前回のブログ(著作権法違反の罰則が「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金またはこれらの併科」に引き上げられること)に対して、いくつもコメントをいただきました。中でも、「罰則を引き上げるべきだったのか」、「懲役10年を要する侵害があるのか」という疑問を呈するコメントがありましたので、今回はこのことについて書こうと思います。

罰則の強化については、実のところ、私も同じように違和感を持っています。いただいたコメントにあるように、懲役刑が3年以下だった時代に実刑として懲役3年の刑が下された事例があったかというと、私が知る限りではなかったと思います。その段階で、5年、10年となったことにはバランスの悪さを感じます。罰則を強化すれば、それに伴って著作権侵害が減るとは思いませんし、このような意見は色々な場面で主張してきました。

ただ、例えば、企業などにおいて、巨大な規模で違法コピーが意図的に行われて損害額が莫大になるような場合には、今回の罰則は想定できるかも知れません。周知の通り、デジタル著作物はネットワークを介すと、瞬時に大規模な著作権侵害が起こり得ますし、回収も削除もできません。また、犯罪組織によって、海賊版が大規模に意図的に流されて正規ビジネスが大打撃を受けるようなことがあれば、懲役10年も理屈としてはあり得ると思います。

知財をめぐる制度は、特に「人工的」「政策的」なものであり、「こうあろう」「こうあるべき」という意思を持って制度を大胆に設計変更することは、比較的容易です。著作権侵害の厳罰化は、知財立国を目指す政府として、それが必要と判断した、ということでしょう。よほどのことがない限り懲役10年というのはないと思いますが、政府がそれほど知財を重視しているというメッセージだと受け取れば、著作権侵害に対して今まで以上の圧力を受けることになるのだと思います。

(いただいたコメントに個別に返信はできませんが、いい視点のコメントもあるので、私の意見は、おいおい本文で書いていきたいと思います。)

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コメント
CAMOME 2007/03/29 18:09

通りすがりです。
著作権侵害の厳罰化をはかる前にするべき事は、著作権の定義の明確化ではないでしょうか?ソフトウェアの違法コピーと、音楽絵画の模倣と、図書館での文献複写などを同じ量刑のもとで管理することに無理を感じます。たとえば特許と実用新案のように、守られる範囲と権利者が負う対価を規模に応じて一元管理する必要があると考えます。こと陳腐化の早いコンピュータプログラムに関しては、厳罰をもって臨むかわりに、一定期間後は製作者から権利維持費を徴収する制度を構築するなどの方策が考えられます。

疑問 2007/03/29 22:44

>その段階で、5年、10年となったことにはバランスの悪さを感じます。罰則を強化すれば、それに伴って著作権侵害が減るとは思いませんし、このような意見は色々な場面で主張してきました。
 色々な場面とは、例えばどのような場面なのでしょうか、知り得る限り、筆者の論考や講演などで刑罰の引き上げについて否定的な意見を述べているものは見当たりません。

>ただ、例えば、企業などにおいて、巨大な規模で違法コピーが意図的に行われて損害額が莫大になるような場合には、今回の罰則は想定できるかも知れません。
 「想定」「かもしれない」という曖昧表現を持ちいてなかなか慎重な言い回しであると思いますが、結局、このような場面で罰則の適用が本当に必要なのでしょうか?企業などで違法コピーが巨大な規模で意図的に行われた例は枚挙の暇がないと思いますが、現実に刑罰が適用された例は聞いたことがありません。それはなぜなのでしょうか?筆者の言葉を少し借りれば、捜査機関(これは政府の一部であることは明らかです)が、「それは必要ない」と判断してきたこと(判断していること)の帰結なのではないでしょうか。「人工的」「政策的」であるがゆえに、「罰則を適用するべきでない」という意思を持っているのではないでしょうか。
 結局、筆者は、その「政府のメッセージ」をどう評価されているのでしょう?バランスが悪いので反対なのでしょうか。それとも知財立国を目指すために不可欠な政策として賛成なのでしょうか。

酔うぞ 2007/03/31 10:19

著作権は創作者が放棄が出来ない、という点が他の財物と著しく違うところで、そこに著作権法が同一性の維持を義務づけているから、改造が出来ないし、社会的な共有物にも出来ない。

明らかに知的財産であり、金銭的な価値があるものは想定できますが、それが知的財産のすべてでもないし、ましてすべての著作物がそのようにあるべきだ、と言うこともあり得ない。

実際に「誰が作ったのか分からないもの」に権利を主張した裁判もありました。

法律が「最低限」とか「最終的な決定」であるのなら、著作とはなんなのか、社会的な手続きにどのようなものがあるのか、を定義しないと「最低限」もヘチマ無いでしょう。

著作権法の罰則強化は地上楼閣の高層化といった印象を受けます。

yasu 2007/04/07 06:20

インプレスの記事より
「DRMフリー」は行き過ぎ、複数デバイスで使えるDRMを~ACCS久保田氏」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/04/06/15331.html

もう開いた口がふさがりません。この人は「利用者=盗人」という構図しか頭にないようですね。DRMフリーになると、久保田氏と関係する組織にとってよほど不利益が生じるのでしょう。
しかも「さあ、おまえらも言うこと聞かないと10年の刑だぞ」と繰り返す。これは明らかな「脅し」としか受け取れないです。
配信流通それ自体、まだ過渡期であって新しい様々な試みをする段階にあるにもかかわらず、とにかく既得利権の脅威になりそうなものは、つぶしにかかる。

知財立国の最大の敵は、久保田氏ではないのですか?

blues 2007/04/07 21:13

条約等による世界共通の著作権の理解として使用と利用の違いがあり、著作権を持たない者は使用することしかできません。本を読んだり、音楽を聞いたり、映画を鑑賞したりということです。それ以外の使い方は「利用」として区別され「無断でやってはいけない」ことになっているのが法律です。法律改正を叫ぶことは自由ですが改正されるまでは守らなければならないのも事実。
DRMを使ってコンテンツのビジネスモデルを「1回で幾ら、、100回だと割引単価で幾ら」とかの可能性があるのにそうした研究をせずに「DTMフリー」にしてしまうのは「行き過ぎ」という久保田氏の意見が、気に入るか気に入らないかは別にして発言は久保田氏の自由でしょう。しかしどうして彼の意見が「脅し」として読めるか?が、僕には分かりません。

ただ、少しでも著作権のコトを知った者の感覚ならそこらじゅうで著作権侵害が目立ちにネットではあまりにも酷すぎます。多分、多くの人が自分が著作権侵害の加害者であることに気がついていないからなのでしょう。権利者団体が青筋たてるのも無理は無いと思います。「無断」というのがダメなので事前にOKさえ取ればいいのにね、、だからと言って権利拡大を双手で賛成するわけではなく冷静な議論が必要だと思います。

ところで、、久保田サン「脅す」つもりで書いたの? 笑

yasu 2007/04/07 23:08

DRMを使うというはあくまでオプションのひとつにすぎないのに、どうして最初にDRMありきになるのです?
DRMを使わないコンテンツ販売の可能性は、DRMを使ったビジネスモデルの研究をしてからでなければならない、というのはどこから出てきた理屈なのでしょう。

久保田氏の発言は「権利問題研究会」で主査という立場でのものです。もちろん言うのは自由ですが、発言の影響力は決して小さくはないでしょう。気に入るか気に入らないかの問題ではないです。可能性としてあげられていますが、例として1回聴いたら幾ら、100回聴いたら幾ら、などの設定がされた音楽がもしあったとしても、本能的に拒否反応が起きます。それこそ本当の「行き過ぎ」ではありませんか。(だからといって不正コピーを肯定するということではありませんよ)

> しかしどうして彼の意見が「脅し」として読めるか?が、僕には分かりません。

価値観が全く違いますから、わからないのは当然のことです。お互い無理に理解しようとしたり、歩み寄ったりする必要はないと思います。

疑問 2007/04/08 12:55

 私も久保田氏の意見が「脅し」とは読めません。また、「権利問題研究会」の主査としての立場の発言がそれほど世の中に影響が大きいとも思えません。DRMを付すか否かは、コンテンツの提供者が決めることであると思います(彼がこう発言したからこうしたということにはならないと思います)。
 そして、私は、もしそのDRMによる制限が気に入らないならば、それを購入したり取得したりすることをしなければよいだけだと思います。そういう人がマジョリティを占めれば企業として考えを変えざるを得ないでしょう。むしろ、DRMがかかっているのにそれを無理やりこじ開けて提供者が想定しない利用が広がってしまうことこそ問題であると思います。自由競争の中で適切なDRMによる制限の程度やあり方が見つけ出される可能性が減ってしまうからです。コンテンツは、その中身だけでなく利用方法も含めて一つの商品を構成しているのではないでしょうか。それを消費者・使用者側で吟味して選択するようになれば、自然とバランスのよい方向にいくと思います。
ただし、コンピュータプログラムが付随しているものは別ですが、音楽にせよ映像にせよ一度アナログ化してデジタル化すればDRMは機能しなくなってしまいます。そのため、万能なDRMというものはあり得ないと思います(質の劣化が起こったとしてもかなり無視できるくらいになってきているのではないかと思います)。だからこそ、法律(著作権法)や契約(ライセンス契約)による制限も必要なのだと思います。
まとめますと、私は、コンテンツは、その中身と利用方法の範囲によって規定される商品であり、その利用方法の範囲は、DRMなどの技術的な手段、法律や契約などの規範的な手段の双方により規定されると思います。もし消費者が、商品の中身ではなく利用の範囲を気に入らないのであれば、それらに違反するのではなく、購入しない、使用しないという選択を行い、自由競争の中で利用制限の妥当な範囲を決めていくのがよいと考えています。そのため、DRMを無効化する行為について、法制により規制を加えることに私は賛成ですし、提供者が自らの商品の訴求力を考えつつ、利用の柔軟度をDRMや契約を用いて設定していくのも賛成です。

口出ししないでほしい 2007/04/09 03:01

EMIがDRMフリーでやるかDRMで規制するかはEMIが判断する問題だろうが。関係ないあんたがいちいち口出すなよ。DRMなくなって利権が減るからって困るのはあんたら利権団体だけなんだから、本当に迷惑。

口出ししないでほしい 2007/04/10 00:52

まずはこの記事を読んでください。『「EMIは打つ手がなかった」――DRMフリー化と「CCCD」という無駄 そして日本は』http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/0704/09/news013.html
レコード会社・権利団体がこの10年間いかにユーザーをないがしろにして、音楽のマーケットを自ら駄目にしてきたかを的確に描いています。
ユーザーを盗人・犯罪者扱いして、ユーザーの利便性を無視して、利権団体の都合をユーザーに押し付けるとどういう結果になるかをいい加減に理解してください。
あなたたち利権団体が嫌われるのは、タダで違法コピーができなくて困るからではなくて、あなたたち利権団体だけが利益を得て、あなたち以外のユーザー・権利者みんなが迷惑を受けるからです。
ユーザーを泥棒扱いするなんてバカとしか言いようがない。

見苦しい人たちが多いね 2007/05/22 07:52

権利者に模倣を許容されているからできてきたことが、いつの間にか当たり前のことになって、正当な権利であるかのように誤解するのって、それは外国人が長年住んでしまったのをいいことに参政権要求するのと大差ないんじゃないですか。

切込隊長BLOG(ブログ)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2007/05/post_9f20.html

ゲーオタ 2007/05/26 18:21

あれだけ豪快に暴言を吐きまくって、よく表にでてこれるな…

>見苦しい人たちが多いね

権利者が許容してるのは漫画関係だから、
ソフトの話題では関係ないぞ。
つーかそこも対象を同人に限定してておかしいし。

yoh 2007/05/28 07:15

>見苦しい人たちが多いねさん
ソニーベータカムのタイムシフトと言う観念は、確かに私的複製を拡大解釈する一因になったと思います。
しかし、社会・経済・法律は時代によって流動するものです。
少なくとも私的複製の拡大解釈が、経済と社会に大きな影響を与えたのであれば(ハードの経済効果とライフスタイルの確立)
それなりの理由が無い限り、権利拡大による急激な規制は、反発を招くのは当然です。
久保田様も仰るように、コンテンツホルダーとユーザの両方からの視点が必要で、貴方のような一元的な物の見方だと、ユーザの意見を全く無視した物になり、結果、経済的に両者の損失を招く危険があります。
(私見ですが、私自身、録音物のヘビーユーザですが、cccdの一件以来、嫌気がさして新譜を一切買わなくなった経緯があります。)
たいちょのBlogは、彼自身、芸術活動とは遠い方なので、竹熊氏が騒ぐ背景を知らないのでしょう。

Penisman2007 2007/06/03 23:40

最近は毛唐の陰謀で著作権侵害の非親告罪化がなされるそうだぞ。
そうなるともう大変。き**いに刃物もたすようなものだからな。


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