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マイクロソフトがエンタープライズ ソーシャル市場に注力する理由

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先日、マイクロソフトのエンタープライズ ソーシャル市場戦略について、プレス向け説明会を開催した。40名ぐらい集まっていただろうか。ITmedia Enterprise でもその模様を記事にしていただいたのでぜひご覧いただきたい。

参考記事:

またこのテーマで 『イノベーションを加速するエンタープライズ ソーシャル』 セミナーを 12 月 20 日 (木) に日本マイクロソフト本社で実施 することにした。マイクロソフトの自社事例などもベースにしながら、日本企業における展開の勘所などもご紹介予定なので、お時間が合えばぜひ参加いただきたい。

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この手のプレス向け説明会は、実施時間は短いのだが、その準備はなかなか大変なのである。自分でしゃべるのならいいのだが、他人にしゃべらせるとなると、背景情報も含めて確実に伝えなければならない。さもないと、棒読みになってアーウー言い続けることになる。心が籠らない、その製品やテーマに愛のないプレゼンは、どんなにスライドがきれいで話が理路整然としていたとしても、相手に伝わりにくいのである。今回実は、前日に CFO Forum というイベントで登壇したり、別件で本社の外人が来日していたりとなかなか大変な週であり、準備時間が圧倒的に不足していてかなり不安だった。しかし幸いなことに、わがボスはかつてビル ゲイツのスピーチライターを務めていただけあって非常に頭の回転が良く、わずかな言葉と時間ですんなり多くのことを理解してくれたため、非常に助かった。正直、日本人のえらいさんにオリエンするより全然楽ちんだったのである。

さて、そろそろ本題に入ろう。

Yammer 買収と SharePoint 2013 リリース

実は、マイクロソフトはもう何年も前から、調査会社のレポートなどでエンタープライズ ソーシャル市場のリーダーと位置づけられてきた。その中心となるのが SharePoint という製品なのだが、今年になってさらに、専業プロバイダーである Yammer を買収し、この分野でのポジションをさらに強化したのである。そしてつい先日、12月1日より、企業向けボリューム ライセンスで新バージョンの SharePoint 2013 の提供を開始、エンタープライズ ソーシャル分野を主要な価値の 1 つに据えてご提案している。今回の発表では、この 2 つのソリューションの位置づけの違いと、ライセンス統合に関する発表を行ったのである。

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日本国内のお客様においても、ここ 1 年ほど、エンタープライズ ソーシャルの展開についてのご相談をいただくことが多くなった。当方も、頻繁にお客様と直接ディスカッションさせていただいている。特にこの分野は、ステップとオペレーションがとても重要である。最終的なゴールは描きやすいしまあまあ万国共通なのだが、今自分たちがどこにいて、どこからどんな順番で始めるとゴールにたどり着けるのかは、その企業の文化に大きく左右される。

エンタープライズ ソーシャルは既存メディアの限界を突破するが代替するものではない

エンタープライズ ソーシャルは、企業や組織内という 1 つのソーシャル ネットワークの中に、新たな別のソーシャル ネットワークを構築することでコミュニケーションを活性化し、組織全体の生産性を向上しようというアプローチである。つまり、今の組織のありようによって、その中で新たに生み出すべき別のネットワークのありようもまた違ってくるのは当然なのである。さらにエンタープライズ ソーシャルは、既存のプロセスを破壊するものでも代替するものでもないということにも注意が必要だ。もちろん、結果的にそうなるケースはあるだろうが、それは既存のプロセスのほうに問題があったからである。

たとえばマイクロ ブログを多用することで、社内での電子メールのやり取りを削減しようという期待が実際にある。いわゆる電子メールのオーバーロード問題への対策は、「PC を使わないようにしよう」 という極端なものから 「社内では IM を使おう」 というデジタルなものまでさまざま登場してきたが、課題が明らかでありショック療法と認識しているのならばともかく、「PC を使うから余計な情報を見たり発信したりするのだ」 式の短絡的な発想では、真の課題を覆い隠してしまう。無駄なメールという目の前の問題は確実に解消できるだろう。しかしその裏で失われる生産性は計り知れない。

この件に限らず、人は何か新しいものが出てくると、それが古いものを代替すると考えがちである。ビジネス プロセスを重視しがちな企業において特に顕著かもしれない。これまではそれでもよかった。オフィス オートメーションに代表される、既存プロセスのデジタル化によるコスト削減と自動化は、IT 黎明期においては優先すべきアプローチだったし、成果も明確に出る。パーツをより効率的な別のものに入れ替え、ぎりぎりチューンアップして膿を絞り出せば、すっきりと美しいプロセスが出来上がる。しかし、もはやデジタル化にも限界があり、また外部環境が頻繁に変わる中でいつまでも同じプロセスが通用するわけはない。せっかくデジタル化したのだから、アナログだからこその制約を頑なに守る必要などないのだ。新しいものが新しい利用シーンを生み出すことで、それがワークスタイルやライフスタイルの変化をもたらし、その結果として古いもとのバランスが変わるのである。

ソーシャルは、電子メールや IM に代表されるような、特定の相手とのプライベートなセッションの中で、非同期またはリアルタイムにメッセージ交換するようなメディアはなく、またポータルに代表されるような、場所を起点とした情報伝達メディアでもない。相手や場所といった制約にしばられず、バイラルな情報伝達を行う、今までのものとは別のコミュニケーション手段である。ソーシャルによって新しくできるようになることは何か、既存のメディアとの重複は何でどちらを取るのかはたまた連携するのか、新しくできるようになったことがワークスタイルにどう影響を与え次に何が起こるのか、を考えていく必要があるのだ。

エンタープライズ ソーシャル市場に注力する理由

それで、ようやく本エントリーのタイトルにある 「マイクロソフトが注力する理由」 という話に到達するわけなのだが、エンタープライズソーシャルは、前述のような既存のコミュニケーション メディアの欠点を補完し、それらをより効果的に利用いただくためのアドインであることにある。何も、組織という考え方を根本から消滅させるような新世界にいざなっているつもりはない。組織や既存システムの物理的、技術的限界を、新しい考え方で突破することで、それらがより生産的になる、という話なのである。そして最終的に目指すのは、組織の内部に様々なコミュニティが生みだされ、コミュニティに内における活発なディスカッションと、コミュニティをまたぐ知識の伝達が自発的に行われ、組織の価値に自律的にフィードバックされていく生態系である。

何がどう変わるかは、現在のコミュニケーション システムをどのような思想のもとに展開し、どのように使われているかに依存する。米国企業と日本企業ではこの辺りの事情が違うし、しかし参考にできる部分もある。これ以上続けて書くとブログではなくなってしまうので、興味がある方はぜひ 12/20 のセミナーにご参加いただきたい

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