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お客様の良き相談相手になるとはどういうことか

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「自社のMFP(多機能プリンター)と競合他社のものと、どう違うのでしょう。何処が他社に比べて優れているのでしょうか? 」

某オフィース機器メーカーの営業職を対象とした研修で、冒頭こんな質問をさせて頂きました。何人かの人に聞きましたが、この質問に納得できる説明ができた人は、ひとりもいませんでした。

技術の進化は、技術を見えなくする進化でもあります。iPadやiPhoneを使えばわかることですが、技術を知らなくても直感的に使いこなすことができます。まさに技術の進化のひとつの答えです。

技術者は、誰もが、簡単に、安価に使えるものを目指して、日夜苦労して開発をしています。そんな各社の取り組みは、お互いに切磋琢磨しながら進化を促し、いずれは各社横並びに高い完成度を達成します。そして、結果として製品では差別化できない状況を生み出してしまいます。MFPはまさにそんなケースの代表的なものです。

また、HPとレノボとDELLと富士通とNECとPCサーバーは何が違うのでしょうか。各社各様に様々な工夫もあります。しかし、突き詰めてゆけば、全てIntelのXeonであり、OSはWindowsかLinux、データベースはOracleです。もはや明確な差別化は困難です。

自社の独自のサービスであったとしても、類似のものは世の中にたくさんあります。ここは「凄い」とある会社が主張しても、各社それぞれにこれは「凄い」を主張するでしょう。お客様から見れば、一長一短と言うことになるだけです。

仮に他社にはない機能やサービスを提供しても、それが優れたものであればあるほど、他社は直ぐにキャッチアップし、一時的な競争優位に終わってしまいます。

もはや、製品やサービスのアドバンテージだけで、差別化し、競争力を保つことは容易なことではありません。

ではどのようにして、営業は競争を制することができるのでしょう。

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答えは「競合を作らないこと」だと思います。

自社製品の機能や性能について、詳しく知っていることは大切なことです。しかし、それしか説明できないとすれば、お客様もまた他社に同様の説明を求めて、それを比較し判断されるでしょう。

しかし、先ほども説明の通り、機能、性能から、絶対的な競争優位を見出すことは難しい時代になりました。結局は価格や納期などの競争に陥ってしまいます。

お客様は何を求めているのでしょうか。私達はこの最も基本的な疑問に立ち返る必要があります。

お客様は、決してあなたの会社の製品やサービスを購入したいわけではありません。自分の抱えている課題を解決したいのです。また、世の中かどうなっているのか、自分たちは正しい方向に向かっているのかを知りたいのです。そんな世間の常識と比べて、自分たちの選択が妥当であることに確信を持ちたいのです。

営業が、お客様のよき相談相手となって、世間の常識を語り、世の中のこれからの方向を説明し、お客様はどのような選択をすべきなのかを説明することです。自社製品のことではなく、世の中のことであり、お客様のことです。その中で、自社の製品の得意不得意を客観的に語ることができる存在になることです。

世の中に完全無欠な製品やサービスなど存在しません。そんなことはお客様もご存知です。いいことばかりでなく、不十分なところも冷静に説明し、お客様の仕事のやり方を変えること、運用でカバーすること、ほかと組み合わせで対応することなどもあわせて説明すべきでしょう。

仕事の目的は、お客様の課題を解決することです。自社製品はその手段であると自覚しなくてはなりません。お客様の課題はITだけで解決できません。そこも含めて、お客様と一緒に解決策を考えることです。そんな相談相手になることができれば、もはや競合はありません。あとはあなたにお任せしますとなり、自社製品で対応できることを優先しつつも、他社も含めた最適な組み合わせを提供すればいいのです。

相談し御願いする営業から、相談され御願いされる営業になる。

ITに関わることなら、まずはあなたに相談するという関係を築くことができれば、もはや競合はありません。

どんな職業にもプロフェッショナルとアマチュアがいます。営業の世界でのプロフェッショナルとは競合を作らない営業です。

そのために、あなたは何をしていますか。どんな勉強をしていますか。あなたが、もしプロフェッショナルを目指すならば、そんなことを自問してみることも大切かもしれません。


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5月17日(木)よりスタートする次期「ITソリューション塾・第28期」の受付を開始致しました。つきましては、御社でのご参加をご検討頂ければ幸いです。

■デジタル・トランスフォーメーションを軸に講義を展開

デジタル・トランスフォーメーションをキーワードに、鍵を握るテクノロジーは何か、これからのビジネスがどのように代わるのか、それにどのように向きあえばいいのかを、分かりやすく丁寧に解説してゆくつもりです。また、100年人生の時代を迎え、この業界でどのように働き、自分の価値を高めてゆけばいいのかについても、考えてゆこうと思います。

■オンラインでも参加可能

第28期からは、参加登録された方はオンラインでも受講頂けるようになります。出張中、あるいは打ち合わせが長引いて間に合わないなどの場合でも大丈夫です。PCやスマホからライブ動画でご参加頂けます。

■ビジネスの現場でそのまま使える教材をロイヤリティフリーにて提供
SI事業者/ITベンダーの皆さんには、これからのビジネス戦略やお客様への魅力的な提案を考える材料を提供します。
情報システム部門の皆さんには、自分たちのこれからの役割やどのようなスキルを磨いてゆく必要があるのかを考えるきっかけをご提供します。

講義で使用する500ページを超える最新のプレゼンテーションは、オリジナルのままロイヤリティ・フリーで提供させて頂きます。お客様への提案、社内の企画資料、イベントでの解説資料、勉強会や研修の教材として、どうぞ自由に活用してください。

第27期に使用している講義資料(一部)については、こちらからご覧頂けます。第28期はさらに内容をブラッシュアップして、ご提供するつもりです。

古い常識をそのままにお客様の良き相談相手にはなれません。
「知っているつもりの知識」から「実践で使える知識」に変えてゆく。そんなお手伝いをしたいと思います。

日程 2018年5月17日(木)~7月25日(水) 18:30~20:30
回数 全11回
定員 80名
会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
料金 ¥90,000- (税込み¥97,200) 全期間の参加費と資料・教材を含む
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【お願い】早期に定員を超えると思われますので、まだ最終のご決定や参加者が確定していない場合でも、ご意向があれば、まずはメールにてご一報ください。優先的に参加枠を確保させて頂きます。
詳しくは、こちらをご覧下さい。

「最新のITトレンドとこれからのビジネス」というタイトルの新入社員研修のためのプレゼンテーションを公開しました。よろしければご活用下さい。

内容は、以下の通りです。

  • ITトレンドとサイバーフィジカルシステム
  • サイバー・フィジカルシステムとデジタル・トランスフォーメーション
  • ITインフラと仮想化
  • サイバー・セキュリティ
  • IoT(モノのインターネット)
  • AI(人工知能)
  • 開発と運用
  • デジタルトランスフォーメーションとこれからのビジネス
  • これからのビジネスに求められる人材

SI事業者やITベンダーで毎年行われている新入社員研修では、ITの基礎的な知識は教えているところはあっても、最新のトレンドやいまのビジネスがどうなっているのかを教えているところはあまりありません。しかし、自分たちの未来を託す彼らに40年前から変わらないコンピュータの基礎だけを教え、いまを伝えないのは片手落ちではないでしょうか。ITは日々進化し、役割も拡がっています。IoTやAIの進化、クラウドの普及と共に伝統的なビジネスのやり方を大きく変えてしまうデジタル・トランスフォーメーションも進行中です。

ビジネスの現場に彼らが立たされたとき、そんなことも分からないでは、お客様も不安になるでしょうし、何よりも新入社員本人が不安になってしまいます。

そんなことがないように、IoTやAI、クラウドと云ったこれからの当たり前を、その価値や可能性と共に正しく伝えなくてはなりません。合わせてITの大切さと大きな可能性を語り、この仕事のやり甲斐を伝えることは大切だと思っています。また同時に、物販や人月ビジネスの限界、それに変わるビジネス価値は何か、そのためにどのようなことを考え、どのような能力を身につけてゆかなければならないのかを正直に伝え、彼らに託す言葉を伝える必要もあるでしょう。

デジタル・トランスフォーメーションの時代を迎え、ITビジネスの本質がいま大きく変わろうとしています。こちらについては、近々「SIerのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書」をリリースする予定ですが、そういうことと合わせて、ITに求められる新しい期待とそれに応えてゆくためには、何をしなければならないかを、新入社員の時にしっかりと伝え、彼らに自覚と夢を持たせなくてはなりません。

そんな思いで作った教材です。

6月から7月にかけて、そんな新入社員のための「最新ITトレンド・1日研修」も開催しようと思っていますが、そのためのベースとなる教材です。

よろしければ、御社でもご活用下さい。

LiBRA 4月度版リリース====================

  • 「ITソリューション塾」最新コンテンツを掲載しました!AIに関連した資料を充実させました。
    • 膨大なプレゼンテーションの中から、ITソリューション塾で使用している厳選のプレゼンをテーマ毎に掲載しました。

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新たに掲載!「ITソリューション塾」最新コンテンツ

メインテーマ

  • ITトレンドの読み解き方とクラウドの本質
  • ソフトウェア化するインフラと仮想化
  • クラウド時代のモバイルデバイスとクライアント
  • IoT(モノのインターネット)
  • AI(人工知能)
  • データベース
  • ストレージ
  • これからのアプリケーション開発と運用

知っておきたいトレンド

  • ブロックチェーン
  • 量子コンピュータ

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ビジネス戦略編

  • 【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの定義 p.18
  • 【改訂】デジタル・トランスフォーメーションを主導するクロスオーバー人材 p.21
  • 【新規】加速する時代のスピードに対応できる人材 p.22
  • 【新規】常にテーマや問いを発し続けられる人材 p.23

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT

  • 【新規】Amazonのデータ収集戦略 p.30
  • 【新規】IoT通信:LPWAと他の通信方式の比較 p.34
  • 【新規】IoT デバイスとしての自動車 p.96
  • サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
  • 【新規】人間は何を作ってきたのか p.10
  • 【新規】人工知能の限界 p.11
  • 【新規】「東ロボくん」の実力と代替可能な職業 p.12
  • 【改訂】コレ1枚でわかる人工知能 p.13
  • 【新規】機械学習の課題 p.80
  • 【新規】転移学習 p.81
  • 【新規】学習データと結果の関係 p.97
  • 【新規】自動運転レベル p.118
  • 【新規】富士通 Mobility IoT 2018(動画・事例紹介) p.120

開発と運用編

  • 【新規】これからの開発や運用に求められるもの p.5
  • 【新規】ITについての認識の変化が「クラウド×内製化」を加速 p.6

インフラ&プラットフォーム編

  • 【新規】HTAPとは何か? p.229
  • 【新規】5Gと他の通信方式 p.231

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