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会議や研修で寝るのは寝るヤツが悪いのか?あるいは勝手に脳内対策会議

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新入社員研修のピークはそろそろ過ぎただろうか。製造業の場合は工場実習などをやっている頃か。ソフトウェア業界の場合だと研修が長いので、まだまだ真っ最中だろう。

春ということも手伝ってか、研修で偉い人の話を聞くのは眠いものだ。僕の同期の間では、講義中にシャーペンで太ももを刺すのが流行っていた。

先日笑ってしまったのは、ある会社の新入社員研修で
「あまりに寝るヤツが多いので、みんなで対策を考えろ」
という指示が出たという話。最近の新入社員は偉い人の目線に構わず、豪快に寝てしまったりするのだろうか。

他にも興味深かったことがある。
社会人になったばかり、つまりプロフェッショナルの入り口にたったはずなのに、寝ることまで集団責任かよ、という点が一つ。
そして、寝るのは寝るヤツが一方的に悪いのかよ、という点がもうひとつ。寝ないくらいエキサイティングな内容にする責任が、話し手側にはあると思うからだ。

高校の時、「授業はテレビじゃないから、勝手にチャンネルを変えるな!」といつも怒っている先生がいた。僕ら生徒がリモコンでチャンネルを変えるように、漫画を読んだり、別の教科の勉強をやっていたからだ。
(ちなみに僕は、その先生の授業は好きだったので大抵聞いていたが、他の半分以上の授業では他のことをしていた。つまりチャンネルを変えていたのだ。もちろん突っ伏して寝ていたことも多かった。)

教育という場では、この先生の持論は正論だと思う。その時は面白くなくても、学んでおいたほうがいいこともあるだろう。
正論だとは思いつつも、根本にあるのは「面白いと思えない」ことそのものだ。人間、面白くなければ寝る。先生や上司が怖くて「寝ていないふり」をしていても、頭が回ってなかったら、チャンネルを変えていることになる。

★会議で誰かが寝ていたらどうする?
自分が主催している会議で参加者が寝ていることはたまにあるし(少ない方だとは思うが)、セミナーでしゃべっていて、最前列のおじさんが寝ていることもちょくちょくある(これも少ない方だと思いたい)。

会議ファシリテーションの教科書にはたいてい、寝てしまう人に対する対処が書いてある。
・休憩を取る
・あえて名指しする
・飽きさせない様に、アイスブレーク(余興)をする
などなど。

だけど僕が採用する作戦はいつも決まっていて「放置」である。誰が寝ていようと、構わず会議を進める。
僕らは考え、決めるために会議を開催する。単なる報告や連絡のための会議はめったにしない(それなら、会議以外の方法で行ったほうが効率がいい)。
だとしたら「寝ないで起きていてもらう」なんて、ほとんど意味が無いと思うのだ。起きているかどうかじゃなくて「超考えてもらう」レベルまで覚醒していないなら、いてもいなくてもどっちにしろ同じようなものだ。

そして、会議が終わった後に反省する。
・参加者にとって、関心がある論点設定ではなかったのか?
・関心があるはずなのに、前提や論点を分かりやすく伝えられなかったのではないか?
・議論以外のおまけ(知的好奇心を満たすような何か)が不足していたのではないか?
・そもそも、意思決定にとって、重要ではない方のお時間を使ってしまったのではないか?(簡単に言えば、呼ばなきゃ良かった人がいたのでは?)
・そもそも、プロジェクトへの熱意レベルが低下気味なのではないか?

会議の主催者として、いくらでも工夫の余地はある。
それでも寝る人はいるけれども。

★自分自身が参加者の時は?
僕自身は、会社に入ってから一度も会議や研修、セミナーで寝たことはない。関心がないセミナーや、出ても貢献できなさそうな会議にはなるべく出ないようにしているから、「そこで話されていることに関心がない」ということはめったにないのが主な理由だ。
関心がある議題ならば、誰だって寝ない。

それでも、色々なしがらみや読み違いで「しまった・・」と思うことはもちろんある。そういう時は、「勝手に脳内対策会議」を開いている事が多い。

・会議で:今、報告していることは紙で配っておいて、それを受けての施策案をブレインストーミングしたら盛り上がるのに
・会議で:このテーマならこういうマトリクスがCoolだな
・セミナーで:この人の話はつまらないなぁ。もっとこういうエピソード入れればいいのに
・セミナーで:いいこと話しているのに、ストックフレーズ(お約束の言葉群)が多すぎるんだよなぁ。どうやったら自分の言葉で話せる様になるかな。
・研修で:これ、言葉で言っても絶対ピンと来ないから、こういうワークショップで実感してもらうのがいいんじゃないかな?

挙げればきりがないが、要は、「自分だったらこういう風にやるのに」の企画会議を一人で開催する。
内容そのものには関心がないとはいえ、場のファシリテーション力を上げる非常にいい訓練になるし、タイミングが合えば、1参加者の立場から「このテーマ、このチャートを使ってみんなで議論しませんか?」と、貢献もできる。

関心がないのに関心があるふりをしたり、寝ないようにすることに労力を投入するよりは、ずっと前向きだと思いません?

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