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あるいはファシリテーションが得意なコンサルタントによるノウハウとか失敗とか教訓とか

15分以上話を聞いて質問を一つもしないのなら、あなたは大きな問題を抱えているんじゃないかという話、あるいは行動のために理解すること

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誰かの話を聞く機会は多い。
会議とかトレーニングとか朝礼とか新しい業務の説明会とか。まあ、何にせよ、それを聞きながら何の疑問も浮かばないのって、おかしいと思ったほうがいい。
 
というか、ほとんどの場合は「まじめに聞いていない」というだけの話だ。人の話を聞いて質問が浮かばないなら、自分がまじめに聞いていない証拠と考えたほうがいい。
 
話している誰かは、自分とは違う脳みそを持っている。当然、僕が知らない事を知っているし、同じ事を違って捉えていたりする。
 
その人が言っている事を真面目に聞くということは、
・具体的なことに変換して聞く
・身近なことや自分のことに引き寄せて聞く
・吟味しながら聞く
みたいなことを、一言一言、ずーっとやり続けるということだ。
 
社長が朝礼で「現場に行くとビジネスの匂いがする」と言ったのなら、「それって細かい改善案を拾ってくるということか?」「社長だから意味がある話なのか?自分でも現場でビジネスのタネを見つけられるものか?」などと考える。
 
開発会議で「ユーザーは口を揃えて、この機能があったほうがいいと言っています」と主張するのを聞いたなら、「そこでいうユーザーって誰のことだろう?僕が知っているAさんやBさんは不要!と切って捨てそうだな」などと考える。
 
違う言葉で言えば、「誰かがしゃべっている内容と自分の頭の中身(知識や経験や思い込み)を照らし合わせ、差分をチェックし続ける」と言ってもいい。
 
 
なぜそういうチェックが必要なのか?
「今聞いている事を、自分の脳みそのどの棚に入れればいいのか?」を判断するためだ。自分の脳みその棚にうまく収まれば、いざという時に取り出しやすい。
そういうチェックをせずに聞いていても、これまでの知識と無関係の情報に過ぎないから、脳みその棚にはうまく入らない。だから耳から耳にスルーする。
せっかく良い話をしてくれても行動に反映されない。説明されたことを土台に仕事ができない。会議で建設的な意見も言えない。
 
 
さて。
チェックしながら聞いていると、当然不整合というか、理解出来ない(脳みその棚にうまく収まらない)話もたくさん出てくる。
それは、しゃべっている人に質問することでしか解消できない。
 
話の前提がずれているのかもしれない。自分に知識がなくて理解できないのかもしれない。自分とは違った価値観を持った人なのかもしれない。
いずれにせよ、質問しなければ解消できない。
 
まとまった話を聞いて質問が浮かばないのであれば、たぶん真剣に話を聞いていないだけ、と書いたのはそういうことだ。もっとまじめに話を聞こうよ。
もし、まじめに聞く価値がないなら退席しよう。
 
 
 
僕は他の人よりも質問が多い方だと思うが、稀に、質問があまり思いつかない時がある。それは、自分では考えたことがなかったテーマについて聞いた時だ。
チェック対象が自分の脳みそにないから、「そういうものか」と受け入れるしかない。しかも素人にも分かりやすい説明をよどみなくされると、疑問も浮かばない。例えば池谷裕二さんという脳学者の本を読んでいるとそういう感じになる。
まあでも、日常生活、特に仕事ではめったにないよね。
 
 
逆の立場では、セミナーなり勉強会なり業務説明会なりで一生懸命話をして、質問が全く出ないと、本当にがっかりする。そして落ち込む。
自分の話が難しすぎて理解してもらえなかったか、つまらなすぎて聞く価値がないと思われてしまったか。どちらにせよ、「真剣に話を聞く」というモードにリードできなかった訳だから。
 
 
この記事をここまで読んでくれた人が、内容について疑問を持ってくれたらいいな、と思います。
 
 
 
 
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