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「クレジットカード手数料支払い、お断りします」

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holiday01 大手クレジットカード会社の大量個人情報流出事件が、2次的な騒動を呼びつつあります。先日、CNNのサイトに掲載された「Businesses to Visa: 'No more fees'」という記事によれば、VisaやMasterCardらの高い手数料に頭を痛める商店主らが反旗を翻していると、米Wall Street Journal(WSJ)紙が報じたというものです。

それによれば、商店主らは年間200億ドル以上という、VisaやMaster、そしてその提携銀行らが課している高額なクレジットカード決済手数料に疑問を呈し、違法な価格の吊り上げや談合が行われているとして非難を強めているとのこと。またWSJの報道によれば、一部商店主らとはすでに秘密裏での大規模な和解が行われているともいいます。最近この手の訴訟を手がけた弁護士のCraig Wildfang氏の文中でのコメントで「これら手数料は少なくとも年間200億ドルにも達し、消費者が購入する商品のほとんどで価格引き上げの要因となっている」と指摘されています。つまり、商店主らは手数料を価格に含めることで、最終的に消費者らがその負担をかぶっているという構図です。

米国でのクレジットカードの利用は年々増加しつつあります。例えば、全米で最も人々が買い物をし、大量のトランザクションが走る感謝祭(Thanksgiving)直後の「ホリデーシーズン」の1ヶ月間をみれば、2004年の実績で前年比10%前後の上昇となっています。2002~2003年が不況でやや落ち込み気味だったという要因もあるが、総じて好調だといえるのです。

- Visaのホリデーシーズン開始直後のリリース
- MasterCardのホリデーシーズン開始直後のリリース

これは通常のリアルで店舗を持つ小売店も対象となっていますが、最近ではインターネットショッピングの割合も増えてきており、現金ではなく、クレジットカード決済を利用するケースはさらに増えていると思われます(このあたりは、追ってどこかで記事を書こうかなと思っています)。

問題はここからで、人々がクレジットカードに依存する生活になるほど専制化が進み、VisaやMasterといった会社の影響力が強まります。独占が進むことによる弊害はあるもので、いずれさらに大きな問題が顕在化してくるでしょう。今回の例は、その問題の一端で、かつ始まりにあたるものだと思います。どのような問題がこれから出てくるかを想像するのはなかなか難しいですが、例えば、大手商店によっては手数料のディスカウントを提供したりなど、商店間での差別が進むなどの問題も考えられます。PCの世界でも、OSやプロセッサのOEMで同様の行為が行われているという話もありますが、それよりさらに大規模なものなのかなと考えます。

また今回の個人情報盗難事件の波紋について言及すれば、今後は責任問題の追及にまで及ぶでしょう。今回は商店主からの苦情でしたが、これからさらに悪用された額の補填にともなう保険会社との交渉、さらには利用者からの集団訴訟のリスクを抱えることになります。ただ、集団訴訟に関しては免責事項で回避可能だという意見もありますので、当面は損失分の補填と信頼回復が後処理のメインとなります。その後は、リスクに対する懸念から保険会社への支払い費用が増加する可能性もあります。結局、そうしたリスク対策費も最終的に利用者に降りかかる恐れがあるかもしれません。IT時代の情報管理と集中化によるリスク、これらを垣間見ることができた今回の事件でした。

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