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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

虫食い引用で自分に考えさせる素材を作る

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”ちょっとこれ、読んでみてもらえますか。

 ただ僕は思うのだが、本当に若い時期を別にすれば、人生にはどうしても優先順位というものが必要になってくる。時間とエネルギーをどのように振り分けていくかという順番作りだ。ある年齢までに、そのようなシステムを自分の中にきっちりこしらえておかないと、人生は焦点を欠いた、めりはりのないものになってしまう。まわりの人々との具体的な交遊よりは、○○に専念できる落ち着いた生活の確立を優先したかった。

村上春樹 「走ることについて語るときに僕の語ること」 文藝春秋 2007年

そうですか、あなたも同感ですか。あなたの場合、○○には何が入るんですか……えっ、それはまた。じゃあもう急がないと、ですね。失礼ですがお歳は……そうですか。でもまだいけますよ、ええ。あなたと同じくらいの歳でそれを始めた人を知っていますけど、ちゃんとやっていますよ。”

……虫食い(ここでは○○とした伏せ字部分のこと)には、質問と同じくらい強く読み手に考えさせる力がありますね。途中までは頷きながら読めますが、最後の一文でハッと「自分は何に専念したいのかな……」と考えさせられてしまいます。

ちなみに村上春樹氏の場合、○○は「小説の執筆」でした。

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