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マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

「ニトリなママ」と「イケアなママ」-データから見るペルソナ図鑑(10)-

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 これまでソーシャルメディアやパソコンなど、IT系のブランドを取り上げてきましたので、今回は少し趣向を変えて「雑貨・インテリアショップ」のカテゴリーから「ニトリ」と「イケア」にスポットを当ててみたいと思います。

 「おねだん以上、ニトリ」のCMでおなじみのニトリは、家具業界では珍しく、製造から小売りまでを統合した業態(GAP、ユニクロなど、アパレル業界のSPAと同様の業態)で、現在も店舗を着々と拡大しています。

 一方、イケアはスウェーデン発祥の世界最大の家具販売店で、日本では、2006年に千葉県船橋市に一号店がオープン。こちらも着々と店舗を増やしています。もともと、「ニトリ」の事業展開は「イケア」を手本としたという話もあります。どちらも家具だけを扱っている訳ではなく、家具とホームファッションを共に扱う「ホームファニシング」の分野でのトップブランドです。


【雑貨・インテリアショップのマーケットを見てみる】

 クラウド型消費者分析ツール「ぺるそね」には「マーケットを知る」という機能があります。カテゴリーから「雑貨店/インテリアショップ」を選んでみると、このカテゴリーでのランキングが出てきます。トップは「ニトリ」次は「無印良品」。以下「東急ハンズ」「ロフト」「イケア」と続きます。「ニトリ」によく行く人は36.7%。一方「イケア」によく行く人は10.2%でした。店舗数の割には「イケア」のマインドシェアは高いと言えます。

 これらのブランド選んだ人は、性別ではどちらも女性比率が高くなっています。また、ブランドのポジションを「年齢」と「平均世帯年収」にしてみると、年齢層はやや「ニトリ」が高く、世帯年収では「イケア」が高くなっています。

 雑貨・インテリアショップのポジショニング
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 今回比較するセグメントを決めましょう。「イケア」の出店状況を見てみると、首都圏と近畿圏になっています。したがってここでは「首都圏在住の女性」に絞ってこの二つのブランドユーザーを比較してみたいと思います。


【「ニトリなママ」と「イケアなママ」】

 「ぺるそね」の首都圏在住の女性は5,955人。そのうち「ニトリ」によく行く人は33.8%の2,016人、この方達を「ニトリなママ」としましょう。「イケア」によく行く人は18.9%の1,125人、こちらは「イケアなママ」とします。

 「ニトリなママ」の平均年齢は43.6歳、「イケアなママ」は42.3歳でその差1.3歳。それほど大きな違いはありません。平均世帯年収では「ニトリなママ」は632万円、「イケアなママ」は692万円でその差は60万円。こちらはちょっと違います。その他の基本属性の違いはあまり見受けられません。ちょっとした違いと言えば、「ニトリなママ」の方が一戸建て志向が強く、「イケアなママ」の方が集合住宅志向が強いことくらいですが、それほど大きな差ではありませんでした。また、最終学歴では「イケアなママ」の方が大学卒が30%ほど多いようです。

 以下「ニトリなママ」と「イケアなママ」の特徴的なポイントを挙げておきます。
  • どちらも「住宅・土地」への興味が女性全体と比較し1.5〜1.9倍高い。
  • 「ニトリなママ」は新しく出た商品は実際に買って試す人達で、多くの人が訪れる話題のスポットに出かけるのが好き
  • 「イケアなママ」はブランドものを持つのが好きで、周囲の人からアドバイスを求められることがよくあるタイプ
  • 「ニトリなママ」の趣味は「国内旅行」「映画鑑賞」「読書」「ショッピング」などが上位に来るが、全体と比較してもあまり変わらない
  • 「イケアなママ」の趣味は「グルメ」「海外旅行」「料理」「ドライブ」などが全体と比較して1.4〜1.7倍高い。
  • 「ニトリなママ」の思われたいセルフイメージは「あたりさわりのない」「元気な」などが全体と比較し高い
  • 「イケアなママ」の思われたいセルフイメージは「センスがある」「粋な」「洗練された」「ワクワクさせる」などが全体と比較し高い


【「ニトリなママ」と「イケアなママ」の消費行動】

どちらもショッピングが好きですが、よく利用する流通業態では「イケアなママ」の方が「デパート百貨店」「ショッピングモール」「雑貨インテリアショップ」によく行くと答えた率が高くなっています。ちょっとした年収の差がショッピングに対する積極性になっている可能性はあります。

よく利用する流通業態
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 クルマはどちらもフィット、プリウスがトップに並んで来ますが、その他ではミニバン系が上位にランキングされます。「イケアなママ」はベスト7に「フォルクスワーゲンのゴルフ」が入っており、全体と比較し2.0倍の所有率となっています。また、「イケアなママ」はシャンプー、スキンケア化粧品に「ロクシタン」を選んだ人が多くなっています。その他、ファッション的な嗜好はいつものようにペルソナイラストにまとめましたのでご参照下さい。

ペルソナ・イラスト
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 「イケアなママ」は「ニトリなママ」に比較し、興味関心ごとに「デザイン」や「雑貨・インテリア」を選んだ人が多くなっており、このあたりにこだわりがある先行層と言えます。今後ニトリはこの先行層に対して、アピールできるだけのブランディングとデザイン提案力が求められるでしょう。アパレル市場において、海外のファストファッションに包囲されながら、健闘しているユニクロのような存在になる必要があるのではないでしょうか。

 さて、「ニトリなママ」と「イケアなママ」の比較をアンケートデータから見て参りましたが、いかがでしたでしょうか?次回は先日大幅な赤字を計上し、再建に向けて動き出した「ソニー」を題材に取り上げてみたいと思いますので、どうぞお楽しみに。また、ここで取り上げて欲しいブランドユーザー、比較してみたいブランドユーザー等ありましたらリクエストをお寄せ下さい。(データの取得の問題でご希望にそえないこともあるかも知れませんが、頑張ってみますので...) → Twitter ID @keijix55

*データは全て2011年9月「ぺるそね」調べ。n=29,093
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