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プログラミングでメシが食えるか!?

コミュニティで発表する意義

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先日、回線事業者の集まりである、JANOG(日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ)のミーティングでDHCPに関するプレゼンをしてきました。

DHCPも奥が深くて楽しいよ:当日の資料と、2017年2月24日まではアーカイブ配信も公開されています。

JANOGのミーティングは年に2回大きなものが開催されており、昨年の夏に初めて参加してみました。回線事業者を中心としたコミュニティですので、話題はもちろんネットワークに関することが中心で、中でも盛り上がっていた話題は「ルーティング」「DNS」「DOS攻撃」「セキュリティ」あたりでしょうか。以前参加していたWIDEプロジェクトでもやはり「ルーティング」は盛り上がっていました。

私自身はDHCPサーバ製品を開発販売してきましたので、DHCPに関することはいろいろ経験しましたし、他にもWEBキャッシュシステムの開発もしましたので、回線事業者の現場には比較的足を踏み入れている方だと思いますが、元々はプログラマーですので、高価なルーター・スイッチなどのセットアップなどの経験はほとんどなく、ルーティングも専門外です。

ミーティングにはただ参加していてももちろん情報収集にはなりますが、JANOGミーティングは講演の場ではなく、議論の場とされていますので、どうせ参加するなら多くの参加者の皆さんと議論・交流がしたいものです。まずは自分を知ってもらうのが交流では近道ですので、壇上に上がってプレゼンをするのが一番効率的に知ってもらう手段ということは間違いないでしょう。ちなみに、以前参加していたWIDEプロジェクトでもプレゼンしました。

前回参加した際に、ランチ交流やJANOGirlsランチトークのランチ企画に参加し、スタッフの皆さんや、ランチをご一緒した皆さんに、「参加者の皆さんが盛り上がるルーティング関連の話しはできませんが、ネットワークでは重要なプロトコルであるDHCPのことなら話しができるので、DHCPネタでプレゼンするのはどうでしょう?」と聞いてみたところ、「DHCPは過去にもプレゼンはなかった気がするので、プレゼンしてくれれば、皆さん興味・感心はあると思う」という感じの意見でしたので、今回応募し、60分の枠をいただけました。

さて、セミナーなど自分が主催でプレゼンするのとは違い、コミュニティでプレゼンする際には内容に十分注意する必要があります。「宣伝」丸出しのプレゼンは場違いとなり、皆さんと交流できるどころか、悪いイメージを持たれてしまうだけになることでしょう。情報共有や議論のネタの提供で考えなければなりません。また、他の批判をするような内容もよくありません。実はブログとも似たような感じで、このブログもオルタナティブ・ブログというコミュニティで書かせていただいていますので、自社や製品の宣伝ばかりしていては嫌がられてしまうのと同じことです。

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JANOGでは、発表者はこのように紅白の花が付きますので、声をかけてもらいやすくなるというメリットもあります。もちろん、聞く側の立場としても、発表者に質問してみたい場合などに探しやすくて便利なのです。

残念ながら私のプレゼンは最終日でしたので、発表後に声をかけてもらえる時間は短かったのですが、それでも休憩時間にはDHCPに関する談義に花が咲きました。

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プレゼンが苦手な人は多いと思います。今回は800人くらい入れる大ホールで、半分以上は席が埋まっていた感じでしたので、400人くらいからの視線を浴びながら話しをすることになります。

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しかし、お金を払ってもらって講演するわけでもありませんので、大事なのはプレゼンの上手い下手ではなく、内容です。完璧にこなそうと思うから緊張してしまうわけですから、「プレゼンのプロじゃないし、下手なのは当たり前。発表の内容を楽しんでもらおう。自分も楽しんじゃおう!」くらいの気持ちで臨めば良いのです。

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心配性の方は事前に何度もリハーサルして、話す内容も台本を完全に書いてしまう方が楽かもしれません。私はいいかげんな性格なのと、聴き手が盛り上がらない話を続けたくないという背景から、スクリーンに映す資料だけは作りますが、話す内容は決めず、リハーサルもせずにやる方が楽です。話しながら聴き手が笑ってくれたりという反応があれば深掘りしますし、しらけた感じなら軽く流して先に進めるという感じです。

とはいえ、今回はDHCP自体で盛り上がらなかったときのために、「製品ってどういうきっかけで作るの?」とか、技術ネタ以外の話題も盛り込んで、調子に乗ってそんな話しをしすぎたら、技術ネタを深掘りする時間が足りなくなるということもありましたので、まあ、ぶっつけ本番も良し悪しですが。現在公開されているアーカイブ配信を自分で聞くと、あらためて「下手くそだな・・・」と思います。

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JANOGではプレゼンの後に議論の時間があり、とても大事にされています。「質問やコメントが全くなかったらどうしよう?」というのが、実は発表者のもっとも怖いポイントです。もちろん、スタッフの皆さんはそれを分かっていますので、率先して質問・コメントをしてくれますので、本当に一人もいないということはまずないのですが。この写真でも質問・コメントをいただけて嬉しくてニコニコしている様子がよくわかります!

全体終了後の慰労会などでも、気を使って「よかったよ」とか言ってもらえましたが、まあ、お世辞にも上手なプレゼンではなかったでしょう。でも、「DHCPのこういう側面は知らなかったよ」とか声をかけてもらえると「プレゼンしてよかったな」と思うものです。コミュニティは積極的に場に参加することが大事であり、自分自身としてはとても楽しい時間を過ごせましたので、やはり参加するならプレゼンもしたいものです。世の中Give and Takeのバランスが大事だと思っています。情報はもらうばかりではダメで、自分も提供しなければよい関係は長続きしません。今回は自社のメンバーも一人一緒に参加しましたが、プレゼンするメリットを感じてもらえたら、今度は自分で壇上に立ってみて欲しいと期待しています!

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