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マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

デジカメ市場を眺めてみた。-消費者データから見るブランドポジション(3)-

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 「クラウド型消費者分析ツール『ぺるそね』」の2012年6月調査では、「デジカメ」についても聞いています。有効回答数31,444人(男性:15,269人、女性:16,175人)の方にアンケートに答えて頂いています。それでは「ぺるそね」の「マーケットを知る」から「デジタルカメラ市場」を見てみましょう。


【デジカメ市場を見てみる】

 「ぺるそね」の全回答者は31,444人、そのうち「デジカメ」について答えていただいた方は23,600人で、全体の75%にあたります。内閣府の消費動向調査の普及状況と照らし合わせて見ると、「デジタルカメラ」は2012年3月末の時点で73.3%ですので、ほぼ一致しています。「ぺるそね」回答者の「デジカメ」ユーザーの男女比は半々でした。平均年齢もほぼ一致しているため、各年代層に行き渡っていると考えられます。

 メーカー別のランキングを見てみると「IXY DIGITAL」がトップで16.4%。続いて「EXILIMシリーズ」が15.0%、「Cyber-shotシリーズ」が12.6%、「COOLPIXシリーズ」が12.4%、「FinePixシリーズ」が10.0%と続きます。キヤノン、カシオ、ソニー、ニコン、富士フィルムがベスト5です。

 ベスト15位までを見てみると「LUMIX Gシリーズ」「EOS DIGITALシリーズ」「EOS Kissシリーズ」「Dシリーズ」などがのデジタル一眼の上位機種が顔を出してきます。いま、コンパクトデジカメ市場よりもデジタル一眼市場の方が活気づいていますが、ベストテンの後半にはデジタル一眼のシリーズがシェアを占めています。

 ランキングベスト15
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【ブランドポジションを見てみる】

 「ぺるそね」のブランドポジションマップは上位15位までのブランドをマッピングできるようになっています。デフォルトでは「平均年齢」と「男女比」になっていますので、そこから見てみましょう。

 平均年齢が低いグループに入ってきたのは「LUMIX Lシリーズ」「Cyber-shot」シリーズです。一方平均年齢の高いグループは「Dシリーズ/ニコン」「EOS DIGITALシリーズ」でどちらも男性が多くなっています。性別と年齢のポジショニング・マップを見てみると、年齢層の高い男性のエリアでバリエーションが広がっていますが、その他のエリアにはほとんど広がっていないことがわかります。

 ポジショニング・マップ(年齢×男女比)
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 世帯年収と子供人数のポジショニング・マップを見てみると、最も年収の高いエリアにポジションされたのは「Dシリーズ/ニコン」「EOS Kissシリーズ」「LUMIX Gシリーズ」でした。一方年収の低い方は「μシリーズ」「FinePixシリーズ」「EXILIMシリーズ」でしたが、「μシリーズ」を除くと平均ラインに近くなっています。

 子供人数が多いのは「EOS Kissシリーズ」「Dシリーズ/ニコン」「μシリーズ」となりました。一方、子供人数が最も少ないのは「OLYMPUS PEN」で、やや少なめなポジションが「Cyber-shotシリーズ」「COOL PIXシリーズ」「FinePix Sシリーズ」となっています。「EOS Kissシリーズ」が、コマーシャル等で子供を撮るママ、パパに向けてアプローチしているのが、その通りになっているみたいですね。また、ファミリーではなく、多分、最も個人に近い位置にポジションされているのが「OLYMPUS PEN」というのも納得できます。

 ポジショニング・マップ(世帯年収×子供の数)
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【蛇足ですが...】

 現在はコンパクトデジカメを使うより、スマートフォンを使って写真を撮る方が一般的になって来ています。写真共有サイトで「iPhone 4s」での投稿が一番多くなったというのが昨年のことでしたので、この流れは止まらないと思います。写真を撮った後、どう楽しむのかも、確実にネットを介した楽しみ方に比重が移っています。写真共有サイトやソーシャルメディアでの共有、投稿が主流になりました。

 コンパクトデジカメを使って、ネットで写真を楽しむのはちょっとハードルが高くなってきました。なにより、そのインターフェースが使いづらいというのが致命的です。スマホでの写真共有に慣れてしまうと、もう一々パソコンに取り込んでからネットに上げるという作法に戻れなくなってしまった人が大勢いると思います。

 現在はデジタル一眼が売れ筋になってきて、交換レンズの市場も拡大してきましたが、写真の楽しみがネット中心であることに変わりはありません。多分、様々なレンズで写真を撮って、ネットで楽しむためのユーザー体験を、より革新的に提供できるところがこの市場の勝者になっていくのかも知れません。


*データは「ぺるそね」調べ。2012年6月 n=31,444
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
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