4月7日のエントリとして、NHK教育のITホワイトボックスを取り上げましたが、もっと取り上げなければならない話題があったことが、翌日に発覚。というか、日本時間だと翌日にもなろうよ、かもしれません。

4月7日は、RFCの40歳の誕生日だったのです。

RFCとは、インターネットの技術標準などに関する文書のシリーズで、Request for Comments の略。つまり、「コメント募集」という意味の略語が文書シリーズになっているというのが、インターネットのユニークなところでもあります。そのRFCの1番、つまり、RFC1が、1969年4月7日に発行された、ということです。今でこそWebなり、ftpなりで公開できますが、当時はメールすらなかったわけで、紙で配布していたらしいです。
著者はSteve Crockerという人で、今でもこの業界の重鎮。そういえば、IGFハイデラバードでご一緒しました。

Steve CrockerはNew York Timesに、このRFC40周年に関して寄稿しています。

How the Internet Got Its Rules
http://www.nytimes.com/2009/04/07/opinion/07crocker.html

この寄稿は素晴らしく良く書けています。同じように思ったtaro-nishinoさんという方が、slashdot.jp和訳を提供なさっています。


当時UCLAの学生だったSteveは、4つの大学のコンピュータをネットワークで結ぶプロジェクトに参加して、進捗の悪さに業を煮やして、まず簡単なことをメモ書きにすると申し入れます。そのメモ書きさえ、当時辺境西海岸の大学の学生だったSteveには、東海岸のちゃんとした大学の偉い先生方に「若造が決め事を勝手に決めよって」と見えるのを恐れて、そのメモ書きに「コメント募集」と名づけるのです。これは、単純な回顧録的なエピソードにも見えますが、閉鎖的な権威に委ねず、権威の外からも、自由に規格制定に参加できるようなシステムへの、大きな第一歩になったわけです。

今日現在、最新のRFCはRFC5540。RFC Editorによる「40 Years of RFCs」という、記念RFCです。RFCは今や「コメント募集」という原義ではなく、インターネットに関する標準,標準案,そのほかの共有文書のブランドネームになっています。しかしIETFによる規格制定は、今日的な問題も抱えながら、当初の精神を受け継ぎオープンなものであり続け、それがインターネットの発展を支えてきました。この辺は、ITホワイトボックス第1回でRFCが取り上げられたとき紹介された通りです。

僕は10年以上インターネットの世界で仕事をしていますが、いまだにこれが、不思議というか、ミラクルに見えます。規格制定をオープンにし、みんなで共有して進める。これは、特許で自社開発技術の権利を保全するという、コンベンショナルな考え方の正反対でありながら、どっこい、それが技術の発展に大いに貢献している。BSDやLinuxなどのオープンソースと同じような分析ができると思うのですが、今のインターネットの繁栄を説明し尽くしているようには思いません。

社会科学系の研究成果で、よく説明しているものがあれば見たいものだと思いつつ、今までそういうものを知る機会がありませんでした。もしご存知であれば、どなたか是非とも紹介してください。

maem

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コメント
tissot sport 2011/11/29 16:13

私はこれらの記事を読んで長い間、あなたのウェブサイトを追跡している、これはおもしろいです。


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前村 昌紀

JPNIC インターネット推進部 部長。
インターネット自体とそのガバナンス・コーディネーション全般に興味あり。

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