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8年前のWindowsXP 対 Apple iPodの進化

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遠い昔、遥か彼方の銀河系の地球で、「Windows XP」というOSが誕生した。

それは、2001年11月16日(金)の出来事だった。
http://www.microsoft.com/japan/presspass/addcont.aspx?addid=145

そのOSは、地球上で最も売れたOSとして、歴史上に名前をとどめる事となる。おそらく、Windows7が無事にリリースされても、しばらくは増え続けることだろう。もしかすると、今世紀中は、いや未来永劫に、この記録は破られないのかもしれない。今後ともこのシリーズのOSが有償ならばだが…。

あれから、8年、約3,000日が経過した今でも、サービスパックという無償のパッチを当てることにより、一般的にはまったく問題なくWindows XPは、使用することができる。 

そして、Windows Vistaが、2007年01月30日に発売されるが、「ダウングレードサービス」という新製品より、旧製品の方を選びたい人向けのサービス(?)が展開され続けている。これは、果たしてサービスといえるのだろうか?別にヴィンテージOSが好きな人向けのサービスでもない。

また、ボクの場合、このXPに費やした費用よりも、この間にシマンテックや、マイクロトレンドに、OSの脆弱性によるウィルスソフトに支払った金額の方が上回った。

さすがに、Microsoftが、同様のサービスに参入した時には、頭に来たが…
http://onecare.live.com/standard/ja-jp/purchase/default.htm
(PC 3 台まで使用可能で年間 5,775 円もする)

さらに、現在主流となりつつあるネットブックの基本OSは、Vistaではなく、XPなのであるから、この製品の偉大さを物語る。この劇的に進化するIT業界の中で、8年も前に誕生した製品が、いまだに愛用されているという構図は、すばらしいとしか言いようが無い。

同じ頃に、誕生したApple iPodの変化を見てみよう。

「Windows XP」が発売される24日前、2001年10月23日、第一世代の初代iPodが誕生している。
「iTunes」という「CDリッピングソフト」が無償でリリースされる。
5GBのハードディスクドライブ(約1,000曲)を搭載し、価格は399ドルで重さは185gであった。

そして、現在のiPod Shuffleは、4GBのシリコンメモリとなり、ハードディスクや、さらにスイッチもなくなっている。値段は1/4、重さは10.7gであるから94.2%のダイエットである。さらに、iPhoneという電話機能がついたiPodが世界で1700万台販売されている。iPodTouchの1300万台を合計すると、約3,000万台のキーボード&マウスレスの、タッチテクノロジーのユビキタスOSが広がっている。

CDリッピングソフトであった「iTunes」は、「iTunes Store」となり、世界最大の音楽流通サイトとなった。さらに、「PodCast」という音声配信のプラットフォームとなり、いまや映画やテレビ番組まで販売している。

これでも、変化の早いIT業界で考えると、実は、普通の3,000日間分(8年間)の当然の進化なのだろう。

一方、MicrosoftのWindows XPの3,000日間は、サービスパックがたったの3回だけ登場しただけである。8年間にたったのこれだけだ。
これほどまでに完成されたOSを登場させたMicroSoftは驚異とも言える。

その間、MacOS Xは何匹のネコ科を隔てただろうか?

しかも、2009年第2四半期(2008年10〜12月)の売り上げは、
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3615
前年同期比2%増の166億3,000万ドル。Client部門はVistaがこんな最悪な状況でも、8%ダウンしただけ、Server & Tools部門は年賦ライセンス販売が貢献し、このご時世になんと15%もアップしている。

反対にAppleの2009年第1四半期(2008年10〜12月)の売り上げは、
http://www.apple.com/jp/news/2009/jan/22results.html
過去最高の101億7,000万ドル。Appleの売り上げは、過去最高でも、Microsoftの約3/5しかないのだ。

Microsoftのビジネス効率は、まさに驚愕に値する。

8年前の製品と、それに劣る新製品OS、税金のように課せられたライセンシーで、進化し続けてきたAppleをモノともしない。

しかし、今後のクラウドコンピューティング時代、Microsoftの未来はどこへ向かうのだろうか?

ボクがゲイツなら、いや、バルマーなら、即刻、XPをフリーライセンスにして、全世界のPCに無料でインストールし、量的制覇を貧困国でも展開してから、次の戦略を考えるだろう。

おそらく2010年初頭(遅れることがあっても、早まることはない)に、Windows7が出荷されてからの売り上げを見ながら、バルマーは、その時期を判断するのだろうが…もはやOS、しかもパッケージという製品での販売では、2010年が最後の収穫の年となることだろう。

次なる、MicroSoftの金のなる木をバルマー将軍は、果たして見つけることができるのだろうか?

遠い昔、遥か彼方の銀河系の地球という星の21世紀初頭のお話しでした。

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