マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

「タブレット」な男たち。「iPad mini」 vs 「Nexus 7」 vs 「Kindle Fire HD」。-データから見るペルソナ図鑑(32)-

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 ここまで3回にわたり、シングルソース・消費者パネル「ぺるそね」のデータを元に、2014年もホットになりそうなタブレット市場の男性ユーザーを見て参りました。最初にスポットライトを当てたのはiPad mini、続いてNexus 7、最後にKindle Fire HDを取り上げました。それぞれペルソナをつくり、なんとなくユーザーのイメージも出来上がりました。

 一つ一つのグループの分析では見えない事も、比べてみるとわかることもあるかも知れないと思い、この3つグループの方々を比べてみることにしました。


【いろいろとポジショニングしてみると...】

 最も平均年齢が高く、最も世帯年収が高いのは「iPad miniな男性」。「Kindle Fire HDな男性」と「Nexus 7男子」は年齢差はわずかで「Nexus 7男子」の方が少しだけ若くなっています。逆にこの二つのグループを比べると、世帯年収は「Nexus 7男子」の方が少しだけ高くなっています。3グループとも男性全体に比べると世帯年収が高めでした。その中でも「iPad miniな男性」の年収、可処分所得の高さは群を抜いています。

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 3グループとも、デジタル家電への関心が高くなっています。最も高いのは「iPad miniな男性」で、次いでNexus 7男子、最も低かったのはKindle Fire HDな男性でした。比較としてファッション関心度も比べてみました。ファッション関心度でも「iPad miniな男性」がトップ。ファッション関心度では「Kindle Fire HDな男性」の方が「Nexus 7男子」よりも高くなっています。「Nexus 7男子」はファッションへの関与が低いのが特徴です。

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【デジタル家電の購入時重視ポイント】

 多少の差があるとは言え、3グループともデジタル家電への興味が高いことだけは間違いありません。それではデジタル家電の購入時重視点を見て行くことにしましょう。この手の分野では当然ながら機能・性能が最も重視される項目になります。次いで価格、あとサイズ・重量も大事ですね。まあ、ブランドやデザインはそのあたりを満足させて初めて出てくる項目になります。

 購入時重視点では、3グループで多少差があります。このあたりに注目すると、それぞれのデジタル家電との関わりが見えてくるかも知れません。

 まず「Nexus 7男子」がトップに来るのが「機能・性能」と「サイズ・重量」です。さすがテクノロジー重視のギーク層という感じがしますが、数字で表れてくるスペックのようなものに価値を置いているのがよくわかります。

「iPad miniな男性」がトップに来るのが「ブランド」と「デザイン」です。こちらは数字に表れない価値を大事にしている人達なのかも知れません。デザイン重視といってもタブレットのデザインにあまり大きな差はないと思うのですが、それでもアップル製品はそこはかとない雰囲気をかもしだしています。まあ、オリジンとしての存在感とでも言うのでしょうか。

 で、「Kindle Fire HDな男性」がトップに来たのが「価格」「買いやすさ」「サポート体制」でした。KindleはAmazonのサービスと直結したビジネスモデルの元で、ハードウェアの価格はかなりおさえられています。このあたりのお得感がこの人達にアピールしているのかも知れません。

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【消費傾向の特徴を比較してみると...】

 3グループに共通している消費傾向は、「新商品の情報はマメにチェックしている」点にあります。人よりも先に新しいモノを使いたいというイノベーター的な資質の高い人達です。

 一方で「iPad miniな男性」は「ブランドモノを持つのが好き」な人達です。自分が選ぶモノは周りの評価が定まっていることが重要で、多少価格が高くてもブランドの信頼感にお金を使う人達と言えるでしょう。

 「Nexus 7男子」と「Kindle Fire HDな男性」は「売れ筋ランキングを見て買い物をすることが多い」人達です。Nexus 7はGoogle、Kindle Fire HDはAmazonの商品ですね。特にAmazonはランキング情報が充実していますし、Googleも検索結果で注目度の高い順に表示するあたりは、やはりランキング情報と言えます。多くの人が購入していることの安心感とトレンドをしっかりおさえたいという心理の現れかも知れません。

 それぞれの特徴を一言で言うと、「iPad miniな男性」は、「ブランド志向のおしゃれな大人で、ワークライフバランスのとれたゆとりのある人達。」「Nexus 7男子」は、「スペック重視のギーク層で、自分の得意の分野には見識を持っていたい人達。」「Kindle Fire HDな男性」は「上昇志向のチャレンジャーで、グローバルセンスを持ち、決めたことはストイックに完遂しようとする人達。」という感じですね。

 タブレットな男性の3つのグループのペルソナ・イラストを再掲しておきます。ご確認ください。

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【タブレットの普及率は2013年中にキャズムを超えた】

 さて、総務省が今年の1〜3月に実施した調査*によると、タブレット型端末の普及率は前年末の8.5%から15.3%に上昇したそうです。ぺるそねの調査は2013年8月で、タブレットの所有率は16.3%でした。この普及率16%というのはマーケティングに携わる人間にとっては割と重要な数字です。スタンフォード大学のロジャース博士によって提唱されたイノベーター理論の中で、イノベーター2.5%とアーリーアダプター13.5%を足した数字が16%なのです。今回ご紹介した3つのグループはそういう意味で先行層の方達です。

 で、この16%が一つの壁(キャズム)と言われており、ここを超えると新しいカテゴリーの商品やサービスは一気に普及が進むとされているのです。いわゆる「キャズム」超えです。今年、日本のタブレットの普及率はキャズムを超えたと見て差し支えないと思います。だとすれば、2014年以降は一気に普及が進むのかも知れません。

 最近Kindle Fire HDXのCMが大量に流されています。現在のユーザーとはかけ離れた一般の方達に向けたCMです。Amazonは日本のタブレット普及率が16%を超えたあたりを見極め、マジョリティーに向けたプロモーションを一気に加速し始めたのかも知れませんね。

 あわせてこちらもお読み下さい。

「iPad miniな男性」を調べてみた。
「Nexus 7男子」について。
「Kindle Fire HDな男性」ってどんな人?


*全国の20歳以上の世帯主がいる約4万世帯を対象に2013年1〜3月に郵送で実施。有効回答率は約5割。

*データは「ぺるそね」調べ。2013年8月 n=30,473
*「シングルソース・消費者パネル ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
*無料でぺるそねの分析機能を利用できる「フリープラン」のサービスを開始しました。
*「シングルソース・消費者パネル ぺるそね」の詳細はこちらへ。
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