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「iTunesクラウドサービス」あるといいんですけどね~

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久しぶりにニュースサイトで「まねきTV」の文字を見たのでまた何かあったのと思ったら、仮処分に加えて本案でも勝訴ということでした(しかし、ユーザー数がまだ100人くらいであったというのは意外でした)。法律改正で無理矢理違法になんてならないことを祈ります。

まあしかし、これで、自分の所有するコンテンツを自分で使用するタイプのクラウド型サービスをやろうと思ったら市販の機器をハウジング(ホスティングではなく)する形にすれば大丈夫な可能性が高くなったと言えそうです。複製はサーバ側ではなくクライアント側でやる仕組みにすることも重要でしょう。まだ、この手の裁判で争点になったことはないと思いますが、著作権法30条1項の「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」とみなされないようにする必要がありますので。

これに関連した話ですが、iPhoneの付加サービスとしてMobileMeについてちょっと考えてみました。私は現在はlive-styleというExchangeのホスティングサービスをWindows Mobile(X01HT)向けで使ってますが、何もしなくても複数のパソコンと携帯間で情報が同期されている便利さは何にも代え難いものがあります。iPhoneを運良くゲットできたらMobileMeにスイッチするでしょう。

今のところMobileMeのサイトでは、メール、連絡先、カレンダーをプッシュで同期できることが謳われてますが、これに加えて当然に想定されるサービスがiTunesライブラリをネット上において曲を自動的に同期したり、聞きたい曲だけをiPhoneにダウンロードして使う方法でしょう。iPhoneは8GBでもちょっと容量不足ですがクラウド側にライブラリを持てれば、大きな問題ではなくなるでしょう。

米国のブログでもこのような"iTunes Library in the Clouds"を待ち望む声が聞かれます。

しかし、これって米国ではOKでも、日本では、たとえ自分のCDを自分のiPhoneで聴く場合でもMYUTA法理で送信の主体はアップル、ゆえに公衆送信権侵害となってしまいそうです。

アップルジャパンは、「MobileMeで音楽ファイルを同期」と宣伝しないで、あくまでも汎用のストレージサービスを提供していますと宣伝しておいて、クチコミで「ここにiTune Libraryを置いて、汎用ソフトであるiTunesを使えば音楽の同期も可能」と流布するようにしなければいけなくなるかもしれません。

健康食品の会社が「XXXは高血圧に効く」と直接宣伝すると薬事法に触れるので、「XXXは高血圧に効くらしい」というクチコミを「第三者」に言ってもらうようなものですね。

もうひとつのアイデアとしては日本向けのMobileMeは、まねきTV方式にして、Mac Miniを利用者に買ってもらって、それをハウジングするサービスを提供するという形にすれば法律問題を回避できるかもしれません。

自分が正規に買ったCDを自分で聴くサービスをするために、なんでこんな点を気にしないといけないのでしょうかと思ってしまいますね。

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