グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

micro:bit プログラミングとこれからのプログラミング教育(第3回)

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中学校で教諭(理科担当)をされてきた望月陽一郎 先生に、「教育とICTを学校現場でどのように実践されてきたのか」について、お話を伺っています。今回は「プログラミング教育の位置づけ」等を文部科学省の資料等を使いながら、お聴きしたいと思います。

【望月陽一郎先生・略歴】
元中学校教諭(理科担当)。大分県教育センター情報教育推進担当主事、指導主事、大分県主幹等を経験されています。

〇プログラミング教育の位置づけ

-今回は、小学校で必修化となるプログラミング教育の位置づけなどについて、詳しく教えていただけますか。

(スライド 教育の情報化 3本柱)

教育の情報化 ・・・教科指導における ICT 活用

      ・・・校務におけるICT活用

      ・・・情報教育

         (情報モラルに関すること)

         (情報スキルに関すること)

           ・・・プログラミング教育

望月先生:文部科学省の「教育の情報化に関する手引き」(平成22年)の中で大きく3つの柱が示され、私もそれをもとに先生方の研修等に取り組んできました。

【参照元】
▼「教育の情報化に関する手引」について(文部科学省)
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1259413.htm

-「教育の情報化 三本柱」についてもう少し詳しく教えていただけますか。具体的にはどのような内容でしょうか。

望月先生:「教科指導におけるICT活用」は、指導者である先生方がICT機器等を使って授業に活かすということ。「校務におけるICT活用」は、先生方が事務処理等にICT機器等を活用して効率よく行うということ。

「情報教育」は、子供たちが情報スキルや情報モラルについて学んでいけるように取り組むこと。子供たちが活用するというのはここにあたります。

「情報教育」は、

  • 情報モラルに関すること
  • 情報スキルに関すること

が入りますが、子供たちがプログラミング活動を行う、というのは、この「情報スキルに関すること」に入ります。

こうして分類から考えていくと、プログラミング教育という大きなカテゴリができるわけではなく、「教育の情報化」に関する中の「情報教育」の「情報スキルに関すること」の一部として「プログラミング教育」に取り組む、ということになりますね。

〇プログラミング教育はすべての教科等を通して行う(算数・理科だけではない)

望月先生:「情報教育」は「道徳教育」などと同じように、特別な授業のみで行うのではなく、学校生活の中のすべての教科等を通して行うようになっています。(そのため学習指導要領総則に記述があります)

だから、例示されている算数・理科という特定の教科だけでなく、他の教科でも可能であると「小学校プログラミング教育の手引き」Q&Aにも書かれていますね。

mextpgm-000.jpg

画像出典:小学校プログラミング教育の手引(第一版)の表紙(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/1403192.htm )を加工して作成

〇従来の情報教育計画の一部をプログラミング教育に充てる

望月先生:「プログラミングという授業が始まる」「プログラミング教育をすると授業時間が増える」という勘違い?の反応が最近のニュースなどでよく見られます。

-勘違い?の反応とは、どのようなことでしょうか。

望月先生:これまでも「情報教育」という時間があったわけではなく、情報教育の計画(どの学年・教科の場面でどんなテーマを扱うのか)がたてられていたわけです。その一部をプログラミング活動にあてる(教科・単元)ので、プログラミングという授業ができたり、授業時間が増えたりするわけでもありません。

〇プログラミング的思考とは

(スライド)

・論理的思考

・Computational Thinking

-望月先生の過去のインタビューには「プログラミング的思考」という言葉が何回も登場しています。大切な言葉だと思いますので、どのようなことなのか解説してくださいませんか。

望月先生:「プログラミング的思考とは?」ということが、いろいろ言われていますが、私は自分自身がいろいろなプログラミングをしてきた経験・先生方に研修してきた経験から、論理的に考えることの一部だと考えています。

その他「Computational Thinking(計算的思考は、問題を定式化し、その解決策をコンピュータ - 人間または機械が効果的に実行できるように表現することに関わる思考プロセスである。・・・翻訳による)」にも通じていると思います。

【参照元】
▼Computational thinking (Wikipedia)
 https://en.wikipedia.org/wiki/Computational_thinking

望月先生:「小学校プログラミング教育の手引き」に書かれている

  • 有識者会議「議論のとりまとめ」 では、

「『プログラミング的思考』とは、自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動き組合せが必要であり一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」であると書かれています。

また、

  • 小学校学習指導要領解説総則 では、

情報活用能力が「プログラミング的思考」を含むものであることを示す。

とあります。

mextpgm-004.jpg

 画像出典:小学校プログラミング教育の手引きP13図4
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/1403192.htm )を加工して作成

望月先生:問題解決をしていくために、思考していく過程が示されていて、コンピュータ等を必ず使うものとは考えられません。

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 画像出典:図で解説「プログラミング的思考」とは
https://beneprog.com/2018/07/13/computationalthinking/)を加工して作成

望月先生:この図にもあるように、日ごろの生活で見られる思考過程の一部だと考えられます。特別なものと意識するほどわからなくなるのかもしれません。

こういったところから、「アンプラグド(コンピュータを使わないプログラミング活動)」から入る事例が多くみられます。全部がそれでは、コンピュータに慣れ親しむ機会が減ってしまいますが、プログラミング活動導入には適していると思います。講座でもアンプラグド→プログラミングという流れで行いました。

-確かに紙にアルゴリズムを書く練習は、職業訓練校の講座(JavaやExcel VBA)の際に体験したことがあります。コンピュータを使わないプログラミング活動をどのように活用していくかも重要そうですね。

micro:bit サンプルプログラミング

-プログラミング的思考についてのご解説をありがとうございました。それでは、前回の後半に伺いました「micro:bit」を使ったサンプルプログラミングについてもお話ししてくださいませんか。

microbit.jpg

望月先生:micro:bitは、手のひらサイズの基盤に

  • 光センサー、温度センサー、磁気センサー、傾きセンサーという入力
  • LED、音、電流という出力

 を持っているマイクロコンピュータです。

自作したサンプルプログラミング集(9/11現在39個)では、分類のため、こういった表示をプログラムごとにつけています。

mb001.jpg

 ボ・・・ボタン セ・・・センサー L・・・LED 出・・・出力

 通・・・通信 オ・・・オプション機器

 この場合は、「センサー・LEDを使ったプログラム」という表示です。

〇「温度を表示する」プログラム

mb002.jpg(センサー・LEDを使用)

望月先生:分類されているブロック群から、「ずっと」「数を表示」「温度」を組み合わせると、左側のシミュレータに実行された様子が表示されます。

これは「温度センサーで検知された気温の数値をLEDに表示する」となります。

makecode004.jpg

画面は、https://makecode.microbit.org/ によるプログラミング画面

-分類されているブロック群から、やりたいことを組み合わせるとプログラミングの結果が目に見えるのがいいですね。このことから何を子どもたちに学ばせたいとお考えでしょうか。

望月先生:大切なのは、これができることで、

 「光センサーの数値を」「傾きセンサーの数値を」「磁気センサーの数値を」など、応用ができることを理解させることなのです。

ひとつの使い方(プログラム)を知ることで、他のプログラムと組み合わせて無限に作ることができる。この考え方が身につくと、いろいろな生活の場面で応用できると思うのです。

〇「ボタンで明るさを表示する」プログラム

mb003.jpg(ボタン・センサー・LEDを使用)

画面は、https://makecode.microbit.org/ によるプログラミング画面

makecode003.jpg

-今度の画面は、どのような機能を行っていますか。

望月先生:分類されているブロック群から、「ボタンが押されたとき」「plot bar graph of」「明るさ」「一時停止」「表示を消す」を組み合わせていますが、左側のシミュレータに実行された様子が表示されます。

これは「ボタンを押すと光センサーで検知された明るさの数値をLEDにグラフ表示し、1秒後に表示を消す」となります。

これは「ボタンというきっかけ」でプログラムを動かす基本例です。先ほどのものと組み合わせると、いろいろなプログラムを作ることができるので、やってみてください。

-ありがとうございます。こうしてみると、サンプルプログラムが「きっかけ」ということがよくわかりますね。また次回教えてください。

【読者の皆様へ】

次回の公開は私(片岡)の仕事の都合により、一か月お休みして11月に公開させていただきます。望月先生の連載を楽しみに待ってくださっている読者のみなさま、大変申し訳ないです。

そして、11/7に「教育ITソリューションEXPO」企業ブースで、望月先生がmicro:bit サンプルプログラミング集について話すご予定だそうです。先生と直接お話しできる機会だと思いますので、ご紹介させていただきました。

▼第2回 [関西] 教育ITソリューションEXPO
https://www.edix-expo.jp/ja-jp/about/outline_kansai.html

そして、望月先生が10月から短大講師になられます。また新たな視点からお話を伺えるのではないかと思います。みなさま、今回も最後までお読みくださり、大変ありがとうございました。

>>「micro:bit プログラミングとこれからのプログラミング教育(第4回)」(11月15日公開予定)につづく

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