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J's IT Walker in San Francisco

米西海岸サンフランシスコから、ホットなIT/イベント/おすすめスポット情報をお伝えします

意外と忙しい米国人

people01 米国で生活していると、意外と祝日が少ないことに気付きます。日本でいう大型連休や盆/暮れの休みもありませんので、普通に生活していると土日以外は毎週仕事の繰り返し……という状態になってしまいます。長期バケーションなどの印象があるので「欧米人は休んでばかり、日本のほうが休みが少ない」と考える人もいるかと思いますが、こと米国に関していえば、その認識は間違いです。

知り合いの金融関係者は早朝7時から夜10時ごろまでオフィスで仕事をしていますし、早く家に帰っても在宅作業を進めていたりするので、ほとんど仕事漬けです。土日も仕事をしていることがあり、本当に休めるのは仕事の谷間のバケーションくらいだったりします。バケーションがとれるのはまだマシなほうで、パートタイム的に働いている多くの米国人は有給などありませんから、複数の仕事を掛け持ちでこなして、時間を惜しんで働いています。

さて、こうした忙しい米国人でも落ち着ける瞬間が年に2回ほどあります。1つがホリデーシーズンと呼ばれる年末の感謝祭前後で、もう1つが独立記念日前後の夏休みです。このときばかりは、小売店など一部を除く会社の多くが休みとなり、米国人がいっせいに休日に入ることになります。感謝祭は11月の第4木曜日、独立記念日は7月4日と固定の祝日なので連休にならないケースもありますが、多くの人はここぞとばかりに前後で休みをとってしまい、ムリヤリ連休にしてしまうようです。街にとどまって友人と過ごすなり、行楽地に繰り出すなり、海外に脱出するなり、家でゴロゴロするなり、過ごし方は人それぞれです。傾向としては、感謝祭のときは実家への帰省が多く、独立記念日のときは夏ということもありレジャー関連に充てることが多いようです(あとは新年に休みをまとめてとる人もいます)。

独立記念日の過ごし方は人それぞれですが、このシーズンならではの楽しみがあります。それは、花火大会、コンサート、コンテストなどの各種イベントなどです。また、これらを目当てに多くの人が出てきていますので、これらイベント終了後にクラブやバーなどの盛り場へと繰り出すのも楽しみの1つです。ニューヨークで毎年開催されているホットドッグの早食いコンテストも、この時期のイベントの1つですよね。今年もどうやら、例の日本人の方が優勝したようです。

ベイエリアの休日

concert01 こうした独立記念日のイベントの数々は、サンフランシスコ~オークランド~サンノゼ一帯を含むベイエリアでも体験することができます。楽しみの1つは花火大会で、日没の夜9時半~10時ごろからスタートする花火を目当てに、ベイエリアの各所に人が集まってきます。ベイエリアだけで日本の首都圏くらいの広さがありますから、あちこちで大小さまざまな規模の花火大会が開催されています。人によっては、車で各所の花火を一度にまわる花火ツアーを敢行するケースもあるようです。

サンフランシスコ市内から見える代表的な花火大会は、ゴールデンゲートブリッジを渡って海の対岸にあるサウサリート周辺のマリン・カウンティのものでしょう。花火を楽しむのに最適なスポットは、フィッシャーマンズワーフ周辺になります。ただし、ゴールデンゲートブリッジ周辺は冷たい海の空気が流れ込んで、非常に霧や雲が発生しやすい場所でもあるので、運が悪いと会場周辺が厚い雲で覆われてしまいます。実際、昨年2004年の花火大会では雲の中で花火が爆発している状態で、ほとんど見ることができませんでした。

fireworks01で、今年はどうしようかと迷っていたところ、前回にも登場した山下さんのお誘いもあり、マウンテンビューのコンサート会場で花火大会を楽しむことにしました。マウンテンビューは、ベイエリアでもサンノゼ寄りにある場所で、気候も温暖、閑静な住宅地があることで有名です。マウンテンビューに本拠を構える著名IT企業としては、ざっと列挙しただけでGoogle、Yahoo(正確には“サニーベール”ですが)、Veritas(Symantec)、VeriSignなどがあります。7月4日にサンノゼ周辺では、サンノゼ、グレイトアメリカ(サンタクララ)、マウンテンビューの3ヶ所で大きな花火大会があるとのことで、今回観にいったのもそのうちの1つです。

野外コンサート会場で、San Francisco Symphonyのオーケストラ演奏をバックに花火が上がる姿は壮観でした。家族連れやカップル、周辺のIT企業で働いているとおぼしきインド人や中国人の若いエンジニア(?)集団も見かけました。皆、明日からの長い仕事の1週間を前に、つかの間の休日を楽しんでいるという感じでしょうか。

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全米2大映画館グループの「AMC」と「Loews」が合併

metreon01 6月21日(米国時間)、シネコン経営グループとしては全米2位のAMC Entertainmentと第3位のLoews Cineplex Entertainmentが合併を発表し、業界第1位のRegal Entertainment Groupに対抗していくことを発表しました。AMCとLoewsは両社合わせて全米30州と世界13ヶ国に計5900スクリーンをカバーしており、ライバルのRegalの6200に対抗できるレベルになったとコメントしています。

一見して攻めの姿勢に思える発表ですが、その実は業界の生き残りをかけた苦肉の策という感じです。映画館事業は近年の入場者数で大きなダメージを受けており、Loewsに至っては、2001年に倒産回避のために100拠点の閉鎖を行っています。またAMCとLoewsの最大のライバルはRegalではなく、実はDVDレンタル店の利用の広まりにあるというのが業界共通の認識となっています。新作公開から数ヶ月~半年ほど待てばDVDがレンタルショップに並ぶのですから、どんどん値上がりを続ける映画館に足を運ばずに、ちょっと待ってからレンタルしたほうが安上がりです。これは映画館にとっては死活問題で、今回の合併もリストラ等による経営効率化で、少しでも利益を稼ごうという意思の表れでしょう。

また別の興味深い話題もあります。Star WarsシリーズでおなじみのGeorge Lucas監督が6月25日(米国時間)、同氏率いるLucas Filmの新スタジオのお披露目会を、サンフランシスコにある同スタジオ内で行いました。その際のコメントで、現在の映画業界は減少を続けており、人々の関心はTV放送やDVDなどの新メディアに流れ、今後はStar Warsに代表されるような多大な制作費を投入した大作映画を作るのは難しくなる、と指摘しています。

marriott01 業界を引っ張ってきた人のコメントだけに、説得力があります。実際、2大シネコングループ合併とLucas氏のコメントという2つの発表は、先行きを危ぶむ業界関係者のアクションという点でリンクしています。映画は映画館収入だけでなく、DVD化やTVでの放送権料、PC向けやCATVなどでのビデオ・オン・デマンド(VoD)配信での収入、メディアミックス等による関連グッズでの副収入など、ありとあらゆる展開を想定した総合売上をにらまなければ、特に大作映画などにおいて制作費を回収することが難しくなりました。またあるいは、TVドラマのように低予算/シリーズ化で手堅く稼いだり、TV放送向け映画の製作など、従来の映画製作とは違った手法をとるのも手かもしれません。

ここだけIT関連の話になりますが、ADSLやFTTHなどのIPネットワークを経由したビデオ配信サービスが一般的になると、映画至上主義ではなく、より低予算で製作できるVoD配信向けの専用コンテンツが、大きな市場を築くことになるのかもしれません。サンフランシスコに設立されたLucas氏の新スタジオはデジタル編集をメインとした作業場として機能することになりますが、大作映画よりはこうした市場をある程度にらんでの展開を考えているような気がします。

サンフランシスコの新スタジオ「LDAC」

darthvader01 というわけで、噂の新スタジオ「LDAC(Letterman Digital Arts Center)」です。25日のお披露目式のニュースは世界に配信されていますので、実際にその様子を見た方も多いと思います。翌週の28日から一般公開が開始され、だれでもスタジオ見学ができるようになりました。とはいっても、スタジオ内部までは入れませんので、LDACの敷地にある公園と受付、そして建物に併設されているカフェが利用できる程度ですが……

LDACの詳細レポートは、こちらで一緒に仕事をさせていただいている山下さんが記事を書いていますので、そちらを参照していただくほうがいいと思います。ここでは、個人的な感想をちょっとだけ記載しておきます。

LDACがある場所は、Presidio Parkというサンフランシスコでも歴史的名所である国立(?)公園内にあります。元は病院などの敷地だったようですが、現在では海やゴールデンゲートブリッジを臨める見晴らしの良い素晴らしい広大な庭を備えた、複数の建物から構成されるキャンパスとなっています。場所的には、Exploretoriumというドーム状の神殿建築で有名な博物館の近くで、だれでも敷地に入れるオープンキャンパス形式をとっています。具体的には、Chesnut Streetをまっすぐ行ってPresidio Parkに突き当たった場所にありますので、車以外の手段で行くなら30番のバスを捕まえて終点付近まで移動し、あとは数分ほど歩くといいと思います。

新名所ということで喜んでいたのですが、実際に現地に行ってみたら……少々がっかりかなと。まだオープン直後で移転が進んでいないという理由もありますが、とにかく何もありません。景色自体は素晴らしいのですが、なにぶんLucas Film的なモノを期待してくると、完全に肩透かしを食らいます。LDACオープンに合わせて、同地に案内した日本からの来訪者には非常に申し訳ない思いでした。JavaOne参加で渡米していた彼らですが、行くまでは喜んでいたのですけど……。特に一番お世話になってるYさんには「浅井さんたちのナパ・ツアーに同行したほうがよかったなー」とかボソっと言われてしまいました(汗)

ldac01 ですので、もしLDACを訪問してみたいという方は過剰な期待をせず、ゴールデンゲートブリッジやマリーナへの散歩のついでに訪れてみるのがいいでしょう。移転が完了して2~3年もすればにぎやかになる可能性もありますので、将来的には本当に名所になるかもしれません。

サンフランシスコ周辺にはCG制作会社が多数あり、実はハリウッドに負けず劣らず映画産業が盛んなところなのです。サンフランシスコ北部のマリン・カウンティは、あのPixarや、LDACとは別のLucas Filmの拠点が存在することで知られています。CGアニメ映画ではPixarと双璧を成すDreamWorks関連のCGスタジオも、シリコンバレー周辺に散在しているようです。隠れた映画の都「サンフランシスコ」を堪能したい方は、ぜひ時間を作ってキャンパス見学ツアーなどを体験してみてください。

――次回「ベイエリアの休日」に続きます。

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ここまで、やや硬めのトピックが続いてきましたが、今回から3回ほど、エンターテイメント系の話題に触れてみることにします。米国では、7月4日の独立記念日(Independence Day)を目標に主要IT企業を含む大手企業に勤める従業員の多くが比較的長めの休みに入ってしまうため、全体にニュースの出が悪くなります。ちょうど、日本でいうところの盆休みという感じでしょうか(感謝祭前後のホリデーシーズンが暮れの休みですね)。ネタも少ないということで、ITとは直接関係ありませんが、たまにはこうした話題もいいのかと思います。

ハリウッド王国に転機

ご存じのように、映画の都ハリウッドは、カリフォルニア州ばかりでなく、米国の主要輸出産業の1つであり、文化に根ざした産業というだけでなく、経済を支える基盤としても機能しています。2004年の興行収入は約95億ドルにも上ります。米国人の週末の娯楽としても、なくてはならないものの1つだといえるでしょう。

参考資料:JETROの調査レポート

実際、私自身も渡米するまではそれほど映画を見る人間ではありませんでしたが、こちらに来てからというものは、英語の勉強も兼ねてなるべく毎週見に行くようになりました。出張で忙しくて見られないときや、面白そうな作品が同時公開されるときは、週に2~3本まとめて見ることもあります。また、少し長期間こちらに住んだ方はわかると思いますが、米国には日本ほど娯楽がありません。週末の楽しみといえば、映画館に行くか、あるいはクラブやレストランに友人と繰り出したりするくらいなのです。そういう理由もあり、だいぶ映画が自分にとって身近な存在となりました。

さてこの映画産業ですが、1つの転機を迎えつつあります。映画の興行収益はここのところ連続でマイナス成長を続け、全体に横ばいとなっています。前述のJETROの資料によれば、10年ほど前と比較して業界全体として7割以上の規模増大となっていますが、最近ではやや鈍化傾向にあるようです。また観客動員数もここ2~3年で減少しているようですが、映画料金の値上げで売上全体の落ち込みをカバーしています。実際、ここ1~2年ほどで、近所の映画館が1ドルほど値上げしていたのを思い出しました。

2004年は「Shrek 2」「Spiderman 2」「The Passion of The Christ」といった3億5000万ドルオーバーの超大ヒット作が3本登場するなど、全体に大きく盛り上がった年ではありましたが、業界全体を浮上させるにはパワーが足りなかったようです。そうした背景を受けてか、最近になりハリウッド関連で2つほど大きなニュースがありました。

――次回「映画の都「サンフランシスコ」!」に続きます。

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holiday01 大手クレジットカード会社の大量個人情報流出事件が、2次的な騒動を呼びつつあります。先日、CNNのサイトに掲載された「Businesses to Visa: 'No more fees'」という記事によれば、VisaやMasterCardらの高い手数料に頭を痛める商店主らが反旗を翻していると、米Wall Street Journal(WSJ)紙が報じたというものです。

それによれば、商店主らは年間200億ドル以上という、VisaやMaster、そしてその提携銀行らが課している高額なクレジットカード決済手数料に疑問を呈し、違法な価格の吊り上げや談合が行われているとして非難を強めているとのこと。またWSJの報道によれば、一部商店主らとはすでに秘密裏での大規模な和解が行われているともいいます。最近この手の訴訟を手がけた弁護士のCraig Wildfang氏の文中でのコメントで「これら手数料は少なくとも年間200億ドルにも達し、消費者が購入する商品のほとんどで価格引き上げの要因となっている」と指摘されています。つまり、商店主らは手数料を価格に含めることで、最終的に消費者らがその負担をかぶっているという構図です。

米国でのクレジットカードの利用は年々増加しつつあります。例えば、全米で最も人々が買い物をし、大量のトランザクションが走る感謝祭(Thanksgiving)直後の「ホリデーシーズン」の1ヶ月間をみれば、2004年の実績で前年比10%前後の上昇となっています。2002~2003年が不況でやや落ち込み気味だったという要因もあるが、総じて好調だといえるのです。

- Visaのホリデーシーズン開始直後のリリース
- MasterCardのホリデーシーズン開始直後のリリース

これは通常のリアルで店舗を持つ小売店も対象となっていますが、最近ではインターネットショッピングの割合も増えてきており、現金ではなく、クレジットカード決済を利用するケースはさらに増えていると思われます(このあたりは、追ってどこかで記事を書こうかなと思っています)。

問題はここからで、人々がクレジットカードに依存する生活になるほど専制化が進み、VisaやMasterといった会社の影響力が強まります。独占が進むことによる弊害はあるもので、いずれさらに大きな問題が顕在化してくるでしょう。今回の例は、その問題の一端で、かつ始まりにあたるものだと思います。どのような問題がこれから出てくるかを想像するのはなかなか難しいですが、例えば、大手商店によっては手数料のディスカウントを提供したりなど、商店間での差別が進むなどの問題も考えられます。PCの世界でも、OSやプロセッサのOEMで同様の行為が行われているという話もありますが、それよりさらに大規模なものなのかなと考えます。

また今回の個人情報盗難事件の波紋について言及すれば、今後は責任問題の追及にまで及ぶでしょう。今回は商店主からの苦情でしたが、これからさらに悪用された額の補填にともなう保険会社との交渉、さらには利用者からの集団訴訟のリスクを抱えることになります。ただ、集団訴訟に関しては免責事項で回避可能だという意見もありますので、当面は損失分の補填と信頼回復が後処理のメインとなります。その後は、リスクに対する懸念から保険会社への支払い費用が増加する可能性もあります。結局、そうしたリスク対策費も最終的に利用者に降りかかる恐れがあるかもしれません。IT時代の情報管理と集中化によるリスク、これらを垣間見ることができた今回の事件でした。

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米国時間の6月21日に、サンフランシスコにあるHyatt Regencyで米Salesforce.comの新製品「Summer '05」ローンチイベントが開催されました。同社は、年3回(初期は年4回)製品の定期アップデートを行っており、今回は2005年の第2回目にあたるアップデートです。また同日は、同社にとって新製品の発表以外の大きな意味も持っています。米Salesforce.comがIPO(株式上場)してちょうど1周年にあたり、ちょうどニューヨーク証券取引所(NYSE)の取引終了時刻の東海岸時間(EDT)4時、西海岸時間(PDT)で1時にパーティの会場で、ちょっとしたカウントダウンが行われました。冬季はアイススケート・リンクの出現するEmbarcadero Center前の広場に特設会場が作られ、そこでハワイアンな雰囲気と1960~1970年代風の音楽の流れる(CEOのMarc Benioff氏の趣味なのでしょう)なか、ランチタイムを兼ねたパーティです。

onemarket01 お祭りムードは苦手な私ですが、この会社の明るい雰囲気は好きです。IPOに成功、顧客ベースが順調に伸びているイケイケ状態の企業ムードが、その明るさにさらに拍車をかけています。記者会見場に入る直前、入り口では来場者全員の首にレイをかけてきました。パーティ会場のEmbarcaderoは港の前でやや南国の雰囲気が漂っている場所です(ちなみに、Salesforce.com本社のあるOne Marketという建物も道路向かいにあります)。聞けば、Benioff氏は大のハワイ好きで、自宅と自身のオフィスをハワイに持っているそうです。本社に顔を出さないときは、ハワイのオフィスからビデオ・カンファレンス・システムでミーティングに参加しているとのこと。人によっては、ものすごく羨ましい勤務スタイルかもしれません。

さて、このSalesforce.comですが、どこに強みがあるのでしょうか。CRM業界で大きな注目を浴びる同社ですが、2点ほど他社にはない特徴があります。特徴の1つめは技術です。CEOのBenioff氏をはじめ、同社のコアの技術メンバーはOracleのスピンオフ組です。Salesforce.comのコアは、OracleのデータベースとJavaによるコンポーネントで構成されていますが、両技術のプロフェッショナル中のプロフェッショナルが集まることで、必要な機能をフルスクラッチから書き起こしています。これに全世界をカバーする24時間365日体制のデータセンター管理が加わり、レスポンスの高さや冗長性を確保しています。ASPではレスポンスと冗長性の低下は致命的ですので、これは大きなメリットでしょう。

2つめは、ASPというビジネスモデルの特殊性によるものです。ビジネス・アプリケーションを展開するベンダはすべて、製品のアップグレードとインテグレーションの2つの問題を抱えています。まずインテグレーションのために膨大なソフトウェア導入費とカスタマイズ費を支払います。それに年間の保守契約費用やライセンス料が加わり、数千万円から億単位の予算が必要になります。ASPでは初期導入費やシステム構築の手間がいらず、月額の利用料を払うだけですぐに使用が可能となるため手軽です。そしてこれがいちばん大きな理由なのですが、アップグレードを自動的に行える点です。

アプリケーション・ベンダでは通常、製品の保守期限を設けて、それ以上システムを利用する顧客については次期製品へのアップグレードを促します。旧バージョンを使い続けようとするユーザーには保守契約費用を余分に徴収し、早期に移行を考えるユーザーには割引特典などをつけて優遇します。旧製品を保守し続けるのはコストのかかる仕事ですから、ベンダー側の理論としては当然の行為でしょう。アップグレードは手間のかかる作業ですし、すでにきちんと動いているシステムを改変することで不具合が発生するのは避けたいでしょうから、ユーザーとしては反発するところも多いでしょう。

party01 このアップグレード問題は、ベンダにとってはつねに悩みの種です。ところがSalesforce.comのシステムでは、必要なアプリケーション・ロジックはすべてセンター側にあるため、いつでも自在にアップグレードが可能となります。ユーザーは特に意識せず、使い続けている間に自然に新システムに移行していることになります。またあまりよい傾向ではありませんが、バグ・フィックスもすぐに対応できます。ユーザーに対して個別にアクションをとる必要はありません。すべては自動的に対処されます(こういう仕組みがあれば、Microsoftも悩みの7割くらいは解決するでしょうね)。

現在のところ、順風満帆に見えるのがSalesforce.comです。しばらくは顧客ベースも順調に伸び続けるでしょう。この成長を支えているのは、パーセントにして1桁台という驚異的なまでに低いサービス解約率です。予想ですが、今後2~3年は安泰だと考えます。問題はそこからで、成長率がフラットになったとき、そしてSAP、Siebel、Oracle、MicrosoftといったCRM分野のライバルがASP+中小企業をターゲットに戦力を集中投下しはじめたときが勝負どころとなります。SiebelはUpshot買収でASP型CRMというSalesforce.comと直接競合する製品を持っていますが、Siebel自体がビジネス上の岐路に立っており、今後の予断を許しません。SAPは強敵ですが、どれだけ中小企業分野で本気で勝負してくるかは未知数です。OracleはASPサービス自体を持っていないので、これからでしょう。Microsoftも中小企業分野では強いですが、Great Plains系のビジネス・アプリケーション展開にはやや苦戦している印象を受けます。こうしたライバルとの競合をにらみつつ、さらなる売上増のために、CRM以外の分野での展開をどのように進めていくかが大きなポイントとなるでしょう。

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echeckin01 ちょっと古いニュースになりますが、AP通信が6月15日(米国時間)に配信した「U.S. confirms delay in biometrics passport requirements」という記事によれば、電子パスポート導入が予定通りに進んでおらず、さらなる猶予が必要であることを、米司法長官のAlberto Gonzales氏が認めるような発言を行ったというものです。米国では2001年の9・11テロ以降、US-VISITというプログラムの下に、米国への旅行者の出入国管理を厳格に行うということを定めています。最近渡米された方ならわかると思いますが、両手人差し指の指紋と顔写真を撮影するようになったのも、このUS-VISIT導入によるものです。またビザ申請者は、一部を除いて全員が米国大使館での面接が必須となっています。日本人はビザ免除プログラム(Visa Waiver Program:VWP)の対象となるため、一般旅行者にはあまりピンとこない話ですが、シンガポールを除く他のすべてのアジア諸国は観光のためだけでもビザの申請が必要になりますから、US-VISIT導入は米国への入国の大きなハードルとなります

そして次なる課題として米国政府が取り組んでいるのは、パスポートの電子化です。生体情報などを組み込んだチップ入りのパスポートを各国に導入してもらい、それでさらに審査を厳格化しようというものです。技術的な部分は微妙なのでコメントしませんが、少なくとも現行のパスポートよりは偽造のハードルは高くなるでしょう。手始めとして「VWPを使って入国する旅行者は、全員が電子パスポートを所持していること」という指針を立てました。つまり、「いますぐ全部のパスポートをチップ入りのものに交換しろ」といっているわけです。最初のデッドラインは2004年でした。準備期間が1年あるかないかという状態ですから、当然各国は反発します。「じゃ、1年間だけ猶予をあげよう」ということで目標が再設定されました。それが今年2005年の10月26日です。

普通に考えれば、これも無茶な話であることはすぐにわかるでしょう。パスポートの有効期限の残存期間を考えても、5~10年のスパンで段階的に行うべき話です。それを1~2年足らずで完了させようというのですから、必ず無理が発生します。VWP対象国の多い欧州を中心に、多くの国がこれに抵抗しています。現在、米国を対象としたVWP国は全部で27つあります。27ヶ国が完全に歩調を揃えるのは難しいですよね。この記事によれば、欧州側では2006年8月に目標を再設定するように提案しているようです。個人的意見では、これでも難しいと思います。各国ともに、決して消極的なのではなく、現実的な移行プランを見据えているという認識が正しいでしょう。日本でも、指紋や虹彩などの生体情報を記録した電子パスポートの導入に向けて、真剣な話し合いが進んでいる段階です。おそらくは、2007~2008年でようやく……というレベルなのでしょうね。こうしている間にも、現行方式でパスポートが次々と発行されています。

vancouver01 電子パスポートは管理側のメリットばかりが浮かびそうですが、利用者側にももちろんメリットがあります。生体情報を記録しておけば、盗難パスポートの悪用というケースは減るでしょう。記録された生体情報が万能とは思いませんが、2重のチェック機構のように動作させることは可能だと思います。さらにバラ色の未来図を描くなら、空港でゲートを通過するだけで入国審査が完了させることも可能です。電子パスポートに仕込まれたチップがゲートと無線通信を行うことで、ゲート通過中に旅行者の審査を行うというものです。以前にカナダのバンクーバー国際空港を取材した際、こういったシステムの計画があるという話がありました。

ただ、その取材帰りにバンクーバー空港での出入国審査で2時間以上待たされ、あやうく飛行機に乗り遅れかけたり、無駄に長い質問を浴びせかけるような審査風景を見ていると、システム化への道は程遠いのかなという気がします。また、カナダのトロント国際空港でのE-チケットカウンターの利用率が1割を切っているという話を聞いていると、まだまだ効率化への道は険しい気がします。そういえば、先日のSupercomm取材関連でシカゴからトロントへ移動する際、せっかくE-チケットカウンターを使ったのに、パスポートの情報をすべて手入力させられ、さらに「正規の搭乗券は人のいるカウンターで受け取ってください」というメッセージが最後に表示されたときには殺意を覚えました(当然有人カウンターはすごい行列です)。国際線とはいえ、これでは無人カウンターの意味はゼロです。

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先日、調査会社の米Nielsen//NetRatingsが発表した「オンラインユーザーの5人に1人が「紙ではなくオンラインでニュースを購読」ですが、自身が活動フィールドとしている業界の最新ニュースということで、非常に興味深い話題です(ITmedia以外のソースで恐縮ですが)。オンラインユーザーを対象にした調査で、さらにそのうちの2割というこの数字が大きいかどうかと感じるのは人によりますが、個人的にはボディブローとして効いてくるレベルの値に近づきつつあると感じています。

San Francisco Chronicle 新聞の定期購読に与える影響はまだまだ少ないと思いますが、広告媒体としてのWebの影響が大きくなってきており、現状のようにただ新聞に掲載されている情報を右から左へと流してバナー広告をまわしているだけでは、本来あるべきビジネス機会を逸している可能性があります。オンライン版は紙よりも複数の媒体を見比べるのが容易です。全部の媒体をチェックするという人もいるでしょうが、私みたいに面倒くさがりな人間は、「これ!」という媒体があれば、ずっとそれ1つだけをチェックし続けるようになるでしょう。ヘッドライン的なものはYahooやGoogleなどのニュースページにも掲載されていますから、単に速報というだけでは、新聞社サイトを見に行く価値は少なくなります。特集記事なり、ビデオ/写真配信サービスなり、このAlternative Blogのように双方向性の比較的高い意見交換の場を設けるなり、何らかの差別化が必要になります。そうしなければ、広告主にとっても広告を出稿するメリットが薄まってしまいます。

こうした動向に比較的シビアなのが米国系の新聞社です。最大部数を誇るNew York TimesやUSA Todayでも全米で300~400万部程度ですから、他の地方紙などはさらに1桁下回るのも普通です。日本の某新聞社さんのように1000万部突破をうたうのとは次元が違います(人口差を比べれば歴然ですよね)。そもそもUSA Todayが米国初で唯一ともいえる全国紙で、残りはNew York Timesも含めてすべて地方紙で、あとはWall Street Journal(WSJ)のような専門紙というのが米国の新聞事情ですから。これら新聞社では、若者向けのフリーペーパー紙も含め、商売の多くを広告に依存していることになります。部数減少とともに、広告主にとっていかに媒体を魅力的に見せるかが運命の分かれ道ですから、否が応でも必死になります。有料化にも熱心で、WSJはすでに有料サービスを提供していますし、New York Timesは「無料→有料→登録制(→有料?)」という道のりをたどっています。

Chicago Tribune 振り返ってみれば、われわれ米国で活動しているようなジャーナリストの日々の主たる情報源は、Web上のニュースです。米国には、企業が発信するプレスリリースを集約して、プレスリリースとともに写真やビデオ映像を提供するサイトも存在しますので、朝起きて落ち着いたら、まずはそれら膨大なリリースに一通り目を通すのが仕事です。次に、NYTimes.com、CNN.comのほか、CNET News.comといったIT系情報サイトのチェックもはじめます。あとは、前日発表された日本のニュースとかもですね。これを毎日2~3時間くらいやって現在何が起こっているのかを把握し、ニュースを執筆するなり、追加取材を行うなり、その日の本来の作業がようやくスタートするのです。米国では東海岸の早朝からニュースリリースが出始めますから、西海岸では朝3~4時とかの日の出前、そして西海岸時間の夕方過ぎまで、延々とニュースが出続けることになります。ケース・バイ・ケースですが、日に最低でも30~50個くらいのリリースやニュースは読んでいるでしょう。

ところがこれを新聞紙でやろうとすると、かなり面倒です。情報はオンラインに比べてやや古いですし、ニュースの数も少なかったりします。その代わり詳細が掲載されていたり、地方版や産業面などの特別な記事が掲載されているケースもありますが、必要なニュースはオンライン版で十分でしょう、というかそちらのほうが向いています。最近は喫茶店や食堂にいっても、ノートPC上に何個もブラウザ・ウィンドウを開いて持っていったり、あるいはプリントアウトして読んでたりします。そういえばこの前、日経新聞社シリコンバレー支局のYさんとFさんと話したとき「WSJなんかも全部Webでチェックしてますよー」というお話でした。考えてみれば「これだけ広い国土でわざわざ新聞を配達するよりも、せっかくブロードバンド環境が整っていて自由に使えるなら、それを使わない手はないよね」という気もします。忘れていましたが、オンライン版のもう1つのメリットとして、気になったことがらをすぐに検索エンジンを使ってチェックできたり、関連ニュースを引っ張れるということがあります。

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そして出張へ

いま現在、月に平均で1~2回ほど遠方への出張の機会がある。国土の広い米国では、旅の足といえば飛行機になる。ゆえに空港によくお世話になっている。だがこの空港が曲者で、ゲート通過のための行列がものすごく長く、最低でも出発時間の2~3時間前には空港に到着して余裕をみていなければならないというお約束がある。ケース・バイ・ケースだが、思ったより早くゲートを通過できてしまうこともあり、2時間ほど手持ち無沙汰になってしまうこともある。時間がもったいないので仕事をすることになるのだが、そうしたときに強い味方となるのがホットスポットだ。

People can find hotspots at O'Hare airport in Chicago ここで問題となるのが、ホットスポット・サービスの提供業者だ。ベイエリアには「San Francisco International Airport(SFO)」「San Jose International Airport」「Oakland International Airport」の3つの空港が存在する。よく利用するのがSFOで、次いで安いという理由でOakland空港を利用するのだが、両者でサービス事業者が異なっている。SFOはT-Mobileがサービスを提供しており、San JoseとOaklandはWayportがサービスを提供している。T-Mobileは通信アカウントを持っているので問題ないが、残り2つの空港のサービスを利用するにはWayportとの契約が必要となる。1日約10ドルで利用できる1日パスというのも存在するが、「もう少し安かったならな……」とか考えてしまう(貧乏なので……)。

同様の問題は、目的地にある空港でも起こる。提携事業者同士の連携がないため、出張のたびに接続料金を別途支払わされることになる。これはホテルで提供しているホットスポット接続やDSLサービスでも同様で、新規コネクションのたびに10ドル以上の接続料金が必要になる。結果として、1回の出張でインターネット接続料金だけで80~100ドル近くかかってしまう。これは会社経費で落とせない私のようなフリーランスにとっては、けっこう痛い出費だ。もう少し事業者間で連携が進んで、ローミング・パートナーが増えてくれれば……と願っている。

また、ロサンゼルスに出張したとき、トーランスのHomesteadというモーテルでは、宿泊者だけにIDとパスワードを配布して、実質的にタダでホットスポットが利用できるサービスを提供していた。事業者が介在する以上、宿泊費と別料金を請求されるのは仕方ないのかもしれないが、この無料接続サービスみたいなものを提供するホテルが増えてくれると嬉しいかなとも思う。

最もホットスポットが充実した米国の都市は?

米Intelが6月7日(現地時間)に発表した最新の調査報告によれば、2005年4月時点で全米で最もホットスポット環境が充実した都市は米ワシントン州シアトルだったという。同社がCentrinoのプロモーションも兼ねて毎年行っている調査からわかったものだが、過去に選ばれた都市は「オレゴン州ポートランド」に「カリフォルニア州サンフランシスコ(ベイエリア)」というように、西海岸に集中していることがわかる。地方都市はともかく、大都市などでは確かにホットスポットの充実が進んでいるようで、サンフランシスコ・ジャイアンツの拠点であるSBC Parkなど意外な場所にもホットスポットが広がっているようだ。

有料ばかりでなく、有志が政府が提供する無料のホットスポットも存在する。実際、サンフランシスコやサンノゼなどの中心部近くの通りで、無料のホットスポットが提供されていたりする。また以前にニューヨークのマンハッタン島でホットスポットを調査したとき、公園などを中心に無料ホットスポットが展開されていることがわかった。だが実際のところ、人通りの多い道や外れにあるような公園にホットスポットが設置されていても、ノートPCを広げる余裕などなく、使い物にならなかったりする。結局のところ、喫茶店やホテルなど、落ち着ける場所でない限り、ホットスポットはあまり役に立たない。そうした場所では、有料のホットスポット・サービスの展開がすでに行われている。

将来的に、無線LANを使ってIP電話ができるスマートフォンなどが登場すれば、こうした場所にある無料ホットスポットも意味を持つことになるかもしれない。だが実際のところ、ノートPCを使ってインターネット接続を行っている以上は、あまり恩恵に預かれないのが現状だ。

モバイル・オフィス探しから始まったホットスポット考、インフラは整いつつあるものの、サービスの提供形態はまだまだ工夫の余地がありそうだ。

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最近、個人的に使えるオフィス・スペースを探している。いまはベッドから起床してわずか2歩、Studioといういわゆるワンルーム・サイズのアパートの1室が寝室兼仕事部屋である。通勤という面では楽なことこのうえないが、「いつまでも作業できる」ということが念頭にあるため、だらだらと仕事を続けてしまい、行動にメリハリがなくなってきてしまっている。生活習慣改善のためにも、プライベートとビジネスをきっちりと分け、さらに仕事効率をアップさせようというのが狙いだ。

現在、1BR(Bedroom)以上の間取りで、駅やコンベンションセンターから近い家を物色中だが、諸所の事情から引っ越しは早くても夏過ぎになりそうだ。そこで気分転換のためもあり、今週から日中は外で作業をするようにしている。仕事的にはインターネット接続と各種紙の資料(取材時のメモなど含む)、そしてノートPCがあれば十分なので、比較的身軽だ。そしてインターネット接続がほしいときの強い味方となるのが、無線LANホットスポット・サービスである。現在執筆しているこの本文も、バス等で移動中に内容をまとめ、ホットスポット経由で投稿している。

ベイエリアのホットスポット・サービス

米国への旅行者や出張中のビジネスマンにとって心強いのが「ホットスポット」だ。日本ではウィルコムやKDDIが携帯電話(PHS)でのパケット定額サービスを提供していたりするが、ここ米国ではそうしたサービスはあまりメジャーではない。Verizon、Sprint、Cingular、T-Mobileなど各社は携帯電話を利用したデータ通信カードも提供しているが、高額低速ということもあり、あまり一般では利用されていない。どこでも通信できることはメリットだが、車での移動がメインの西海岸では、長く休憩できるような特定の場所以外で通信する機会はほとんどない。それならば、そういった休憩所にホットスポットを設置したほうが、PCユーザーにとってはむしろ快適である。そうした事情もあり、米国、特にベイエリア近辺では日本よりもホットスポット環境が充実しているように思える。

ベイエリアでホットスポット・サービス提供に力を注ぐ2企業としては「T-Mobile」と「Wayport」の2つが挙げられる。両社をあわせて、主要空港、ホテル、喫茶店、本屋などの主要スポットは押さえられており、ノートPCを開いてアクセスポイントの検知を行うと、だいたいいずれかのサービスが引っかかる。利用料は、だいたい年契約の月額料金が30~40ドル程度。それほど高くも安くもなく、値段的には手ごろなのではないだろうか。

Relaxing outside of  Starbucks Coffee store somewhere in Los Angeles 私が現在接続に利用しているのは、T-Mobileの接続サービスで、Starbucks Coffee店内からの接続である。同社はStarbucks Coffeeと提携で、米国全土のStarbucksにホットスポットを展開中だ。自分の行動範囲で見る限り、そのカバー率は8~9割を超えているように思う。Starbucksさえ見つければインターネット接続ができるわけで、これは非常に便利だ。まわりを見ると、学生らしき集団がノートPCを開いてレポートを執筆している。同様の光景はBurns & NobleやBordersなどの本屋でも見かけるもので(米国の本屋や椅子や喫茶店が併設されて立ち読みが普通にできる)、比較的ホットスポットの利用が進んでいるといえるだろう。

対するライバルのWayportは2004年4月に米McDonald'sとの提携を発表しており、全米のMcDonald's店舗にWi-Fiによるホットスポット展開を進めている。6月14日(現地時間)のAP通信の記事だが、米McDonald'sは本社がある米イリノイ州シカゴに、こうした無線LANホットスポットと音楽CD販売キオスク、何十台もの大型プラズマ・ディスプレイによるTV放送設備などを備えた未来志向(?)のモデル店舗を設置しているようだ。最近では、ATMカードなどのデビットカードで決済ができるMcDonald's店舗も登場しているようである(通常はキャッシュでの決済のみ)。利用者の幅を広げるためにいろいろ努力をしている様子はうかがえるものの、Starbucksに比べて客の流動性が高く、どちらかといえばノートPCを持っていないような低所得層の利用者が比較的多いMcDonald'sに、ホットスポットを必要とするようなビジネスマンや学生層などを惹きつける呼び水になるかは微妙な気がする。ハンバーガーを両手でほおばりつつ、ノートPCを開いて長時間居座るような場所でもないだろう。ホットスポット利用には、ある程度落ち着いた空間が必要なのだ。

――次回「出張編」に続きます。

J

いまみなさんは、「シリコンバレー」という単語を聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 「IT技術者あこがれの刺激的な土地」という人もいれば、「もうすでに終わった場所」という方もいるかもしれません。ITバブルと大不況という2つの時代を経て、このシリコンバレーも以前とは違った趣を見せ始めています。いろいろな見方はあるでしょうが、個人的感想でいえば、昨今の状況は「シリコンバレーがよりシリコンバレーらしくなっている」ということでしょうか。

私の住むサンフランシスコも、広義でいえばシリコンバレーの一部でしょう。一般には、サンフランシスコ南部にあるサンノゼ周辺を指してシリコンバレーと呼ぶようですが、ことシリコンバレーらしい企業を探すとすると、私の住むサンフランシスコから、その対岸にあるオークランドまで、サンフランシスコ湾を中心とした「ベイエリア」全体にまで散っています。今回ご紹介するSalesforce.comという企業も、サンフランシスコに本拠を構えるシリコンバレー企業です。同社は、2004年夏にIPOを果たし、アメリカンドリームを体現した企業の1つとして名を馳せています。

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アメリカンドリームというと仰々しいですが、Googleとともに、沈没するかに見えた米国IT景気に再び火をつけた役割を考えれば、それほど大げさな表現でもないかもしれません。同社は、私の知る限りエンタープライズ向けASPというビジネス・モデルを初めて成功させた企業であり、現在も急成長を続けています。CRMをASP形式で提供する同社のビジネス・モデルは、ユーザー数が増加すればするほどそれが利益につながるというメリットを持っています。

同時に顧客にとっては、面倒なソフトウェアの導入作業がなく、手軽に素早く利用を開始できるだけでなく、システム運用やトラブル対策にかかるコストや時間的ロスを縮小し、Salesforce.comによって自動的にアプリケーションをアップグレードできるという特典があります。先日は、米ニューヨークで新製品の「Customforce 2.0」に関するローンチ・イベントを開催し、同社CEOのMarc Benioff氏が自ら2005年第1四半期(1-3月期)の純利益が前年比で10倍増加、新たに大口顧客として米Merrill Lynchを迎え、大手SIの米Accentureとの提携を報告しています。CRMの分野では、米Siebelを筆頭に、独SAPや米Oracleなどがライバルとして挙げられますが、ASPという点でSalesforce.comが他を圧倒しています。最近も、各方面から同社の好調ぶりが伝わってきています。

ちなみにですが、ここに掲載した2つの写真は、同社のイベント取材の際に撮影したものです。上が米国のシンボルである自由の女神、下がタイムズスクエアからビルを眺めた様子です。米国をテーマにしたBlogで明るい話題を始めようとしたとき、この2つの写真の組み合わせはなかなかいいものではないでしょうか。

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さて、このSalesforce.comですが、実は私と同社との付き合いはかなり長いです。同社の米本社は1999年設立ですが、2000年に日本オフィスが開設された際、私が以前所属していた@ITとはお隣同士で、オフィススペースを共用していました(同じ投資会社から投資を受けていたのです)。横の連携はあまりありませんでしたが、米Salesforce.comがIPOに成功したときには、古くからの友人が成功した様子を見ているようで嬉しかった記憶があります。現在も、同社オフィスは私の家から徒歩15分程度の立地にあり、直接的なつながりはないとはいえ、身近な印象を受けています。同社は6月21日にサンフランシスコ市内で新製品(Summer '05)のローンチ・イベント開催を予定しており、そちらもあわせて今後も定期的に情報をウォッチしていく予定です。

また先週は、米イリノイ州シカゴで開催されたSupercommと、米Cisco Systemsの紹介でカナダ国内の同社クライアントの事例取材を行ってきました。こちらは通信業界の話ですが、だいぶ景気が回復してきている印象を受けました。特にクライアントの設備投資意欲が盛り上がっており、次世代IPネットワーク構築に向けて売り手側も新製品やサービスを必死にアピールしていました。個人的には、ITバブル崩壊で一番被害が大きかったのが通信業界と、前述の米Salesforce.comに代表されるCRMなどのビジネス・アプリケーション業界だったと考えていますが、こうした動きを見る限り、一時期の悲観的な状況からは脱したのかな、という感じです。


こうした話題が身近にあり、自らがそのアメリカンドリームを体現する一員となる可能性を秘めているのがシリコンバレーの魅力でしょうか。まずは挨拶という感じですが、これからは定期的にニュースを取り上げたり、トレンドを紹介したり、ITには直接関係なくてもサンフランシスコの身近な話題を集めるなど、さまざまな形で楽しんでいただけるものをご用意させていただくつもりです。

J


プロフィール

鈴木 淳也

鈴木 淳也

アスキー雑誌編集や@IT立ち上げに参画後、独立して米西海岸に移住、現在ではIT関連媒体各誌に執筆を行うフリージャーナリストに

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