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マーケターとしてベンダーとして、一貫してデータの世界で生きてきた筆者による、思考と情報整理のためのメモ。

Redmond 生活:街はずれを散歩してみよう

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さて引き続き米国本社にてインターンシップ中の当方なのだが、現在の住まいがある Bellevue の街はずれを散歩、というか運動のためのウォーキングをした話である。

Bellevue はこの近辺では結構高級な部類に入る住宅街で、近年はヨーロッパ系ブランドがテナントとして入るショッピングセンターやタワーマンション系がひっきりなしに増加する勢いのある街だ。そこをジャージと短パンで歩くのは少し気が引ける。いや実際のところ、そんなレベルの恰好をしたアメリカ人はとてもたくさんいるのだが、ここは自分なりの、超えられない線なのである。

このあたりで雰囲気を楽しみながら気軽にウォーキングできそうなところといえば、ここから北の湖畔の街である Kirkland とその近辺でワイナリーが点在する牧歌的な Woodinville か、そこから西南に移動してオールドファッションな街並みの University of Washington 周辺か、さらに南下して Seattle Downtown か、であろう。しかし、相変わらずの曇天続きでイマイチが持たない気がするのと、いずれも車で往復 1 時間の距離で、正直面倒だ。前回紹介したタイヤの空気圧低下事件があったので、できれば長距離は避けておいたほうがよいかもしれない。それにこの日、朝は晴れだったのだが、予報によると午後から曇りになり夕方にかけてやっぱり雨とのことだ。よって、今回はご近所で済ませるべきなのである!

まずは車で Bellevue Downtown Park に移動する。ここは、近隣最大のモールである Bellevue Square に隣接したそこそこの大きさの公園で、中央の芝生と池を中心にトレッキング コースがぐるりと円状に設置されている。ただし今回はここが目的地ではなく、タオルや水などの荷物を置くための拠点になる。万が一散歩が不発だった場合は早々に切り上げ、ここで走って終わりにするつもりなのだ。

早速そこから 1 ブロック南下して、Main Street に到着である。アメリカでは標準的なつくりで、東西を横切る Street と、南北を横切る Avenue があり、それで住所もわかるようになっている。Main Street はこの Bellevue Downtown Park を含む "Old Bellevue" と呼ばれる旧市街地を東西に横切る道で、ここから北は "NE xx Street"、南は "SE xx Street" という具合に、Main Street から遠ざかるにつれて xx の数字が増えていくのである。なお南北方向の Avenue のほうはこの付近は 100 番台なのだが、1st Avenue は湖を渡った西の Seattle Downtown にある。

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さてこのスタート地点なのだが、Main Street と呼ばれる通りは実はもうここで終わりなようで、道としては直線でつながっているものの、ここから以西は Lake Washington Boulevard と呼ばれるようだ。この道を西に歩いていくと、向かって左手にはワシントン湖がある。当方と同じように歩いたり走ったりしている人をたまに見かける。

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しばらく進むと湖畔に出られそうな道がある。とても急な坂なので、普通の散歩だったら躊躇するが、そもそも運動しに来たわけなので、ここは意を決し、下りてみるのである。

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どうやらマリーナのようだ。高そうなコンドミニアムも立ち並んでいる。メインストリートにもまだ近いので、遊ぶにしても暮らすにしても、とても便利そうな場所である。ヨット持てるほど金持ちなら、という条件付きではあるが。

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特に目立つものもなく若干後悔しながら、坂道をえっちらほっちら上って元の道に復帰、さらに西へ進む。すると橋を渡ることになるのだが、そこから下をのぞくと別の道がある。しかし、どう見ても一般道には思えない。奥には数台止められる駐車場らしきものがある。まさかここ、誰かの家、なのか。橋の脇から下に降りることのできる階段があるのだが、これまた急なのでかなりイヤである。帰りがけに余力があるようなら覗いてみよう。ここは無視して先に進むのである。

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桜はもう満開すぎて葉桜気味となっている。本社の同僚に聞いたところ、例年より開花が早いのだそうだ。確かに当方の滞在中には結局一度も雪が降らなかったし、暖冬なのだろう。歩いて体が温まっていることもあるが、とてもすがすがしい、いい気分である。花粉も飛んでなさそうだし。そうそう、今年はこのインターンシップのおかげで、日本での花粉のピークをやり過ごせてラッキーなのである。この時期の唯一のメリットといえる。

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さらに進むと、湖に向かって芝生が広がる地域に出た。なんだろう、先にはヨットが泊まっているし、まさかこれも誰かの家なのか。と思いきや、"Clyde Beach Park" という看板がある。またもや坂道だが先ほどよりはマシなので下りてみるのである。

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ビーチといっても砂浜はないのだが、泳いでも、釣りをしても良いようだ。ヨットも、釣り船なのだろう。さすがに泳いでいる人は誰もいないが、子供連れで遊ぶ家族をちらほら見かける。ウム、ここは以上だ。

さて、また元の道に戻り、さらに先に進む。すると、分岐点が現れた。ここは以前車で通ったことがあり、左に行くと引き続き湖沿いだが山道をくねくね上らなければならないことを知っている。かつ、いわゆる別荘地なので、本当に何もない。ということで、ここは右である。

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この分岐にある建物は、"First Church of Christ, Scientist" である。土曜なので日曜学校はやっておらず、人の影が見当たらない。"Christian Science" のための組織との説明なのだが、土地勘のない領域なので、これ以上のコメントは差し控えるのに限るのである。

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さて、さらに進むともう一つの分岐に出る。標識をよく見ると、右に行けば NE 1st Street だ。おっとここにきて、Main Street でも Lake Washington Blvd でもない 1st Street が登場である。Main = 1st だと思っていたので油断していた。しかもここまでの過程で 1st への入り口などなかったはずである。しかし、ここを右に行ってしまうと帰る方向なので、いったん道なりに左に進むのである。

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このあたりから "Medina" と呼ばれる地域になるようだ。もう湖からだいぶ離れてきているので、土地が平らな分、花がいっぱいの大きな庭に落ち着いた雰囲気の家が目立つ。

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そうこうしているうちに、"Medina Park" に到着である。広大な芝生の公園で、道路を挟んで隣は学校とゴルフ場である。

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この公園、ぐるっと回ってみたが、基本的に何もない。しかしそれがいいのである。すごく、ではないが、まあまあ手入れされた芝生が広大に広がり、ところどころに噴水や池、川がある。ベンチもぽつりぽつりと設置されており、一部屋根付きのものもある。ご近所の上品そうな住人が、犬を連れて散歩をしている。人が少なく、とても静かで落ち着いた場所である。春から夏にかけてなら、ここでのんびり散歩したり読書したりするとよさそうである。駐車場もあるので、そんな機会があればまた来てみたい。

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さて、ここで既に 1 時間近く経過してしまった。ということで、ここで折り返すことにする。まずは来た道を戻ろう。しばらく歩くと、先ほど見た 1st と、すでに通っている Lake Washington Blvd の交差点に差し掛かる。同じ道を帰ってもつまらないので、このまま直進し、1st 側を通るのである。

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ちなみにこちらの信号、ほとんどが日本でいう「感応式」なので、人が横断歩道を渡るときには、このようなボタンを押したほうがいい。押すとボタン上部の赤ランプが点灯し、ちょっとすると信号が変わる。押さないと、交通量がないほうの道側は、下手したらずーっと変わらない。どこまで変わらないのかは試したことがないのでわからない。

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このあたりの道、やけに背の高い木が多い。街路樹ではなく、それぞれの家の敷地に立っているので、皆で取り決めて植樹したのだろうか。木の種類は詳しくないが、たぶんセコイアだろう。世界一背の高い種類の木というやつである。

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さらに進むと、今度は 1st と 8th の分岐に出た。NE 8th Street は、Bellevue Square や Lincoln Square、Hyatt、Bravern などが面する Bellevue の新メイン ストリートである。ただ、NE 8th だと出発地点の公園からまあまあ離れてしまうし、初めての 1st がこのままどこにつながっているのかも気になるので、ここは 1st を維持しよう。ということで右である。

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しかしもう歩道もない、ただの小道である。車もあんまり通らない。大丈夫だろうか。

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どうやら、Lake Washington Blvd と並行して 1 ブロック陸側を走っているようだ。湖沿いは斜面なので、1 段高台になっている。ということは、このあたりの湖側の家は、向こう側の窓なり庭なりベランダなりから、湖が一望できるのだろう。道の両側とも、大きな家が多いが、別荘というよりは住宅な雰囲気である。高級車ももちろん多いが普通っぽい車も結構多い。ほとんど車が通らないから静かだし、でも湖へのアクセスもいいし、ということで、住むにはなかなかいいのかもしれない。

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と、唐突にこれで行き止まりである。なんと、1st Street のくせに、距離は短いし Bellevue 中心街にも行けないのである。さてどうしたものか。

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と思ったら、脇に階段あり。下りてみる。

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もうお分かりだろう。ここは、先ほど橋の上から、誰かの家なのかも、と覗き込んだ場所である。誰かの家ではないようだ。先に進んでみよう。

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ライフガード サービスの看板がある、ということはここも Beach Park なのだ。さらに先に進む。

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湖に出た。そしてとっても小さいが砂浜ありである。が、正直、あんまりきれいではない。そして向こうに見えるのは、最初に立ち寄ったマリーナではないか。ふと振り返るとこここの名前が。水垢でおどろおどろしくなっているが、"Meydenbauer Beach" だそうである。

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後で地図を見てわかったことだが、この辺一帯はワシントン湖の中でも Meydenbauer Bay と呼ばれているようだ。湾になっているので水面はすごく凪いでいる。公園内にはピクニック エリアと、ちょっと高い場所に展望台もある。そんなに大きくはないが、小さな子供を連れて来るにはもってこいである。

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だいぶ曇ってきた。さて戻ろう。来るときに見た、橋の横の階段を上って Lake Washington Blvd に復帰である。しばらく行くと、先ほどの Meydenbauer Beach への入り口を示す看板が。この看板、実は陸側を示している。向きが逆じゃないか、と一瞬思ったのだが実はそうではない。当方は歩きだったから行けたのだが、先ほどの橋の下の駐車場に車で行くには、いったんもう 1 本陸側を回ってこないといけないようなのだ。

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しばらく歩くとスタート地点に戻る。ただ旧市街地はこの先なので、もうちょっと続けて歩いてみよう。

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なんとここにも Meydenbauer Beach への入口への看板が。アメリカにしては親切というかしつこい。そんなに宣伝するほど大きな公園ではないと思うのだが。車 10 台ぐらいしか停められないし。

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この日は晴れたせいもあって、真昼間だというのにみんなバーで酒飲みながら食事である。まあなんにせよ楽しそうではある。いいことだ。

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日本式の焼肉屋の「銀座」もこの一角にある。行く度にいつも混んでいて結局一度も入ったことがない。

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アジア風のダイニング "Monsoon" は何度か行っているが、ここはリーズナブルな価格でとてもおいしい。このあたりが、新市街地から見た時の旧市街地への入り口にあたる。ということでウォーキングはおしまい、左に曲がって出発地点の Bellevue Downtown Park に戻るのである。

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桜も咲き、ずいぶん雰囲気が春らしくなってきた。朝は丸まって固まっていたカモも、今は優雅に泳いでる。もう少し公園でのんびりしたいところであるが、曇ってきたのでそろそろ退散しよう。寄り道しすぎたので予定より長く、しめて 1 時間半程度の旅となった。

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ちなみに戻ってから地図で確認してみたところ、Meydenbauer Beach から Lake Washington Blvd に復帰せずに、最初にそこに降りてきた階段の反対側にある階段を上ると、もう一度 1st Street の続きに入れたようである。1st はそのまま Bellevue Downtown Park の前を通過するのだが、なぜか緩やかな左カーブの途中までで 1st という名称が終了。そのまま NE 2nd Street へと名前が変わり、当方のアパートの間近まで続いている。今まであまりこの近辺を通らなかったので、ここに 1st があるとは気づかなかった。つまり、Main Street は 1 番ではなく 0 番だったのである。実は南側のほうがもっとひどくて、地図でよく探すと、50m もなさそうな、とても短い SE 1st Street が存在している。偶然なのだろうが、北も南も 1 番がまったく目立たないのだ。ほんと紛らわしいのである。

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