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ちょっと前になりますが、経団連の知的財産委員会が『デジタル化・ネットワーク化時代における著作権法制の中長期的なあり方について(中間とりまとめ)-産業活性化のための複線化システムの提案-』という文書を公開してます。タイトルの通り、中長期的な立法論(というか制度設計)のお話であります。現行の著作権制度の問題点と対応とその論点について簡潔にまとめてありますので、参考になる部分が多いと思います。
重要な提言として、文書のサブタイトルにもあるように、著作物の多様化に伴い制度も複線化していくべきと書かれています。
現行の著作権法は(少なくとも建前上は)あらゆる著作物をできるだけ平等に保護する規定になっています(映画の著作物だけ保護期間が長い等、多少の例外あり)。しかし、著作物の財産権的価値が多様であることを考えるとすべての著作物を同等に扱うという考え方自体に無理が出てきたと言えます。たとえば、著作権侵害を厳罰化して演奏権の侵害者が懲役刑というのも感覚的におかしなものを感じますが、その一方で、新作DVDを無断大量複製して商業的に売ってる人に対しては厳罰で臨んでもらいたい気もします。また、複製物とオリジナルの価値が変わらないタイプの著作物とオリジナルにこそ価値がある一品物の美術作品を同等に扱っていくのも無理があるでしょう。複線化は必然とも言えます。
その他、フェアユース的な考え方の導入、許諾権・報酬請求権と刑事罰の使い分け、著作財産権・著作人格権の放棄に関する明文化(GPLとかCCに対するお墨付き)、強制ライセンスや登録制度等々が検討対象の論点として挙げられています。私が今までここで書いてきたようなお話です(私は別に横紙破り的な意見を書いてるわけではなく、産業界の主流の立場で書いてますので当然)。
ところで、制度の複線化という点から言うと、米国の圧力働きかけによりプログラムを「文書の著作物」として著作権法に取り込んだのはまずかったのではという気がします。バイナリ・コードまでをも「文書の著作物」というのは無理がありますし、プログラムは芸術というよりも工業製品ですし(芸術品のようなソース・コードもあるのでしょうが)、そもそも、ソフトウェアはアイデア(アルゴリズム)と表現(コード)の区別が不明確ということもあり、著作権法の基本的枠組みとの相性が悪いです。やはりソフトウェアの保護は特別な立法で解決すべきだったと思ってます(半導体のパターンとか植物の品種なんかは個別の法律で保護されてますので、立法論的にはソフトウェアは著作権法か特許法で保護しなければならないということはありません)。今さら言ってもしょうがない話ではありますが。
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