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ブログ書き始めて7年ほどたちました、あるいは読まれ方が変わった話

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ブログのPV(アクセス数)を気にせずに好きなことを書く主義で7年やってきた。今日、めちゃ久しぶりにPVレポート見たら、昔よりかなり増えていた。

2011年からやっているブログをPV観点で見ると、3期に分かれている。

【バズり期:2011~2013】
週一ペースでコツコツ書き始めたが、半年ほどした頃に、4つくらいの記事がSNS経由で爆発的に読まれた。僕の記事は「プロジェクトマジック」というタイトル通り、変革プロジェクトにまつわる色々なのだが、バズる記事は当然ながらもう少しターゲットが広い記事であって、まあ、自分としては余興として書いたもの。なので、嬉しいかと言うと微妙だった。
例えば、こんな記事。

あなたの作ったものはゴミである、あるいはプロとアマの分岐点
6×8は正解でも8×6はバッテン?あるいは算数のガラパゴス性

この頃のPV記録は残ってないが、多分1記事で30万PVとかもあったと思う。この時代はブログという文化自体も盛んだったし、掲載している「オルタナティブブログ」というコミュニティも勢いがあり、それに助けられた部分も大きい。



【コツコツ期:2014~2016】
たまに本を書きまくる時期の停滞はあれども、一応1本/2週くらいのペースでは書いていた。この頃書いた記事は個人的には好きで、3冊目「ITをエンジニアに任せるな」や4冊目「リーダーが育つ」の骨格になった記事も多い。本にもいくつかの記事を転載した。
とはいえバズることもなく、大体12000PV/月という、中堅ブログ的な読まれ方。
この頃世の中ではブログでアフリエイトでうはうは、みたいな質の低い記事が大量生産されたりしていた。一方でそれらに比べると自分の記事の質は良いと思っていたので、「なんだかな」という気もあったが、一方で徹底的にPVは気にしない立場で書いていたので、「オレはオレ」という気分でもあった。
例えば、こんな記事。

情報システム部門はなぜ子会社化されたままなのか?あるいは子会社に切り出す意味について考えてみる

国立競技場で学ぶヤバイプロジェクトの作り方、あるいはプロジェクトを立ち上げることの困難性

研修メニューが充実しているからって人材育成に熱心だと思わない方がいい、あるいはコアスキルを鍛えるために一番有効な施策

【回遊期?:2017~現在】
基本的にスタンスは変えずに気が向くと書いている。本を書いている時期以外は2週か3週に1回更新くらいか。
2018年は4冊目の本がかなり大変だったので、半年くらい記事は書いていなかった。ので、PVとかさぞかし落ちているかと思いきや、大体2.3万PV/月くらいで安定している。もはや僕のブログは、新ネタを投入してもしなくてもPVがあんまり変化しないブログの様だ。
おそらくは、「セミナーや本で白川のコンテンツに触れる⇒ブログも覗いてみる⇒200本以上あるので、昔の記事を読む」という感じの読者が一定数いてくれるのだろう。リアルでお会いする方に「ブログ読んでます」と声をかけていただくケースも増えた。
地味だが熱心な読者層が(インビジブルな感じではあるが)存在しているらしい。
それから、たぶんGoogle流入がずいぶん増えた。いくつかの定番検索テーマで検索順位が上位の記事があるらしい。こういうのも、新規記事を投稿しようがしまいが、淡々と読まれていく。

たとえばこれ。「PM PL 違い」とかで検索すると3位くらいにこの記事が来る。

プロジェクトリーダーとプロジェクトマネージャーの違い、あるいは会社にとって死活的に大事なのはどちらか?

なぜマイクロマネジメントは効果がないだけでなく害なのか?あるいは新米管理者が陥りがちな罠


★新しくないことの価値
はっきり言って、僕のブログ記事は最先端的な要素は全くない。最新iPhoneレポートとかマイクロサービスがどうとかsaasの利点とかAIの話題とかもない。もちろん仕事がら、そういう新しいことに触れてはいるのだが、新技術についての僕のスタンスは「業務に役に立ちそうなら、普通に使う」「新技術の内容よりも、むしろ新技術をビジネスに活かすことが難しいので、そここそが僕らの力の発揮どころ」という冷めたもの。そしてもちろんバズワードが嫌い。
それは「最新情報をカジュアルに広める」という2010年くらいのブログ隆盛の文脈からすると亜流な立ち位置なのだが、結果として、僕のブログ記事は「5年後に読んでもあまり古くない」というものになっている。多分10年後に読んでもあまり古くない。


★ブログを書いていて役に立ったか?
ブログがビジネスに役に立っているかというと微妙である。ブログを書き始めた時の妄想として「人気ブログになる⇒自分や会社の知名度アップ⇒マーケティングが楽々になり、本もバカ売れ」と考えていたが、実際には全く実現していない。妄想でしかなかった。いまだに「ブログでケンブリッジを知り、中途面接に来ました」という人は僅かだ。

だが、少なくとも僕が本を書く上では役に立っている。僕はワインバーグ師匠の弟子として「コンサルティングの現場⇒トレーニング⇒本」というルートで自分の知見をまとめるルートを持っているが、それとは別に「Twitter⇒ブログ⇒本」というルートもある。
全く別々な話に思えた、2つツイート、2つのブログ記事のネタが、1冊の本を書いている際に合体するのに気づくことがある。これは、一種のライティング・ハイだ。これだけでもブログを書く価値がある。


★ネタはあれども・・
日々「こういう切り口でブログに書こう!」というネタをiPhoneのメモ帳に溜めていて、たぶん今50個くらいはある。
だが僕は3つくらいのネタを組み合わせてブログ1本を書いている。例えばさっき紹介したマイクロマネジメントについて書いた記事は、
1)ホチキスの位置にうるさかった昔の上司
2)パソコン打ちながら人の話を聞く後輩にキレてた同僚
3)趣味の世界でダメダメだったのでマイクロマネジメントされた経験

の3つからなっている。前二つはそのうち書くかも、と思ってメモをしていたのだが、一つだと弱いんだよね。3つをマイクロマネジメントという統一テーマでまとめようと思いつくと、はじめて書く気になる。
理由はこの記事に書いた。

「点をつなぐ」のに必要な力、あるいは企画や提案を思い付く力

一つの記事に色々詰め込むと長くなったり、更新頻度が落ちたり、分かりにくくなるなど、明確な欠点がある。だが、僕はワインバーグ師匠の弟子なのでつい組み合わせたくなる。結果として詰め込んだ記事になる。

という訳で、これからも「いくつかのアイディアのかけらがうまく組み合わさった」かつ「時間とやる気がある」の条件が揃った時はブログを書こうと思う。

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