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悪循環を断ち切ることができるのは、会社ではなく自分である

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「zoomはクライアント・ソフトをダウンロードしなくちゃいけないんですよね。それだと使えません。」

SIerの"あるある"だ。それでいて、添付ファイルはPPAP(暗号化+zip圧縮+平文でのパスワード)である。

zoomはブラウザーでも使えますが、フル機能を使えるのはGoogle Chromeだけで、Microsoft Edgeの場合は、Enterprise版でないと制限がりますので、できればクライアントを入れて下さい。」

すると、普段使っているSkypeではダメかという。数名の打ち合わせ程度なら良いが、何十人も参加するオンラインセミナーでは、使い勝手が悪いし、品質も不安定だ。Teamsではどうかと言うが、それもアプリをダウンロードしなければ、十分な品質を確保できないリスクがある。なんで、こんな面倒な議論をしなくてはならないのかと、つくづく嫌になる。

Excelで資料をお送り頂く際は、zip暗号化しないで、そのまま添付して送って下さい。」

そんな依頼をすると、zip暗号化しないと情報漏洩のリスクがあるから、できないという。しかし、zip暗号化しても同様のリスクがなくなるわけではない。むしろなりすましやウイルススキャンできないなどのリスクが加わり、受信者の負担も増える。そんな問題を指摘しても、「決まりなので」とか、「添付すると勝手にPPAPにされちゃうから」とか、世の中の常識や相手の迷惑を顧みないSIerが、DXだとか、セキュリティ対策だとかいっているわけで、もうちょっとITリテラシーを高めて下さいと申し上げたくなってしまう。

セキュリティ対策とは、本来、ITの価値を最大限に引き出すための安心、安全のための対策であるはずだ。それが、いつの間にか、本質がどこかに置き去りにされ、形骸化した手段だけが残されてしまう。急速な進化をとげる業界に身を置いているわけだから、自分たちもまた、日々常識をアップデートしつづけていかなければ、お客様に範を示すことなどできないと思うのだが、どうもそういうことには関心がないようだ。

「範を示せない」とは、この会社あるいは個人でなければできない仕事ではないということだ。誰にもできる、あるいは代替のきく仕事はできるが、「この会社/この人にしかできないことを、是非ともお願いしたい」がない訳だから、儲かる仕事はなかなかできないだろう。

こういうことを申し上げると、かならずこんな言葉が返ってくる。

「うちの会社は遅れてますからねぇ。何とかしなくてはいけないと思ってはいるのですが。」

「うちの会社」ではない、「自分」である。こうやって言葉をすり替えることで、自分の責任や非常識を他人に負わせることで、気持ちが楽になることは分かるが、そういう「自分」がたくさん集まっているのが「会社」であるわけで、本当に「なんとかしなければいけない」と思っているならば、まずは、自分が何か行動すべきだろう。しかし、大概の場合、このような発言をされる方が、自ら行動することはない。

リモートワークについても、「うちのような会社はできない」といって、お客様が受け入れてくれないとか、これまでのやり方は簡単に変えられないとか、いろいろとできない理由を並べ立てる。そして、できないことが、自然の摂理であると言わんばかりに、自信たっぷりに現状を肯定する。

「全席をフリーアドレス化することにより、2022年度末までにオフィスの規模を現状の50%程度に最適化し、快適で創造性のあるオフィス環境を構築します。」

昨日、従業員数13万人を数える富士通がこのようなプレスリリースを行った。実現には、いろいろな困難が伴うだろうが、経営者が腹をくくり、明確な方向を示すことで、社員はそのための知恵を出し、工夫をするだろ。それが社員を育て、その経験を模範としたビジネスに結びついていくだろう。

うちの会社は古い会社だから、うちの会社は中途半端に大きい会社だから、うちのお客さんが変わらないので、といった言葉を聞くことがあるが、いずれも「自分」がどこにもいない。これでは、ただの愚痴ではないか。変えたくない、変わりたくない、このままでいたい。結局のところ、そういうことなのだろう。

まあ、それも生き方である。他人がとやかく言うべきことではないが、やがては会社としても、個人としても、必要とされない存在となってしまうことだけは、覚悟しておいた方がいい。

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SIerであり、そこで働く個人であれば、クライアントがダウンロードできないなんて、口が裂けても他人に言うべきではない。PPAPで添付ファイルを送るべきではない。自らのITについてのリテラシの低さや常識のなさを人前にさらしているわけで、「うちはITに弱いので」と世間に公言しているようなものだ。

こんなことを言うと、かならずまた、こういうコメントが返ってくるだろう。

「そんなこと言っても、うちの会社のルールが・・・、うちの会社の仕組みが・・・」

この悪循環を断ち切ることができるのは、会社ではない。自分である。

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ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【7月度のコンテンツを更新しました】
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新規プレゼンテーション・パッケージを充実させました!
・新入社員研修のための2つのパッケージについて改訂と新規追加
・そのまま使えるDXに関連した2つの講義パッケージを追加 
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新入社員研修
【改訂】新入社員のための最新ITトレンドとこれからのビジネス・7月版
【新規】ソリューション営業活動プロセスと実践ノウハウ
講義・研修パッケージ
【新規】デジタル・トランスフォーメーションの本質〜Withコロナ時代のデジタル戦略(63ページ)*講義時間:2時間程度
>DXの本質や「共創」戦略について解説します。
【新規】デジタル・トランスフォーメーション時代の最新ITトレンドと「共創」戦略(241ページ)*講義時間:6時間程度
>DXの本質と「共創」戦略を解説するとともに、それを支えるテクノロジーであるクラウド、AI、IoT、アジャイル開発、人材の育成などについて、広範に解説します。
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【改訂】総集編 2020年7月版・最新の資料を反映(2部構成)。
【改訂】ITソリューション塾・プレゼンテーションと講義動画 第34期版に差し替え
>AI / 人工知能
>注目すべきテクノロジー(量子コンピュータとブロックチェーン)
>これからの開発と運用
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ビジネス戦略編
【新規】Withコロナ時代のITビジネス環境の変化(〜3年) p.6
【新規】ビジネスを成功に導く重要な3つの要件 p.7
【新規】職場 リモートワークの5段階 p.8
【新規】個人 自己完結能力の5段階 p.9
【新規】職場と個人のギャップ p.10
【改訂】デジタル化:デジタイゼーションとデジタライゼーション p.15
【新規】PDCAサイクルとOODAループ p.56
【新規】価値基準の転換が求められる時代 p.57
【新規】DXと企業文化とアーキテクチャ p.58

下記につきましては、変更はありません。
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