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2ch流出事件に思うこと、あるいは15年前に最低のクソ野郎だった話

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匿名掲示板のはずの2chで、書き込みと名前が紐付けられる流出事故があり、「人生オワタ」と思っている人がたくさんいるらしい。
 
僕は2chの世界には疎いけれど、「あの人が、匿名の世界ではあんなことやこんなことを書き込みしていたとは・・」というのは、組み合わせによっては、おもしろおかしいニュースになるだろう。
暇な人がバリバリ調査しているだろうから、しばらくは戦々恐々でしょうね。
 
ただ、僕は今回のことについて、あんまり他人事とは思えない。「ざまみろ」とか「バーカ」とかは思えない。2chに書き込んだことはないが、15年程前に、手酷い失敗をしたことがあるからだ。
 
 
 
そのころ、僕はあるプロジェクトに2次請けのSEとして参加していた。結構いい仕事もしていて、お客さんである1次請けのSEさん達からも信頼してもらっていた。
そのプロジェクトでは簡易チャットツールみたいなものをみんなが使っていて、ちょっとした仕事の連絡とか、深夜の無駄話とかに便利に使っていた。
事故は客先の環境にも、チャットツールにも慣れた頃に起きた。
というよりも、僕が起こした。
 
 
一緒に常駐していた自分の会社のメンバー数人だけに送ったつもりのチャットを、「全員に送付」モードでツールを使っていた全員にばらまいてしまったのだ。
こともあろうに、
「あいつら、スキルないし、このシステムのこと全然分かってないから」
といった、お客さんメンバーを罵倒するような内容だった。
(きちんと覚えていないが、もう少し酷い内容だった気がする)
 
 
お客さん達は、絶対に気づいただろうが、スルーしてくれた。
少なくとも表面上は。
でも、僕は自分が本物のクソ人間であることを思い知り、戦慄した。
あれからずいぶん経つが、今でも想い出すと「うあああぁぁ」と声が出てしまう。
(さっきも書きながら出た)
 
 
大げさではなく、この事件は僕を変えた。
僕がはっきりと思い知ったのは、2つのことだ。
 
 
これからの人生においても、僕はこういう事件をちょくちょくやらかすだろう
 
 
だから、二度とこういう目に合わないためには、
「ウッカリ漏らさないように気をつける」ではダメで、
「こういう感情自体を持たない様にする」しかない
 
 
当時、僕は色々と鬱積していた。
少し仕事が出来るようになってきたが、会社からは疎んじられていたし、プロジェクトでも下請け仕事ばかりをやっていて、自分の能力を十分活かせない様に感じていた(2次請けとして参加しているのだから当然なのだが)。
 
そういう中で、自分の会社の人々も、お客さんも、尊敬できない状態で仕事を続けていた。プロジェクトで一緒に働いている人々、特にお客さんを馬鹿にするというのは、天に唾吐くようなことだ。
 
そんな状態で、長く仕事をするべきではない。もちろんお客さんに失礼だし、自分のためにもならない。
自分のネガティブな感情を押し殺すのではなく、そういう感情を持たなくて良いような働き方をしたい。
 
 
それから1年間、自分なりに心を入れ替え、本当にお客さんのため、プロジェクトのために力を尽くしたつもりだ。どんどんいい提案をして、自社だけでなく、プロジェクト全体の工数をずいぶん削減できた。そしてお客さんと約束した仕事をやりきってから、会社を辞めた。
 
辞めた理由は1つではないが、「お客さんと尊敬し合いながら、ガチで議論しながら仕事をしたい」というのは、大きな理由の1つだった。
 
 
今は一緒にプロジェクトをやっているお客さん達を好きだし、尊敬している。そう思えない人々とは仕事をしない事にしている。
本当にラッキーだと思うし、ありがたいことだ。
 
 
 
2chの流出事件のことを聞いて思ったのは、
「悪口や、悪口を言いたくなるようなネガティブな感情は、決して隠し通せない。いつかは表にでる。
15年前の僕の様な感情を味わいたくなかったら、いかに表に出さないか、ではなく、そもそも周りの人を尊敬・尊重しながら生きていくのが一番、手っ取り早い」
ということだ。
 
 
目指しさえすれば、それほど難しくない。
単なる気の持ちようだろうし。
 
 
 
【参考過去記事】
 
 
 
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週末に、最終ゲラチェックをした。最終なのに30個くらいNG箇所があって死ねた。
そして編集さんにバトンタッチし、ついに僕の手から離れた。
 
よく「本を作るのにどれくらい時間がかかるのですか?」と質問される。僕の場合、一番時間がかかるのが企画段階だ。目次案やターゲットを決める作業。それらが事前に一発で決まる訳ではないので、本文を書き散らしながら煮詰めていく。
たいてい最初の頃に書いた本文は後で捨てることになるが、それは企画を固めるための重要な捨て石である。
 
ようやく企画が固まれば、執筆自体はそれほどかからない。本業があるのでそれでも3,4ヶ月はかかるが、実際に書いている時間は20日間ほどだろうか。
 
そして、その後に延々と推敲する。編集さんに渡す前にも推敲するし、ゲラがあがってきてからも直す。今回は図表が多かったのでさらに直しが多かった。
 
そうして最終ゲラを入稿してしまえば、その後の印刷や製本はプロがガーッとやってくれるので速い。2,3週間だろうか。
配本は9/20。楽しみだ。
 
 
http://goo.gl/rKYHig
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