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IT業界にどっぷり浸かって40年以上現役です。温故知新。人にとってITとは何かを問います。

ベンダーから仕事を取り返す

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良品計画では、数年前まで、一般企業と同じようにホストコンピュータがあり、ベンダーが構築したシステムを使っていた。
良品計画は、製造小売業だ。常に新製品を企画している。発売半年前から準備して次々と送り出す。常に販売データの分析が必要だ。だが、従来システムでは、現場のニーズにはまったく対応していなかった。必要なとき必要なデータを見られる仕組みになっていなかったのだ。
そこでシステムを再構築することとした。
ベンダーに頼むのは、POSレジから財務会計に至るまでの、生態系の部分のみ。そこは、設備も運用も完全にアウトソーシングで任せる。ただ、マスターメンテナンスは命なので、もちろん自分達でやる。
POSから発生したデータは、リアルタイムでOSのファイルシステムの機能を使ってHDDに保存する。日別に保存し、永久に残す。
そのデータは、即、集計・分析対象となる。300万件くらいのデータは3秒程度で集計できる。ISSEIと同じデータの持ち方をする。RDBは不要だ。
良品計画の情報システム部は、社員が8名。それで日々の生態系の運用監視から、計画系業務まですべてこなす。外部のソフト会社が技術指導も含めて数名常駐で支援している。
このやり方で、年間20億円かかっていたITコストを12億円まで減らした。しかも、企画、生産、物流、販売の各セクションからの要求には完全に答えられる体制が整えられている。

これは理想系だが、実は、どこの会社でもやろうと思えばできる。
しかし、ユーザ企業が、これに気付いて、こぞって同じ方法を取り出すと、IT業界は大変なことになる。サービス売り上げを主軸に据えようとしているコンピュータ・メーカーは、原点回帰をせざるを得なくなるし、要求仕様をまとめておもむろにシステムを構築している会社は、仕事がなくなる。ERPパッケージは、財務会計と給与・人事くらいしか要らなくなる。それではERPではない。

具体的に書かないと、この文章を読んでも狐につままれたように感じられると思う。申し訳ないのだが、ここでは問題提起に留める。良品計画の情報システム部は大変オープンマインドなので、我々が知りたいと思えば時間を取ってくれると思う。
自社の情報システムに疑問を感じている方は、ぜひ良品計画研究をお勧めする。

私がこのことを知ったのは、JUASのセミナー

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