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あるいはファシリテーションが得意なコンサルタントによるノウハウとか失敗とか教訓とか

ESを意識した社会貢献、あるいは僕らなりの復興ボランティア

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今回は、プロジェクトの話からちょっと離れて、社会貢献について。

★CSRってあんま好きな言葉じゃないんだよね
今時、こういうこと言うとバカかと思われるけど・・好きじゃないものはしょうがない。
CSRには大きく分けて、①企業が社会の一員としてまっとうに振る舞うこと、②本業以外で社会貢献しよう(こちらは誤用らしい)、という2つの意味がありそうだ。
①はごく当たり前のこと。それができていないからこういう言葉があるんだろうけど、わざわざ3文字略語で語るほどのことでもない気がする。
②はそれを熱心にやる会社があるのは悪いことではないけど、僕の個人的な考えとは違う。企業は本業で社会貢献するのが一番自然で、効率的で、合目的的だと思う。本業で「本当に」社会に貢献していれば、たいてい利益はでる。そしたら税金も配当も賞与も払えるから、受け取った人たち(国や株主や社員)がそれぞれ思う方法で社会貢献すればいい。
でも今回の震災では、僕らもいわゆるCSRっぽいことをしようとしている。それについて、ちょっと考えてみた。

★かつて聞いたザ・ボディショップのボランティア制度
僕が学生の時(つまり15年以上前)に、当時日本に進出したばかりだった、化粧品のザ・ボディショップの社長さんとお話したことがある。イギリス人創業者の理念をビジネスと結びつけたすばらしいビジネスモデルについて伺ったのだが、印象に残っているのがボランティア制度についてだった。
今でもその制度があるのか分からないが、就業時間をかなり大胆にボランティア活動に割いていいよ、むしろ是非やりなさい、という制度がザ・ボディショップにはあった。会社にとって欠かせない幹部も、ボランティアのために数日間、数週間、会社を留守にしてしまう。

それは決して会社の利益を削ることで成り立っている制度ではない、というのが社長さんが力説していたことだった。
「元々ボランティアに興味がなさそうなおじさん社員がボランティア休暇をとって、また会社に帰ってくるでしょ?そしたらうって変わって仕事に燃える男になるのよ~。あなた、想像できる?それに、すごくクリエイティブになるし」
社長さん(当時の社長さんは豪快なおばさまだった)がこう笑っていたのを良く憶えている。
そう、多分ザ・ボディショップにとってのボランティア制度は、今で言うES(従業員満足度)向上策と社員の能力開発策だったのだろう。

僕はこれにすごく共感する。会社のため、社員のためにやっていることが、社会貢献のためにうまく一致するなら、それはすばらしいことだ。それでこそ、NPOではなくて企業が社会貢献をやる意味がある。

★僕らが今回考えたこと
僕らの会社(ケンブリッジ)では、今回の震災を受けて、長期ボランティア休暇制度を作った(震災支援のために会社を休んでも、有給休暇を使わなくてすむ制度)。
たまたま、阪神の地震でボランティアコーディネーターをしていた社員がいたので、彼を送り出したかったのが、制度を作った理由の一つ。制度の後押しがないと、家族持ちが仕事を放り出すのはハードル高いしね。

もう一つは、ボディショップのミニミニ版をやってみようと思ったこと。会社から公式に派遣する訳じゃなくても、生活の保障をし、彼が担当するハズだった仕事を他の人が引き受けることになる。これは大げさに言えば、社員がちょっとずつボランティアするのに近い。
全社員が1日ずつ被災地に行くより、支援能力を持った人が長期間活躍する方が実効性がある。1日ずつ行く代わりに後方支援という形でささやかに貢献することで、ちょびっとでもいいから全社員のESが上がれば嬉しい。

★ファシリテーションの可能性
もう一つ考えたこと。それは、ファシリテーションを使って、何か貢献したいという思いだ。僕らは普段、ファシリテーションを使ってプロジェクトを成功させるためのコンサルティングをしている。100%ビジネスの世界。でも、ファシリテーションはもっと色々な所で役に立つ。
多くのボランティア、NPOをコーディネートすること。避難所で日々の様々な意思決定をするためのコンセンサス作り。復興に向けた街作りのための対話の促進。
僕らが日々メシのタネにさせてもらっているファシリテーションを使って、何か世の中に恩返しできたら、それは僕らならではの社会貢献になるかもしれない。

もちろん上で書いてきたように、1人のビジネスマンとして、一方的な「持ち出し」は好きではないので、ギブ&テイクにしたい。今回の場合、それは他流試合で自分たちのファシリテーションを磨くこと。普段、プロジェクトという実戦の場に特化して磨いてきた僕らのファシリテーション方法論も、ビジネス論理が通用しない、多様な世界で適用しようとしたら、見直しを迫られるだろう。
それは多分、ビジネスの世界に戻ってからも有益に違いない。

このあたりは、すこし息の長い取り組みになるだろう。復興は長期戦だから、地に足をつけて貢献できることを見つけていきたい。こういう思いはファシリテーション協会に参加している多くの方も持っているようで、「復興にファシリテーションが貢献できることはなにか」というテーマで議論を進めている。何らか形ある貢献にまとめていきたい。

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