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師匠を持て、あるいは高橋メソッドの勧め

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★でかい字のプレゼン
高橋メソッドとは、一言で言うと「巨大な文字だけをつかってプレゼンのスライドを作る方法」である。
考案者の高橋征義さんが
Webサイトで解説もしているし、高橋メソッドを紹介するためのプレゼン資料(もちろん高橋メソッドで作られている)も公開されているので、分かりやすい。

僕は「プレゼンテーションzen」などの本で、高橋メソッドの存在は知っていた。けれども、実際に仕事で使うようになったきっかけは、「高橋メソッドの社内トレーニング」を受講してからだ。
そのときに「制限時間15分で、何かプレゼンを作ってみる」という演習をやった。時間に追われて作ったものなので恐縮だが、例としては適切なのでそのとき作ったスライドを公開しようと思う。

なお、高橋メソッドを使ってプレゼンするときは「スライドに書いてある文字をそのまま読み上げる」というのがお作法というか、標準的な使い方。
でも僕はちょっとアレンジして、書いてあること以外にもコメントすることにしている。各スライドの間のコメントは、スライドを見せながら僕がしゃべったことである。

★高橋メソッド演習プレゼン「師匠を持て」

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よく、「どうやったら速く成長できるのか?」が話題になる。ツイッターで議論することもあるし、人材管理システムのコンセプトとして語られることもある。

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世間で良く言われる「成長の方法論」とは、こんな感じ。

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目標と現状のギャップを認識して、そのギャップを1歩1歩埋めていけば、いつか目標に到達する、という考え方ですね。

でも、僕はそれに異を唱えたい。

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このギャップを1歩1歩埋める方法で、大きく成長した人っていないんじゃないか?というのが僕の仮説です。

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ギャップをコツコツ埋めるというのは、僕の成長の定義に合わないからです。

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さて、世間で良く言われる「成長の方法論」とは別に、伝統的な成長の方法論というものもあります。

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武道の世界であれ、ドイツの靴屋のマイスターであれ、伝統的な人材育成方法はこれしかありません。

しかし・・

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意味分からないんですよ。師匠のやっていること、言われることが。なぜなら、

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そうすると・・

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なぜ、追いつくのかは、分かりません。仮説としては、

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この人は僕の大学の先生です。僕はゼミの1期生で、ゼミに入ったときは今の僕よりずっと若かった。つまり先生としては駆け出しです。でも、

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「シラカワ君、自分の書いたものに満足してるだけなんじゃないの?」とか。そしてよく投げかけられたのが、

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これが師匠と弟子の関係であること。師事することで自分がずいぶん成長したことに気づいたのは、10年くらいたってからでした。

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この人はワインバーグさんです。ごく初期のソフトウェアエンジニアであり、コンサルタント。会ったことはないけれど、僕は仕事の4割を彼から教わったと思っています。その中でも2つ。

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ちなみにもう一人あげるならば、評論家?社会思想家?の内田樹です。例えばこの「師匠を持て」というのは、内田樹が言っていることのもろパクリです。
それどころか「これは師匠のパクリです」という論法自体も、内田樹のパクリです。

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★僕の仕事での使い方
さて、高橋メソッドの雰囲気はおわかり頂けただろうか。

高橋さん自身は、著書のなかで「まじめな仕事の場で使うのはハードル高い・・」と書いている。

でも僕はこの「師匠を持て」を作ったトレーニング以降、仕事でもよく使う。
ある時はセミナー(相手は数十人から数百人)で。ある時は大事なコンペ(相手は部課長レベル)で。プロジェクト続行の承認を得るために、大企業の役員会で使ったこともある。

僕が仕事で使うときに気を付けているのは、「ここぞ、というときだけ使う」こと。ずっとこの調子で話すと、ふざけていると思われても困るし。

巨大な字は、それだけで「おっ、何が始まる?」と、注目を集められる。プレゼンのリズムを変えることもできる。だから、「ココだけは聞いてね」という時に使うのだ。

重要な会議、偉い人が出ている会議こそ、プレゼン中に注目を集めることは大切になってくる。偉い人は忙しいのだから、しゃべる側が工夫しないと。
それに高齢の方も多いから、字が大きいのはそれだけで伝わりやすい。単純な話だ。

インパクトが強すぎて、最初はちょっと不安だと思いますが、まずは安全な所、多少は失敗しても笑ってすむような所で、試してみてください。

まとめ。
高橋メソッドはオススメ。師匠を持つこともオススメ。
今日はここまで。

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