アジャイルや機械学習、リーンシックスシグマなど、日々の仕事の中で見て聞いて感じた事を書き留めています。

スケールド・アジャイルの進化

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SPC認定の更新

僕が勤める部署は昨年よりスケールド・アジャイル開発(SAFe: Scaled Agile Framework)を取り入れています。SAFe導入を機に、僕はトレーニングと試験を受けて、SAFeプログラム・コンサルタント(SPC: SAFe Program Consultant)の認定を得ました。以来SAFeの自称社内コンサルタントとして奮闘しながら早いもので一年が経ち、初めての認定更新時期を迎えました。

PMPなど他の認定とは違い、SAFeが定める認定(様々なものがある)は毎年更新する必要があります。"毎年更新しなくてはならない"、ということだけでも驚きなのですが、更に驚いたのがその費用です。SPC認定を更新するためには、毎年約10万円を支払う必要があるからです。

会社のクレジットカードで支払う前に一応「SPCを更新するが、良いか?」と上司に尋ねたところ、「毎年10万円は高いな。本当に更新する価値はあるのか?」と逆に聞き返されました。確かにチームを手助けするだけなら別に認定など必要ありません。念のためSAFeの運営会社であるScaled Agile Inc. に近い人に聞いてみたところ、SPCの認定を受けた一年後に、実際にそれを更新する人の割合は約6割程度に留まっている、とのことでした。この高い金額なら更新を躊躇する気持ちが分かるような気がします。そこで上司には「履歴書にたった一行、"SAFeプログラム・コンサルタント"と書くことに、10万円の価値がある」と答えました。それに対し上司は「しょうがないな、勝手にしな」と言ってくれたので、今年は無事に会社の費用でSPCを更新することができましたが、来年は一体どうなることやら。

SAFe 4.6

SAFeは進化しています。2011年にSAFe1.0が発表されて以来バージョンアップが繰り返し行われ、今年の10月にはバージョン4.6が発表されました。SAFeを導入した企業からのフィードバックを基に、常にフレームワークの改良が行われているようです。

僕が昨年SAFeの勉強を始めた時はすでにバージョン4.0、そしてSPC認定を取得した時はバージョン4.5になっていました。そのため僕が務める部署にはバージョン4.5を基にSAFeを導入した経緯があります。

そして一年後、SPCを更新する時は最新版であるバージョン4.6となりました。もしこれがソフトウェアなら新しいバージョンをコンピュータにダウンロードすればそれでおしまいですが、SAFeは人間の集団である組織に導入しなくてはなりません。映画「マトリックス」とは違い、我々の頭と行動はそう簡単には入れ替えることはできません。

事実、SAFeの導入と運用は難しく、僕の組織は未熟にも、未だバージョン2.0レベルに留まっています。SAFe推進派が優勢とはいえ、SAFe反対派との一進一退の攻防の中、なかなか組織がSAFeの進化に追い付けないのが現状です。SAFe Version History.PNG

https://www.scaledagileframework.com/about/

SAFe進化論

ダーウィンの進化論は「弱者の戦略」とも言われています。なぜなら、すでに環境に適応していた「強者」は、環境の変化を気にする必要が無いため、結局は環境の変化に取り残されて滅びましたが、一方の「弱者」は、生存するために「環境の変化に適応する戦略」を取らざるを得ず、結果的に環境の変化を上手く利用しながら生き残ったから、だそうです。

SAFeの場合「強者」はもちろん経営部門、人事部門、そして経理部門です。本来SAFeを導入するためには、職種や役職、予算編成やその管理、人的配置、販売計画など、すべてを新しいSAFe流のやり方に変えていく必要があるのですが、すでに絶大な権力を持つ強者にとっては、変更を行うだけの動機がなかなか見つからないようです。そして「弱者」はもちろん製品開発エンジニアです。エンジニアはSAFeに上手く適応しようと一生懸命頑張っています。

SAFe導入の目に見える効果

SAFeを導入して目に見える効果があったとすれば、「見えないものが見えるようになった」ということでしょうか。SAFeの導入以来、チーム間のコミュニケーションや部門間のコミュニケーションが格段に良くなり、それまで知りもしなかった他部署や部門間の問題が目の前に突き付けられるようになったからです。

譬えて言えば、「おしゃれな高級レストランで、蝋燭の火だけが灯る暗いテーブルでワイングラスを傾けながら心地よくの夕食を楽しんでいたところ、いきなり天井の蛍光灯が一斉に灯った」といった感じです。それまで薄明りの中で綺麗に見えていたレストランも、実はテーブルにほこりやシミがあり、床には虫の死骸が転がっていることを知って、愕然とするようなものです。

これは決して悪いことではなく、見えた問題は一つずつ解決していけば良いのです。問題が見えるようになって、問題解決を先送りできなくなったことが、今のところSAFe導入の最大の効果です。

SAFeの普及とトレーニングの数

Scaled Agile Inc. によればフォーチュン100の70%の企業がSAFeを導入をしているとのことです。僕の周りでもSAFeを導入している企業が多いことは、先のブログにも書きました。ここまでSAFeが普及した理由は、やはりSAFeのトレーニングが世界各地で頻繁に開催されていることと無関係ではないと思います。

SAFeのウェブサイトに行くと、これから開催予定のトレーニングが国別で検索できます。ちなみに米国でのトレーニングを検索すると、向こう一年間にとても数えきれない数(数百?)のトレーニングが開催される予定になっています。Scaled Agile Inc. に近い人の話によれば、最近はトレーニングの開催が多すぎて、一クラス当たりの参加人数が減ってきているとか。そのためトレーニングの開催を調整し始めたそうです。

同じく向こう一年間に予定されているトレーニング開催数をインドで調べてみると約120件くらいありました。中国は12件くらい、日本は2件、韓国は0件でした。

日本の2件はどのように捉えてよいのでしょうか。日本はSAFeのブルーオーシャンで、今後SAFeが普及の可能性が無限にあるのでしょうか。それとも不毛地帯で、SAFeの芽さえ生えないのでしょうか。僕にはなんとなくその「2件」の理由が分かるような気がするのですが、それは次回のブログにでも書こうと思います。

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