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消費税率10%では収まらない

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 社会保障と税の一体化改革に関して、閣議決定をしての内閣改造です。消費税率引上げの法案化は、この通常国会で審議・可決させるための内閣改造です。消費税率引き上げ法案に関する野党の動き、党内での小沢グループの動きによっては解散もありうるのかもというのがマスコミ報道です。

 今の衆議院任期満了は来年です。今解散すると民主党の大敗は明らかです。かといって、自民党が大勝するのも難しく、第三局を狙うみんなの党は内部分裂のうわさもあり、この時期にもかかわらず、なりを潜めています。大阪維新の会は、国政準備はまだまだでしょう。次の次を狙っているのでしょうか。

 消費税増税問題は、なんといっても、G20での要望事項でもあり、どの政権になってもついて回る課題です。野田総理や安住財務大臣は、昨年末のG20で、TPPへの協議参加と、消費税率引き上げは約束してきているのでしょう。その後の日銀の為替に対する覆面介入に関して、アメリカは何もコメントをしてきません。あの時は同時に、ヨーロッパへの資金供給(EFSF債購入)も約束しているはずです。

 消費税率引き上げは避けて通れないことで、問題は、その税率が、8%や10%で収まらないということです。IMFなどの言う18%~20%にいずれはなっていくのでしょう。世界は、テロとの戦いから、財政問題へと、テーマを移行してきています。そのための、欧米の量的緩和による財政再建が今起こっていることです。野田総理が、消費税率の具体的な引上げ数字や引き上げ時期を明確にするのも、日本への格下げ圧力への対抗だと思われます。

 消費税率1%に相当する税収は2.4~2.5兆円と言われています。日本の借金1000兆円を消費税で賄うには何パーセントにしなければならないのでしょうか。基礎年金の国庫負担を今の三分の一から二分の一に引き上げるのに2.5兆円必要です。消費税率1%分です。民主党のいう、基礎年金の全額税負担や、医療制度の立て直しにいくら必要かを考えると、今の税率ではとても足りません。

 これからは、違いなく手取額(総支払額から税金と社会保険料を引いた額)は減少し、社会保障は縮小される社会を、どう生きていくかが大きな課題となります。収入曲線が見えづらく、支出が増える中で、貯蓄は厳しいでしょう。運用という方法を模索する以外に、収支バランスを改善する方法はありません。それとも、サラリーマンを辞めて独立して一貫千金を狙いますか。

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