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高校卒業直後にアメリカの全寮制高校に飛びこみ、文化、言語、価値観、人間関係、そして勉強で七転八倒しつつ適応していった、5年間の留学生活から学んだレッスンを、具体的エピソードを交えて紹介。

留学生は就活に有利か不利か?【後編】

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前回のつづきです。

留学生の就職活動と書くと、「英語も使えるし、なんか楽勝なんじゃないの」と思う方がいらっしゃいます。実際、そう言われたこともたくさんあります。

が、それはまったくの誤解で、留学生には留学生しか味わわない苦労というモノがあったりするんですよ。


前回書いたのは、

■デメリットその1: 日本の常識にうとくなる
■デメリットその2: とにかく情報がない

でした。

今日は残りの3つです。



■デメリットその3:とにかく時間がない
夏休み等、まとまった休みに帰国して活動せねばならず、短期集中型の戦いを強いられました。

一般的にアメリカの大学は5月が卒業。で、8月末に新学期が始まります。つまり3カ月強で勝負を決めねばなりません。さもないと、卒業後の進路が未定のまま4年生になり、卒業までなにも手が打てない。実質の就職浪人になってしまうわけです。

「秋に時間をかけてじっくりと~」などと言ってられない事情があったため、他の学生の3倍焦りがありました。

あの焦燥感はもう味わいたくないですね。



■デメリットその4:卒業が5月(新人研修に参加できない)
5月が卒業式と書きましたが、これがネックになると思い知らされたのは二次面接に進んでから。

4月1日入社できないことを面接時に伝え、5月途中もしくは6月入社を打診したのですが、大手からはことごとく却下でした。

理由は単純で、「君だけのために新人研修をするわけにはいかん。4月入社ができないなら不採用だ」ということでした。理屈はよーくわかったのですが、まさか卒業時期のズレが就活の足かせになるとは、思ってもいませんでした。柔軟な対応を期待した自分が甘かったようです。



■デメリットその5:敬語がヘタ
高校卒業後、ほぼ日本語を使っておらず、社会人に必要な敬語がさっぱりだったことも苦労した点です。"御中"をwant you?とお約束の勘違いもかましました。まさか就活と平行で日本語勉強することになろうとは。

これは誰も責めるわけにはいきませんでした。



いろいろありましたが、結果、帰国間際の8月中旬に数社から内定をいただき、ことなきを得ました。(就職先は、6月入社を快諾してくれた創業直後の新規企業でした)

とまあ、ないない尽くしの就活ではあったものの、自分が期待した以上のお仕事に就けたわけで、結果オーライです。


当時を振り返って一番苦労したのは、「情報が少なすぎた」ことでした。が、同時に情報の少なさに救われもしました。

つまり情報があまりにも少なすぎ、自分がどれだけ不利だったのかを知らぬまま活動をできたことで、雑音が聞こえなかったからです。よって、(勇み足やミスもありましたが)思い切ってアクションが取れました。


もし今のようにネットがあれば、他の学生の状況は気になるわ、企業の噂話は知りたくなるわ、自己分析しろ(するな)といった情報に振り回されるわ、掲示板を徘徊したくなるわで、集中して取り組めなかったのではないかと思うわけです。

つくづく、己の無知に助けられました(笑)。


そういった意味で、情報量が豊富すぎるのも善し悪しだなと思うわけです。


つづく



代表 中山順司

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