昨日のエントリーでコアとコア・コンピタンスの違いについて書きましたが、しつこく、さらにかみ砕いて書いてみることにします。当然ながら「ライフサイクル・イノベーション」にもこの辺の話は書いてあるのですが、わりとさらっとした書き方になっています。ムーア氏は、既に「キャズム」や「企業価値の断絶」などの過去の著書を読んでいるということを前提で書いているのかもしれません。
コアとコア・コンピタンスの違いを理解していれば、「『コア・コンピタンスにフォーカスしろ』なんて10年も前から言ってきたことを、何で今ムーアは騒いでるのか」という誤解もなくなることと思います。
新興企業が成長していくときはコア=コア・コンピタンスであることが多いです。つまり、企業の得意領域(コア・コンピタンス)がそのまま差別化要素(コア)になっているわけです(そうでなければ企業は成長できません)。たとえば、1990年代中盤ころに、安くて早いWebサイト設計を得意(コア・コンピタンス)とする会社はそれを差別化要素(コア)として急成長することができたでしょう。
しかし、このコア=コア・コンピタンスという関係が永遠に続くわけではありません。他社が差別化要素を中立化してくるからです。上の例で言えば、世の中にWebデザイナーの数が増えてくると、安くて早いWeb設計は当たり前の価値提案になり、差別化要素ではなくなってきます。ここで上の例の会社にとっては、コア≠コア・コンピタンスになったわけです。この時に、「わが社は安くて早いWeb設計なら誰にも負けない。だから会社もずっと成長していけるはずだ」と思い込んでいる(コア=コア・コンピタンスの関係が永遠に続くと思い込んでいる)と、この会社は手痛い目に会うことになるでしょう。
成長を続けるためには、企業は新しいコアに資源を再注入していく必要があります。この例で言えば、「Webサイト設計だけではないビジネス面でのコンサルティング業務」、「デザイン性が高いハイレベルのWebサイト設計」、「Webサイトと基幹系の連携」等々新しいコアを作り出す動きを継続していかないと企業は生き残っていけないわけです。
ちなみに、このいったん差別化要素を作り出してもすぐに他社に中立化されてしまうので、企業は進化を継続していかなければいけないという点が、「ライフサイクル・イノベーション」の元タイトルである"Dealing with Darwin"という表現に表れています。実は、邦題として、この辺を生かして「ビジネス進化論」としようかという話もあったのですが、梅田望夫さんの「ウェブ進化論」が先に出てしまったため断念したという経緯があります。
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