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マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

「レッドブル女子」ってどんな人?-データから見るペルソナ図鑑(26)-

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 今年の6月にスターバックスから発売された「リフレッシャーズ」。従来男性中心のだった「エナジー(栄養)ドリンク」市場に、スターバックスが女性を意識した商品を投入したことにちょっと驚きました。

 確かにこの流れ、「レッドブル」が登場してから顕在化してきたような気がします。「レッドブル」はオーストリアのレッドブル社が販売する清涼飲料水で、世界160カ国以上で販売されています。エナジードリンクというカテゴリーを確立し、2009年の販売本数は39億本というヒット商品です。日本でも「2008年〜2011年にかけて、売上は約6倍に拡大した」そうです。

 日本で栄養ドリンクと言えば、製薬会社のドリンク剤が思い浮かびますが、どちらかと言うと「疲れたサラリーマン」のためのもの、という印象です。これに対し「レッドブル」は若い世代をターゲットにしたマーケティングでそのポジションを確立しました。これに追随しているのが「バーン」(コカコーラ)、「モンスターエナジー」(アサヒ飲料)、そしてスタバの「リフレッシャーズ」。一気に競合が激化してきました。

 今回はこの「レッドブル」を飲んでいる女性を見てみたいと思います。

【レッドブルを愛飲する人たち】

 そもそもレッドブルを飲んでいる人たちはどんな人なのかを見ていきましょう。「クラウド型消費者分析ツール『ぺるそね』」から「レッドブル」をよく飲んでいる人を検索すると686人いらっしゃいます。

 年齢は20代の比率が高く、全体の3分の2が男性、3分の1が女性。性別は男性の比率が高くなっています。職業は大学生と会社員が多く、未婚の比率が高くなっています。月のお小遣いは平均33,289円で、全体の平均27,075円を上回っています。30,000円〜50,000円がトップボックスとやや可処分所得の多い人たちと言えるでしょう。

 「レッドブル」をよく飲む人686人のうち女性は239人。この人たちを「レッドブル女子」とします。男性よりも20代の比率が高くなっています。職業は「大学生」「会社員」「派遣・契約社員」が女性全体より多くなっています。お小遣いも平均30,236円で、女性全体の平均21,059円を大きく上回っています。

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【ビジネスに興味が高く、お酒好き】

 「レッドブル女子」はお酒が好きです。お酒への関心の高さはレッドブルの男性ユーザーよりも高いほどです。趣味は「ネイル」「スパ」「エステ」に次いで「お酒」「写真」「カラオケ」「スポーツ」「グルメ」などが高くなっています。

 興味関心事は「ビジネス」「恋愛結婚」「ライブイベント」「ワイン・ウィスキー・洋酒」「デザイン」「住宅・土地」「日本酒・焼酎」が女性全体と比較し対比倍率が高い項目です。特に「ビジネス」は対比倍率が3.3倍になっています。

 身体を動かすのも好きで「ジョギング」は女性全体との対比倍率が4.5倍、「水泳」が1.9倍、「サイクリング」が3.4倍。60%の人が何らかのスポーツをしています。「雑貨・インテリアショップ」に良く顔を出し、「プラザ」「スリーコインズ」「ビレッジバンガード」などがお気に入りです。

 お酒はよく飲んでいます。ほぼ毎日家で飲む人は16.9%。週一回以上飲む人は57.6%に達します。外で飲むのは週一回以上飲む人が26.5%で、家飲みが中心のようです。よく飲むお酒の種類で、数値的に多いのは「ビール」「チューハイ」「カクテル」「ワイン」ですが、対比倍率では「テキーラ」「ラム」「ウォッカ」「ジン」などが挙がり、幅広くお酒を楽しんでいる姿が見えてきます。

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【アクティブで元気な肉食系?】

 消費傾向は「ブランドものを持つのが好き」で「新商品の情報はまめにチェックする」人たちです。目指しているセルフイメージは「自由な」「センスがよい」が高くなっています。好きなブランドに関してはいつものようにペルソナイラストを掲載しますのでご参照下さい。

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 ここまでのデータを総合すると、アクティブで、仕事にも一生懸命な「肉食系」を自任する20代の女性の姿が見えてきます。ついつい頑張ってしまうから「スパ」や「エステ」で癒されたいと思っているし、「スポーツ」をしたり、「お酒」を飲んで発散する必要があるのでしょう。そして、仕事で頑張った自分へのごほうびに「ブランドもの」を購入するという消費シーンも想像できます。

 そんな彼女たちですから、ちょっと疲れたと感じたとき、「レッドブル」をグビっと飲んで「気分を上げて」いるのではないでしょうか。面白いなと思ったのは、彼女達が目指すセルフイメージが「自由な」というワードだったことです。「レッドブル」のキャッチコピーは「翼を授ける...」でした。これって「自由」を目指す彼女達にぴったりのキャッチフレーズだと思いませんか?

 さてここまで「レッドブル女子」を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。「レッドブル女子」がお酒が好きな人たちだったとはちょっと意外でした。であれば、もっとお酒好きの人たちが集まっていそうな「ウコンの力」を飲んでいる女性たちはどんな人なのか?という疑問がわいてきたので、次回は「ウコンの力女子」について見てみたいと思います。


*今回のペルソナイラストは「ペルソナ着せ替えキット」を使って作成しました。
*データは「ぺるそね」調べ。2012年6月 n=31,444
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
*機能をフルに試せる「トライアル・パス」のサービスを開始しました。

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