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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

世界一のプレゼンテーションと、スライド小史

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SlideShareで開催されていた、"World's Best Presentation Contest"というコンテストの結果が発表されました。ジャッジが選んだ1位は右の"Shift Happens"。

  • 自己完結していること(SlideShareでは口頭での補足説明ができないため)
  • 飽きやすい受け手を最後のスライドまで引っ張っていける楽しさ
  • 読んで良かったと思える良質なコンテンツ

などのバランスがよく、楽しく読みました。こういういかにも今風、(Cliff Atkinson + Steve Jobs) a la Web2.0みたいなスライドは僕も昨年からお猿さんのごとくマネをして講演などで使っています。

ふと、「こういうのって第三世代だよなあ」という言葉が浮かんできてハッとしました。そこで、慌てて第一世代と第二世代を考え、あてはまるスライドを探してみました…。


第一世代のプレゼンテーションスライドは、こういう感じです。文書で配布する資料の(箇条書きによる)要約を細切れにして掲示する、という発想。重要なことは箇条書きで書いてあるので発表者は楽ですし、同じ資料をハンドアウトとして渡すこともできます。ただし、以下のような難点もあります:

  • 箇条書きの羅列は単調で、印象に残りづらい
  • 中途半端に要約された箇条書きはロジックが見えづらく、よく分からない
  • 待てよ、スライドを読み上げてもらう必要あるのかな(資料をもらって読めばいいのでは)?

1999年か2000年初頭だったと思いますが、当時在籍していたコンサルティングファームで、プレゼンテーションのポリシーとテンプレートが一新されました。その狙いが何だったのか失念してしまいましたが、クリップアートでなく写真を使用すること、資料の目的別に配色を使い分けることなどが含まれており、読み手のEmotionに訴える効果を高める目的があったことは間違いないでしょう。

ということで第二世代のスライドは、視覚効果の重視が特徴。例えばフォントは、掲示しても読めて、印刷しても間延びしない程度の大きめのサイズ(状況によりますが、20~30ptくらいでしょうか)を使用します。チャートや図表も分かりやすさ重視。強調すべきデータ以外は削ります。

そう考えてみると、第三世代の特徴は「認知科学的な配慮」「掲示と配布の分離」になるでしょうか。認知科学的な知見を援用しつつ印象的なイメージと短い文言を重ねるスタイルを定着させたのは、Cliff Atkinson氏の"Beyond Bullet Points"、だと思います。

氏の提案の中で個人的にハッとしたのは、PowerPointのノート欄を配布資料に使うというアイディア。プレゼン資料=配布資料という前提を置いてしまうと、字を減らすといっても限界がありますよね。

なお、「世代」と命名してしまいましたが、旧世代のスタイルがダメというつもりではありません。よく練られた、ハッとするほど見事な第一世代のプレゼンもあります。第三世代は印象づけが重要な講演やWebプレゼンには向くかもしれませんが、スライドを見ながら議論する研修や講義では第二世代のほうがむしろ分かりやすいでしょう。

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