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マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

「ライン(LINE)女子」について。ーデータから見るペルソナ図鑑(21)ー

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 「ライン(LINE)」は韓国のNHNの日本法人であるNHN Japanが提供しているアプリケーションで、ソーシャルネットワーキング的機能を持ったインスタントメッセンジャーです。その話題性の高さは、急激なユーザー数の増加、グローバルレベルに拡大しているというポイントにあります。全世界で1億ユーザー、国内でも4000万ユーザーを超えると言われています。今回は「ライン(LINE)」の女性ユーザーについてのお話しです。


【若いスマホユーザーがメインユーザー】

 「クラウド型消費者分析ツール『ぺるそね』」の31,444人中、利用しているwebサービスで「ライン(LINE)」を選択した人は1,404人いらっしゃいます(2012年6月調査時)。最近の勢いを見ていると、もっとユーザーは増えていると思います。そう言う意味ではこの1,404人は比較的早い時期から「ライン(LINE)」を使っていた方達と言えるでしょう。

 やや女性が多く、平均年齢も最も若いポジショニングとなっています。目立つのは10代〜20代の方達で、高校生、大学生などの学生さんが全体に比較し3倍以上の出現率。特にスマホの利用率が高く、携帯電話に関心の高い方達です。このうち女性は755名で、この方達を「ライン(LINE)女子」として見ていくことにしましょう。 

 利用しているwebサービスのブランドポジション(年齢×性別)
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【「ライン(LINE)女子」ってどんな人】

 「ライン(LINE)」の女性ユーザーは、15歳〜29歳の比率が約半数。「クラウド型消費者分析ツール『ぺるそね』」の女性全体と比較しても、出現率は約3倍ほどあり、若い女性達の圧倒的な支持を得ていることがわかります。特に大学生の出現率は4.2倍となっています。

 趣味は「ネイル」「カラオケ」「写真」「ショッピング」などが女性全体と比較し、1.6〜3.2倍の出現率となっており、興味関心事では、「恋愛・結婚」「ライブ・イベント」「コスメ」「デザイン」「ファッション」「美容」「語学」「雑貨・インテリア」あたりの出現率が女性全体と比較し1.5〜3.0倍高くなっています。

 彼女達の情報入手経路を見てみると、スマートフォンによるインターネットが群を抜いており、全体と比較し5.2倍の出現率です。その他、雑誌、口コミなどの比較出現率が高くなっています。

 情報入手経路
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【買い物好きで、欲しいものが沢山ある】

 この人達の消費傾向を見てみると、「買い物をするのは楽しいことだと思う」「次から次へと欲しいものが出てきて困る」が上がってきており、趣味でも「ショッピング」と答えた人が44.8%となっているところから特に「買い物好き」であることがわかります。よく利用する流通業態からも「ショッピングモール」や「雑貨・インテリアショップ」に頻繁に顔を出し、「コンビニ」で毎日のように新商品をチェックしている姿が浮かんできます。

 メイク用のコスメは「ケイト」「マジョリカマジョルカ」「メイベリンニューヨーク」が出現率、対比倍率とも高くなっています。また、雑貨・インテリアショップでは「ロフト」「フランフラン」「イケア」などによく行っています。全般的にオシャレでセンスのよいお店が好まれているようです。

 スマートフォンは「iPhone」が38.1%で女性全体と比較しても4倍の出現率。次いで「シャープ」「ソニー」が続いています。携帯電話に関する関心度も高く、「ソーシャルメディア」の利用率も高くなっています。利用しているのは「facebook」が最も高く、女性全体との対比倍率も2.8倍となっています。前述のようにスマートフォンを介したインターネットからの情報入手も盛んに行っている人達です。

 好みのファッションブランドは「H&M」「フォエバー21」「ザラ」などのファストファッションがお気に入りで、出現率こそ少ないものの、「マウジー」の出現率が女性全体と比較し4.5倍と高くなっているのが目を引きます。バッグは「ルイヴィトン」「サマンサタバサ」を好んで所有しています。

 また、変わったところでは、チョコレート菓子の「ブラックサンダー」やミネラルウォーターの「い・ろ・は・す」の支持率が高いのも特徴的です。いつものようにペルソナ・イラストを掲載しますのでご確認下さい。

 ペルソナ・イラスト
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【「ライン(LINE)」は「初期スマホ時代」のキラーサービス】

 この人達の目指すセルフイメージは「センスのよい」「かわいい」などが上位に来ており、他には「楽しい」「明るい」など、ポジティブなイメージが伝わってきます。多分、友人とのコミュニケーションにおいてもこのあたりを目指しており、「ライン」の手軽で楽しいコミュニケーションや、スタンプを利用した「ツッコミあい」などが彼女達のウォンツとマッチしたのかも知れません。

 「ライン(LINE)女子」を見てみると、ここ1〜2年の内にスマートフォンに機種変した若い人達のキラーサービスとなっているようです。ガラケーによって、友人達と行われていた、「絵文字による頻繁なメール交換」の習慣をさらにシンプルにし、手軽に素早く相手に「ツッコミどころ満載のスタンプ」を送れる点が受けたのではないでしょうか。

 彼女達は「facebook」も併用している率は高いのですが、どうも親しい友人達とは「ライン(LINE)」で盛り上がることの方が多いようです。「facebook」にも「Poke」(以前は「あいさつ」と訳されていた)というちょっかいをかける機能がありますが、「ライン(LINE)」によって「ツッコミどころ満載のスタンプ」を送った方が、相手にちょっかいをかけている感が強いのではないかと思います。(自分のセンスも伝えられますし...)

 ユーザー数の増加に伴いソーシャルメディア的な側面も強くなってきました。また、企業のマーケティングプラットフォームとしての活用事例も増えてきています。スマートデバイスをめぐるサービスはソーシャルメディアであれ、メッセンジャーであれ、ユーザーの生活時間シェアをどれだけ獲得できるかの競合になってきました。


*データは「ぺるそね」調べ。2012年6月 n=31,444
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
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