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Verizon iPhone

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アメリカ最大の携帯電話キャリアであるVerizonが、ついにiPhoneの販売開始を発表した。

AppleがiPhoneを2007年に発表して以来、約4年間に渡りAT&Tが独占販売をしてきたが、2月10日からは2つのキャリアからの販売となる。さらに、今回のAppleとVerizonの間では独占販売契約を締結していないので、第3、第4のキャリアであるSprintやT-MobileからもiPhoneが販売される可能性がある。


しかし、何故これほどまでにVerizonからの販売が望まれてきたのだろうか。

それは、ひとえにAT&Tのシグナルへの不満からだろう。
私も、なかなかシグナルをキャッチできないばかりではなく、電話が途中で切断するなど、AT&Tのシグナルの弱さにはほどほど参っている。
このような問題が、Verizonの強力なネットワークで改善されることを多くのユーザーが待ち続けてきた。


今回のAppleとVerizonの提携は、両社にとってWin-Winの関係と言えよう。

下図にあるとおり、Smartphoneの分野では最近Google Android Phoneの勢いが止まらないが、Appleにとって全米最大キャリアからの販売はまたとない巻き返しのチャンスである。

Smartphoneosnov20102_2
(グリーンがAndroid、グレーがiOS)

一方、Verizonにとっても、既存ユーザーのReplaceやAT&Tからの新規顧客獲得をのぞめる。

販売台数による予測はいろいろでているが、例えば業界リサーチ機関のIHS iSuppliによればVerizon(追随するかもしれない他のCDMAキャリアも含む)からの iPhoneの出荷台数は今年だけで1,210万台で、iPhone全体では前年比33.3%増と予測している。AT&Tや他GSMキャリアだけの場合は7%増にとどまるという予測なので、AppleにとってVerizon iPhoneは大きな意義をもつ。


ところで、実はVerizon iPhoneにも次のような弱点がある。
- 最新の4Gネットワーク"Long-Term Evolution (LTE)"ではなく3Gネットワークを利用するので、AT&Tと比較してスピードが劣る。
ある統計によると、ダウンロードの平均スピードはAT&Tの1.79Mbpsに対し、Verizonは1.01Mbpsほどでしかないという。
3Gを使ってiPhoneからインターネットにアクセスすると、AT&Tでさえ遅く感じるのに、その半分強のスピードでしかないVerizonだととても待ちきれるものではなく、早急に4Gへのアップグレードを望む声がでてくることだろう。

- VerizonのiPhoneでは、通話をしながら同時にデータのアクセスはできない。

- GSMが優勢なヨーロッパやアジア(日本を除く)での使用ができない。

- Verizonの3Gはバッテリーの消費が早いと言われている。
(私も以前Verizonの3Gを利用したことがあるが、確かにバッテリーの減りは早かった記憶がある。)


一方、WiFi機器5台まで接続できる新しい新機能"Personal Hotspot"を提供したり、無制限のデータプランを用意してAT&Tとの差別化を図っている。(AT&Tでは、昨年のiPhone 4販売時から、無制限のデータプランは消えている。)


私はというと、AT&Tの2年契約もまだまだ残っており、昨年改訂された高い早期解約料を払ってまでVerizonに変更する気はまだなく、当面はAT&Tのシグナルに文句を言いながらも、Verizon iPhoneの評判を静観するつもりである。

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