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いけいけどんどんな営業マンと複雑怪奇なオペレーションが多い社内にWikiを普及させるまでの道のり

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今回はリワードシステムの話からちょっと外れたお話しです。 社内の「聞く」文化だったのを「調べて」「wikiる」といったようになるまでの道のりをストーリー仕立てで。

結構前から書き溜めてた感じなのですが書いてて面白くなっちゃって、すごく長文になってしまいました。めんどくさい人向けに言うと「『社内Wikiを導入する』といったことは社内の文化を変えるくらい大変で、部署を横断したチームを結成してやったらできました。」と、超シンプルで、この文節を書いているのが全部書き終えた後なので、寂しさに変わるなにかを感じてます。

さて始まります。

プロローグ

現在の会社は社員でみると平均年齢が26〜27歳ととても若い会社です。サイバーエージェントの子会社にあたるのですが、新卒の採用はサイバーエージェント本体が行ってまして、そこから配属されています。そんな会社でかつ、子会社になるので、バリバリのベンチャー感が満載です。最近ではエンジニア採用も増えてきたとはいえ、私が入社したとき、社内の営業職とエンジニア職との比率は9:1でした。入社した私自身が広告業界とはほとんど疎遠だったため、「?」が何度も出るような状況だったのですが、周りの営業職の人も同じような悩みを抱えていたんだと思います。

  • リワードのシステムのことがわからない
  • 計測SDK導入時の質問がチンプンカンプン
  • 新しく入社する人への共有はOJT

まだインターネットで「リワード広告」と検索しても、いまの会社の社長の対談記事やニュースリリースくらいの情報しかなくて、「リワード広告ってなんなんだ?」と首を傾げたことを覚えてます。広告業界独特のワードであれば調べてなんとかなるものの、社内独自のワードであったりルール、自社ツールならではのノウハウの共有が人ベースでした。誰かに聞かなければわからない、誰かがいなければ進まない。そんな感じだったと思います。

第一章:問題は文化?

リワード広告を出稿するときにアプリに組み込んでもらう計測SDKの計測テストでのサポートや、システム連携など、対クライアント、対メディア、対ユーザ(カスタマーサポート)といった外部とのやり取りが多いため、仕様書や共有ファイルとかではまかないきれないことが多々ありました。それに加え、社内では管理画面の使い方や設定に関するマニュアルなどなかったため、経験者が新しい人にとりあえず教えるといった、まさにOJTな環境でした。

一時期、この辺の外部サポートを一人で対応していたときがあったのですが、もう質問の雨嵐でした。嬉しいことに取り引きいただくクライアント・メディアともに増加傾向にあり、その分サポートのボリュームも増え一人では絶対無理な感じが見え隠れしてました。

そして当時、社内はメール文化。メールで聞いてメールで答えて、わかんなくなったらメールを検索。昔からいたメールの当事者だったらいいのですが、新しい人が増えると検索する対象がないため、聞くしかない。人数が大幅に増える状況もあり限界を迎え始めてました。メモ的な備忘録もそれぞれ個人が持っており、誰かが教えないとできない的なことがありました。

そのためにもWikiを使った社内共有を普及させる必要がありました。

第二章:Wikiをいれるのは簡単?

まずWikiといってもフリーでもいろいろなものがありますが、Redmine wikiを採用しました。理由としては、Wiki以外にもRedmineでのタスク管理などを視野にいれているためといったことが一番でした。空いてるサーバにインストールしてIP制限、ユーザ認証を入れて完成です。使いやすそうなアドオンもたくさん転がっているので機能拡張も楽ちんです。

が、タスク管理やグループウェアといったツール系を10人以上の会社に導入する上で一番のハードルが、「人」です。ツールがいかに優秀で高機能であっても使う人の気持ちが動かない限り、一生使われません。これは本当にそうだと思います。「必要に刈られてるのはわかるが、いまはそれどこじゃない」きっと忙しい会社の場合、誰しもそう思うでしょう。ちなみに私も逆の立場だったらきっとそうです。

第三章:人を動かすのはやっぱり人

リワード広告でビジネスを行うにあたり、以前に書きましたが、大きく広告出稿を行うクライアント・広告を掲載するメディア・メディアサービスを利用するユーザと大きく3つに分かれます。それに応じて部署もクライアント向けとメディア向けの営業、広告の登録を行ったり、掲載の作業を行ったりするオペレーション、そしてそのシステムを運用したり開発する開発部と分かれます。

開発部の人たちであれば海千山千を乗り越えてきたエンジニアの方々ばかりなので、Wikiやタスク管理などはお手のモノなのですが、こういったツールに触れたときのない人たちのグループがあると、文化を変えるくらい大変なことです。ましてや目標達成のためにそれぞれ目標設定があって、それを達成するために必死な最中、オーバーに表現するならば「自分の成果にならない作業」になるわけで、この浸透させる・普及させることが一番の難関と感じてました。

きっと、導入を進めるにあたり開発部から声をかけてもきっとうまくいきません。だったらWikiを普及させる選任チームを結成し、やったらいいじゃないかと。

第四章:結成「ウィッキーズ」

まずWikiを推進するメンバーを各部署から集めて部署を横断したチームを結成しました。名付けて「ウィッキーズ」。名前はキャッチーなものがいいんだ!と、この会社にきてとことん学びました。みんな使い方がうまかったので、それに乗っかった感じです。

ロゴやポスター画像も作ってもらいました。(今いま見たら自分がいない。。OTL)

ウィッキーズボスター画像

第五章:ミッションとルール

キックオフにこんなパワポ作りました。外部用にいろいろ隠してますが、こんな感じです。

 

ウィッキーズのメンバーがWikiの登録を率先して行い、自分もしくはチームで口頭での質問があった場合「wikiで調べた?」を徹底して、調べて検索にヒットしなかったときちゃんと登録していこうの徹底を行いました。はじめのはじめは登録の仕方もわからないし、Wikipediaは知ってるけど会社のWikiってなんだろうとかまずは、メンバーに理解してもらうとこからでした。

「質問したものはWikiに書いて」とはいうものの、全部が全部でないため「なにを書いたらいいんだろう?」「これは書くべきか?」まずはそこからでしたが、月日を重ねるごとに徐々に投稿数も増えてきました。そしてシステムに対する質問も「Wikiで調べてきたんですけど・・・」から入るようになってきました。

第六章:社内ツールの管理画面とWikiの相性

これはある程度Wikiが普及してきて、オペレーションチームからあがった要望です。独自のリワードシステムの管理画面はフィーチャーフォンの時代からの拡張システムのため、オペレーション業務はとても複雑で、予算管理や配信メディア選択、システム連携時の設定など多岐にわたる知識と経験が必要になります。管理画面の注意事項ではおいつかない、独自のルールとかもでてくるので、Wikiが最適といった感じです。

開発部とオペレーションとでミーティングを行い、管理ツールの改善など定期的に行っています。

最終章:Wikiは集合知

個人のもつ暗黙知を形式知に変換することにより、知識の共有化・可視化・明確化を図ることができ、作業の効率化や新発見が生まれたりします。検索エンジンやソーシャルブックマークのような公開されるような情報セグメントではないのですが、組織によって創造される知識、集合知そのものだと思います。

リワードシステムというツールを武器に営業とシステムが一枚岩となったような会社で、ましてや人数も倍々に増えるような、伸び盛りな状況でこういった経験ができたので、とてもいい経験ができたんじゃないかと思います。このWikiの他にもベンチャーならではのこととか結構あるので、リワードシステムに限らずこういった投稿ができればと思います。

また、記事をお読みになっていて同じような経験をされた方や、違ったアプローチなど行った方がいらっしゃいましたらコメントいただけると嬉しいです。

 

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