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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

初音ミクが愛される理由

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 昨晩のNHKの番組『つながるテレビ@ヒューマン』 はネット動画特集だった。そのとき私はPCを使っていてテレビをつけていなかったのだが、Twitterで教えて貰ってなんとか後半を見る事ができた。

 番組には初音ミクが登場してニコニコ動画で行われている、集合知活用型の相互作用複合型創作(マッシュアップ)でUGC(User Generated Content)が出来上がる過程も紹介されていた。きちんと下調べをしたのだろう。ポイントを押さえたわかりやすい紹介だった。番組の最後では、八代弁護士が「未完成のものをみんなで作り上げていくという形態も生まれ、それは新しい文化創造のコラボレーションといえる。」とし、併せてこの分野における今の法律上の未整備な点も指摘していた。

 さて、この番組と並行して私のTwitter上のタイムラインは番組実況中継一色になってしまった。特に「初音ミク」が番組に登場すると一斉に「ミクキター!」という雄叫びが飛び交った。ニコニコ動画のほうでもこの番組で紹介された動画にはリアルタイムで「NHKから」というコメントが書き込まれてちょっとした祭りになったようだ。

 この光景を見て改めて、初音ミクがネットの皆に愛されていることを実感した。発売から既に半年がたったのに未だに「初音ミク」の愛され度合いが凄まじいのは何故か。スピード時代で流行の移り変わりや、消費者の飽きが早くなったと言われる今の時代としてはちょっと異色だ。
 ブームが長く続く理由としては、UGCの持つ参加型と育成型という特徴が大きく関連していると思う。初音ミクに限らずニコニコ動画を始めとした今のネット上で出来上がるUGCは、「みんなが自分が得意な分野でちょっとずつ参加する」「最初は不完全でも参加者が協力する事で完成度が上がっていく」「(しかも多分)永遠に完成はしない」という特徴がある。
 前者の2つによって参加者の裾野の拡大と貢献意識を高め、それは最後の一つによって長い期間に続く、そんな仕組みが働いているように思う。

 実際に、今のネットに「私が初音ミクを育てた(ヒットさせた)んだ」と言う自負を持つ人は大勢いるだろう。VOCALOID2作品の作者の多くは多かれ少なくともそういう気持ちを持っていそうだし、育てたとまでは言わないまでも自分の創作活動やブログでの紹介で初音ミクのヒットに多少は寄与したと思う人まで含めると、今や相当の数の人が

初音ミクは俺の(私の)娘

だと思い込むようになっているのだろう。別にこれはなんら悪い事ではない。今後UGCにおけるマーケティングを考える際にとても参考になる事例と手法だ。

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