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マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

再び「フェイスブック(facebook)女子」と「ミクシィ(mixi)女子」を比較してみた。ーデータから見るペルソナ図鑑(24)ー

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 昨年(2012年)の1月に誠ブログにデビューし、マーケティング関係の方々に向けて「消費者理解コトハジメ」というテーマで細々と投稿してきました。その中で一番読んでいただけた記事が「facebook女子とmixi女子の違いとは?」という記事でした。

 その後、お会いした方に「あの記事、読みました」と言われることも多く、「新しいデータではどうなってますか?」と聞かれることもあります。ちょっと時間が空いてしまって恐縮ですが、更新されたデータ(2012年7月公開)をもとに再び(懲りずに)比較してみたいと思います。


【女性のSNSの利用状況】

 クラウド型消費者分析ツール「ぺるそね」の回答者31,444人中、女性は16,175人。その人たちが利用しているソーシャルメディアのトップは23.8%の「mixi」でした。次いで「Twitter」「facebook」と続きます。但し「mixi」は前年が27.5%でしたので、約4ポイントほど減っています。それでも女性に限れば「mixi」が強い状況であることには変わりありませんでした。

 一方の「facebook」は19.3%で、女性に限れば3番目になっています。ところがこれ、前年の数値を見てみると9%でしたので、倍以上の伸びとなっています。2011年~2012年にかけて、「facebook」が大躍進したのは記憶に新しいところです。それに伴って当初、尖ったユーザーだけだったのが、少し平準化しました。

 性別から見た利用しているSNS
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【デモグラフィック的な差が無くなってきた】

 「ぺるそね」の女性回答者16.175人中、「フェイスブック(facebook)」を使用している方は3,122人いらっしゃいます。これを「facebook女子」と定義します。一方「ミクシィ(mixi)」を使っていらっしゃる方は3,844人で、これを「mixi女子」と定義します。年齢層的に「女子」というのはどうなの?という声もありますが、ここは便宜的に定義させてください。

 ちなみに2012年2月の記事の時の人数は「facebook女子」が1,402人、「mixi女子」が4,299人でした。「facebook女子」が大幅に増加し、「mixi女子」が減少したことによって、どちらも3,000人超のセグメントの比較ということになります。

 年齢層は25歳〜39歳では「mixi女子」の方が20%〜30%ほど多くなっています。逆に40歳以上で「facebook女子」の方が多く、「facebook」の方が幅広い年代に使われているのがわかります。「facebook」「mixi」とも、メインは20代の女性です。平均世帯年収は「mixi」が549万円、「facebook」が595万円で、46万円の開きがあります。ちなみにぺるそねの女性全体は571万円でした。既婚率や家族構成など、大きな違いは見受けられません。前述のように、デモグラフィック的な差が前回ほど見られないのは「facebook」が普及したことによって差がなくなってきたためと考えられます。


【価値観や嗜好を比較してみると...】

 「facebook女子」は「周囲の人からアドバイスを求められることがよくある」「できるだけ周りの人とは違うものを持ちたい」という傾向が強く、「センスがよい」「前向きポジティブ」と思われたい人が多くなっています。一方の「mixi女子」は「次から次へと欲しいものが出てきて困る」「周りの人が持っているモノを見て、思わず欲しくなってしまうことが多い」という傾向が強く「かわいい」「自分らしさがある」と思われたい人が多くなっています。

 趣味を見てみると、「facebook女子」が高いのは「海外旅行」が対比倍率1.6倍、「園芸・ガーデニング」が対比倍率1.2倍となっています。一方「mixi女子」が高いのは「漫画」「カラオケ」が対比倍率1.3倍となっています。このあたりの傾向は2012年2月の記事の時とあまり変わっていません。

 趣味の比較
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 お酒の嗜好の差は顕著です。「facebook女子」の方がお酒を飲む機会が多いのも前回と同様で、好むお酒の比較をしてみると「facebook女子」は「ビール」「日本酒」「焼酎」「ワイン」が高く、「mixi」は「チューハイ」「カクテル」が高くなっています。このあたりの傾向も前回と同様です。

 また、スポーツを行っている人は「facebook」女子の方が多く、「ジョギング」「テニス」「エアロビクス」「ゴルフ」「サイクリング」の「mixi女子」との対比倍率が1.3〜1.6倍でした。また「mixi女子」の好きなキャラクターで目立っているのは「リラックマ」で、このあたりも前回と同様の傾向が出ています。ファッションの嗜好についてはいつものようにペルソナ・イラストを掲載しますので、ご確認下さい。

 ペルソナ・イラスト
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【デモグラフィックは近いが、価値観や嗜好に違いがある】

 今回の「facebook女子」と「mixi女子」の比較は、年齢層、職業などの傾向は似通っていて、数量的にも大きな差が無いセグメント同士の比較となりました。デモグラフィックに違いが少ないセグメント同士の比較でも、利用しているSNSなどのサービスやブランドの違いによって、価値観や嗜好面での違いが見られる、ということが今回の比較でわかると思います。

 それにしても「mixi」の減少幅が気になります。2011年9月から2012年6月の間に、約10.5%の減少でした。以前「mixi」と「facebook」を比較して、「『mixi』は極めてパーソナルなコミュニティを形成し、『facebook』はビジネスまで含めたパブリックなコミュティを形成していると思う。」と書きました。しかし、「mixi」の形成している極めてパーソナルなコミュニティは、今「Line」が担っており、若年層ではさらにその傾向が強くなっています。(「Line女子について」をご参照下さい。)大人のコミュニティを担う「facebook」と、若年層のコミュニティを担う「Line」とに挟まれて、「mixi」はそれぞれから浸食されているようなイメージとなっているのではないでしょうか。

 ソーシャルメディアの主戦場がスマートフォンになって行く中、伸びて行くのは「リア充」志向の人たちをサポートするソーシャルメディアのような気がします。今回大幅にユーザーを伸ばした「facebook」も、その後急速に伸び続けている「Line」も、分析してみると、リア充志向の人たちが多いようです。それは、SNSの利用者がリアルな生活をベースとしたコミュニティに軸足を移している、ということではないでしょうか。そのような中で、先日(5/15)に社長交代を発表し、新しい体制のスタートをきった「ミクシィ(mixi)」。果たしてどんな戦略を見せてくれるのか、今後が楽しみです。

*データは「ぺるそね」調べ。2012年6月 n=31,444
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
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