さて、130円と、340円。これらの価格には、実は「2つの意味」があります。


  • 「供給」側の意味・・・コストを回収するための金額
    供給側は、作り手、今回の場合はタリーズにとっての価格です。タリーズの裏側を存じませんので想像の域を出ませんが、おそらく「いくらで売るか?」という価格決定のプロセスを経て決まった数字だろうと思われます。
  • 「需要」側の意味・・・購入の対価としての合意金額
    需要側というのは、買い手、つまり私たち消費者にとっての価格です。「対価としての合意金額」と書くとややこしいですが、要するに「そのアイテムを買いたければその金額を払うこと」、裏を返せば「その金額を払いたくなければそのアイテムが買えないこと」になっている金額、ということです。


今回も2回に分けて、まずは供給側にとっての価格の意味合いを検討してみましょう。


タリーズは言うまでもなく、「コーヒーを淹れて、飲んでもらう」ことで、利益を上げることを商売としています。利益を上げるというのは、原価を上回る収益を上げることで達成されますから、価格を決める際には、「原価をいかに回収するか?」という観点が必ず加わってきます。では、この原価。どのようなものがあるでしょうか。

原価の分け方は色々あるのですが、ここでは分かりやすく、3つに分けて考えます。
  • 「コーヒーが出来上がるまで」の製造コスト
  • 「コーヒーが出来上がってから、私達の手に届くまで」の販売コスト
  • その他のコスト

路面店で売られるコーヒーの場合はどうなるでしょうか。
  1. 製造コスト
    まずコーヒー豆を仕入れます。そして工場でコーヒー豆を焙煎し、コーヒーを作ります。そこで材料費や製造のための設備に関するコスト、人件費などがかかります。今回はアイスコーヒーなので材料はシンプルですが、それ以外のコーヒーの場合は乳製品やシロップなど、材料の種類も少し増えてきます。

  2. 販売コスト
    コーヒーが各店舗に運ばれます。その店舗はタリーズが賃借しているものですから、テナント料が当然かかっています。店内で働いているバリスタの方々の人件費もかかるし、水道光熱費だって馬鹿になりません。いっぽう、広告宣伝費は路面店の場合はあまりかからないだろうと思います。

  3. その他のコスト
    本社で働いている人のコストやそのオフィスの賃借料などがあります。

さて、それぞれのコストはいったいどれくらいなのでしょうか。コーヒーショップをチェーン展開している競合他社の数字などを総合してみると、上に挙げた3つのコストの売上に対する比率は概ね以下の通りです。
・製造コスト・・・25%くらい
・販売コスト・・・55%くらい
・その他コスト・・・10%くらい
このデータによれば、340円のアイスコーヒーの一杯あたり製造コストは85円程度ということになります。



いっぽうで、コンビニ等で売られているアイスコーヒーはどうでしょうか。

  1. 製造コスト
    コーヒー豆の品質等は分かりませんが、作り方は同じだと仮定します。

  2. 販売コスト
    コーヒーはボトリング、箱詰めされて小売店に運ばれます。タリーズとしてはその時点で売上が立つので、コンビニの賃借料や人件費などは考慮する必要がありません。その代わり、コンビニ等で販売するためには消費者に興味を持ってもらう必要があるので、TVCMなどの広告宣伝費が必要となります。

  3. その他のコスト
    本社で働いている人のコストやそのオフィスの賃借料などは路面店の場合と同様に負担することになります。

タリーズ単体の数字は公表されていませんので、同業他社を数社ピックアップしておおよその数字をとると、コスト構造はこうなります。
・製造コスト・・・50%くらい
・販売コスト・・・35~40%くらい
・その他コスト・・・5%くらい
このデータによれば、130円の「タリーズ バリスタズ ブラック」は、一本あたりの製造コストが65円くらい、ということになります。

扱っているコーヒーはブラックだけでなく沢山の種類がありますので一概には言えませんが、もしかしたら、130円のコーヒーは340円のアイスコーヒーに比べるとやや安い原材料を使っている・・・かも知れません。しかし製造コストの85円、65円という差は、340円と130円という小売価格の差を考えると、あまり大きなものではないのでは?という気もします。どちらかとうと、路面店を展開する場合に生じる店舗運営のコストが、340円という価格に強いインパクトを与えていることが分かります。


以上が供給側の「価格」の違いです。非常に興味深いのが、ここまで紹介した数字を見ても「それでも私は340円のコーヒーを買う!」と考える人が沢山いる、ということです。味が分からない(しつこい?)私も、340円のコーヒーをわざわざ買うことがあります。だとしたら、私達はいったい、何にお金を払っているのか?

次回は需要側、つまり私達からみた価格の違いを考えてみたいと思います。
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