オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

動画を録画し配信する研修は掟破り?

»

ITソリューション塾の動画配信をはじめました。今年で10年となったITソリューション塾は現在29期目を迎え、100名を越える参加者が、ITの最新トレンドやビジネス戦略を学んでいます。今期からはテーマ構成も大きく変更し、デジタル・トランスフォーメーションやRPAなどの旬のキーワードに加え、ブロックチェーンや量子コンピュータについても解説しています。

ITベンダーやSI事業者、事業会社の情報システム部門の方やIT企業の経営者など、多彩な皆さんが毎週水曜日の夜に2時間、市ヶ谷の会場に集まって来ます・・・とそのはずでしたが、なんと会場はガラガラで拍子抜けです。

というのも、40名ほどはオンラインで自宅やオフィスから参加されており、80名定員の会場にはいつも空席が目立つ有様です。

「子どもの食事を作りながら、スマートホンで参加してみました。とても助かりました。」

「出張と重なり、会場には行けなかったのですが、問題ありませんでしたよ。」

「近くなんですけど、オンラインの方が気楽で、こちらで参加しています。」

ITの研修が開かれることなどほとんどない地方からの参加者の中には、はじめからオンラインだけと決めて参加されている方もいます。改めて「そんな時代になった」ことを実感しています。

講義の内容は録画して、ストリーミングで受講者に提供しています。講義の時間帯に参加できなかったり、聞き逃したりした方のためにとのことでしたが、十分に理解できなかったので改めて聞き直している、話し方や講義の進め方の勉強のためにと、ご覧頂いている方もいらっしゃいます。

動画配信にはZoomを使っています。これが、なかなかの優れもので、講義をしている2時間、安定して音声と映像を流し続けてくれます。時々、音声が乱れることはあるのですが、全般的に品質は安定しており、ストレスなくご覧頂けているようです。

Zoomで配信している内容をそのままZoomで録画し、それをiMoveで編集・エンコードして、Vimeoでストリーミング配信しています。馴れない当初は解像度設定やタイトル挿入などの勝手が分からず手間取りましたが、アーティストのプロモーション・ビデオではありませんので割り切って、休憩時間や余計な話しをカットした「素」のままで配信することに落ち着きました。ちなみに、Zoomは1500円/月、Vimeoは2000円/月の有料サービスを使っています。iMovieはMacの標準ツールですから、とても安上がりです。ジェレミー・リフキンが「限界費用ゼロ社会」で予言した世界に、まさに私たちは生きているのだと思わずにはいられません。

【動画セミナー】ご紹介・ITソリューション塾・第29期 from 斎藤昌義 on Vimeo.

動画なんて長時間見ない、画質や音質が悪ければ満足してもらえない、研修は会場で参加するのが正しいやり方だ。そんな、先入観もありました。また、本当にこのやり方がうまくいくのかとの不安もあり、前期は「テスト配信」と宣言し、「出張や仕事で参加できない皆さんのため」の緊急避難的措置としてはじめたのですが、まったくの杞憂でした。技術の進歩とそれに伴う価値観の変化、いろいろな働き方や生活とのバランスなどのワークスタイルの多様化が、このような研修の在り方を可能にしたのでしょう。

一方で、メリハリをつけて学びたい、ライブ参加で講師の気迫やまわりの雰囲気を味わいながら自分に気合いを入れたいと、会場に足を運ばれる方も少なくありません。また講義後の懇親会に参加し、さらに多くのことを学びたいという方など、リアルな講義の価値も失われることはなさそうです。

ただ、このような仕組み作りにお金をかけることなく簡単にできる時代となったことで、ビジネスとしての研修の在り方、つまり何を教えるかではなく、どのように教えるかや、収益のあげ方もいろいろと変えてゆかなければならないでしょう。また、会場でのライブ講義とオンライン講義の差別化についても考えてゆかなければなりません。それぞれのその役割や位置付け、それに伴う演出や手法に特徴を出し、価値の生みだし方を考えてゆかなければなりません。

いまの多くの研修ビジネスは会場に来てもらうことで成り立っています。極めて排他的なビジネスモデルです。オンラインで生中継し、しかも録画も配信するというのは、なかり掟破りですが、それが受講者に喜んでいだけるのであれば、受講者を増やしてゆくことになるでしょうし、新たな収益モデルもつながるはずです。

例えば、ITソリューション塾では、期間中500ページを超える研修資料を、オリジナルのまま、ロイヤリティフリーで提供していますが、それをはじめたときには、先輩講師諸氏から「そんなことをしたら講義資料を勝手に使われ仕事がなくなるからやめたほうがいい」とか「勝手に使われるなんて気持ちが悪い」などとご意見を頂きました。しかし、講義に参加して使い回しのできない印刷物をもらうよりも、その場でダウンロードできる方がいいし、自分の資料として加工編集できる方がいいに決まっているではないですか。そうすると、あの研修ではロイヤリティフリーで沢山の資料が手に入ると口コミが拡がりました。新入社員研修の教材やお客様へのプレゼン資料、社内の企画資料に使っていますという方も多く、それが回り回って、この研修の評判になっているのは大変にありがたいことです。

このやり方は他の研修や講義でもおこなっていますが、研修会社からのご依頼のなかには、「いちおう印刷することが決まりになっていますので」と早い段階から「印刷原稿」を求められ、ご苦労なことだなぁと思ったりしています。それでも、オンラインダウンロードは「絶対」にやっていますので、印刷物は高価なメモ帳とかしているのが実情です。そろそろ、そういう昔の常識とお別れすべきだと思うのですが。

もはや情報はオープンに、そして時間や地域を越えて簡単に拡がってゆきます。だからこそ、研修や講義の在り方、そして、ビジネス・モデルもそれに合わせたものにしてゆく必要がありそうです。

講義の動画サンプルはこちらからご覧いだけます。また、ITソリューション塾の参加者ではなくても、ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRAの会員の皆さんは、講義をご覧いただくことができます。よろしければ、ご利用ください。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
動画セミナー(会員のみ)を開始しました!

LiBRA 11月度版リリース====================
 「動画セミナー」をご覧頂けるようになりました。11月時点では、ITソリューション塾・第29期の4つの講義をご覧頂けます。順次追加してゆきます。
 AIを中心にプレゼンテーションを大幅に増やしました。
 膨大なプレゼンテーションの中からセレクトしたプレゼンテーションを総集編にまとめました。
======================================
*会員限定* 動画セミナー
【新規】サイバー・フィジカル・システムとデジタル・トランスフォーメーション
【新規】クラウド・コンピューティングとソフトウェア化するインフラ
【新規】IoT
【新規】AI

【改訂】総集編 2018年11月版

ビジネス戦略編
【新規】業務がITへITが業務へシームレスに変換される状態  p.27
【新規】デジタル・トランスフォーメーションのビジネス・サイクル p.28
【新規】デジタル・トランスフォーメーションのBefore/After p.29
【新規】情報システムの役割 p.38
【新規】異なるビジネス p.39

人材開発編
【新規】一緒に仕事をしたいITベンダー・SI事業者 p.13
【新規】伝えるべきこと p.14
【新規】求められる対応力 p.15
【新規】「良き相談相手」とは p.16
【新規】お客様の幸せを支える p.17
【新規】スキルの再定義 p.18
【新規】学び続ける大切さ、それを支える学びの力 p.19
【新規】時間を作る p.20

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】これからのビジネスの方向 p.41
【新規】テクノロジーの進化が求めるモノのサービス化 p.43

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】人工知能の2つの方向性 p.10
【新規】「人工知能」と言われるものの4つのレベル p.12
【新規】各時代のAI(人工知能)と呼ばれるもの p.13
【新規】機械学習がやっていること 1/2 p.14
【新規】機械学習がやっていること 2/2 p.15
【新規】ルールを作るとはどういうことか p.16
【新規】機械学習でできる3つのこと p.17
【更新】AIと人間の役割 p.18
【新規】機械学習の仕組み/学習が不十分な状態 p.56
【新規】機械学習の仕組み/学習が十分な状態 p.57
【新規】ニューラル・ネットワークの仕組み p.65
【新規】どんな計算をしているのか p.66
【新規】A12 Bionic p.150

サービス&アプリケーション・基本編
*変更はありません

サービス&アプリケーション・開発と運用編
【新規】なぜ、サーバーレスなのか p.68

ITインフラとプラットフォーム編
【新規】「インフラのソフトウェア化」の意味・仮想化の役割 p.60
【更新】仮想化の役割 1/2 p.61
【更新】仮想化の役割 2/2 p.62
【更新】Infrastructure as Code p.79

クラウド・コンピューティング編
*変更はありません。

テクノロジー・トピックス編
*変更はありません。

ITの歴史と最新のトレンド編
*変更ありません

Comment(0)