オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

テクノロジーの進化は人間の知性の進化を加速する

»

テクノロジーの進化はテクノロジーの存在を隠してしまう進化でもある。

1977年、2列のLEDディスプレイが組み込まれたテスクトップPCであるHP Model 700が大学の研究室に置かれていた。メモリはたぶん16KBか32KBだったと思う。外部記憶装置はカセットテープ、感熱式プリンターも内蔵され、BASICインタープリターが搭載されていた。この最新式のPCは当時の金額で700万円ほどしたらしい。

わたしはそれで、多変量解析のプログラムを作り楽しんでいた。ただ、メモリが小さいため大きな行列の固有値を一度に計算することができない。そこで、行列を複数分割してそれぞれをJacobi法で計算してカセットテープに収め、最後にそれらをまとめて全体の固有値を求めるといった計算をしていた。100x100の行列の固有値解析に3日くらいかかったので、「只今計算中、触らないでください」とPCに張り紙をしていた。

自分でプログラムを工夫し、コマンド・プロンプトを操作し、デバイスを駆使できなければ、使えない機械ではあったが、それ自体がとても楽しかった。

その後、Apple Ⅱ、Commodore PET 2001、NEC PC8801と続き、IBMに入社してからは、IBM PCでPC-DOS、Windows 3.1と使い続けてきた。OS2 Warpが登場したのは1995年だったと思うが、そのユーザーインターフェイスが実に直感的で、こんなにもPCを簡単に操作できるのかと感動したことを覚えている。

なんと簡単になったのだろう。CUIがGUIになり、タッチパネルになった。そして、いまは音声で操作できる。VRやAR、MRと組み合わせれば、デバイスの操作など意識することなく、様々な機能を使うことができる。わずか30年ほどで、こんなにも進化した。近い将来、BMI(Braine-Machine Interface)も登場するだろう。そうなれば、考えるだけで、様々なサーズスを利用できるようになるだろう。

スクリーンショット 2018-01-11 8.39.22.png

一方で、コンピュータはクラウドへとシフトした。それらは通信で結ばれることで、コンピュータの機能や性能を利用場所から解放した。モノに依存すること、その存在を意識する必要がなくなりつつある。

「マイクロソフトは、モバイルファースト、クラウドファーストにならなくてはいけない。」

2014年、MicrosoftのCEO としてサティア・ナデラが就任したとき、彼はこのように社員に宣言したという。

「パソコン中心でもなければ、フォン中心でさえもない。私たちが思い描くべき世界とは、デバイスに縛られないモバイルな人間経験が重視され、クラウドがそれを可能にし、新世代の知的経験を生み出す世界である。」

「マイクロソフトは、人間経験をモバイル(移動可能)なものと捉え、その理念をクラウドテクノロジーで実現していこうと考えていた。」

彼の著書「Hit Refresh」に、このようなことが書かれていたが、まさにそんな時代に向かっている。

テクノロジーの進化はテクノロジーの存在を隠してしまう進化でもある。そして結果として、人間はテクノロジーを意識することから解放される。つまり、様々な作業をテクノロジーに任せ、その操作を意識する必要がなくなれば、私たちはさらに新たな意識すべき領域に時間や労力を傾けることができる。そして、人間は、新しいこと、新しい価値を産み出してゆく。

スクリーンショット 2018-01-11 8.39.01.png

テクノロジーは、人間の仕事を奪うものではない。人間が意識して行わなくてはならない仕事を減らし、新たな意識すべき領域に傾注する余裕を生みだし、人間の知性の進化を加速するのだと思う。テクノロジーは今も昔も、そして未来も、そんな役割を果たしていくのだろう。

2月14日(水)よりスタートする次期「ITソリューション塾・第27期」の受付を開始致しました。

=====

日程 2018年2月14日(水)~4月25日(水) 18:30~20:30
回数 全11回
定員 80名
会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
料金 ¥90,000- (税込み¥97,200) 全期間の参加費と資料・教材を含む
---
【お願い】早期に定員を超えると思われますので、まだ最終のご決定や参加者が確定していない場合でも、ご意向があれば、まずはメールにてご一報ください。優先的に参加枠を確保させて頂きます。
=====

第27期は、これまでの内容を一部変更し、AIやIoTなどのITの最新トレンドについての解説と共に、そんなテクノロジーを武器にして、どうやって稼げばいいのかについて、これまで以上に踏み込んで考えてゆこうと思います。また、働き方改革やこれからのビジネス戦略についても、皆さんに考えて頂こうと思っています。

SI事業者の皆さんには、これからのビジネス戦略やお客様への魅力的な提案を考える材料を提供します。
情報システム部門の皆さんには、自分たちのこれからの役割やどのようなスキルを磨いてゆく必要があるのかを考えるきっかけをご提供します。

講義で使用する500ページを超える最新のプレゼンテーションは、オリジナルのままロイヤリティ・フリーで提供させて頂きます。お客様への提案、社内の企画資料、イベントでの解説資料、勉強会や研修の教材として、どうぞ自由に活用してください。

古い常識をそのままにお客様の良き相談相手にはなれません。
「知っているつもりの知識」から「実践で使える知識」に変えてゆく。そんなお手伝いをしたいと思っています。

ビジネス・エグゼクティブのためのIT戦略講座

来年2月より、事業会社の経営者や経営幹部、事業部門の責任者や幹部といったエグゼクティブを対象に「ビジネス・エグゼクティブのためのIT戦略塾をスタートさせることに致しました。
ITに詳しくない経営者や事業部門のトップが、ITのトレンドや価値、それをビジネスに活かす方法について理解を深めてもらおうという内容です。
講師には、私だけではなく、デジタル・ビジネスの実践を支援し、グローバルに活躍している方やデザイン思考のプロを招き、単なる知識ではなく、実践的なノウハウも合わせて提供しようと準備しています。
先般承りましたご要望を全て満たすものではありませんが、事業会社の経営の現場で役立てていただける実践的な知識やノウハウを身につけて頂けるものと確信しています。

内容:全3回の講義と演習/受講者と講師のコミュニケーション

  • 2月26日(月)第1回 最新のITトレンドとこれからのビジネス戦略
  • 4月27日(金)第2回 デジタル戦略を実践するための手法とノウハウ
  • 5月29日(火)第3回 未来創造デザインによる新規事業の創出

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

LIBRA_logo.png

2018年1月版・改訂/追加リリース

================================

  • 開発と運用について大幅に追加改訂しました。
  • デジタル・トランスフォーメーションについての解説を増やしました。
  • 量子コンピュータについての記述を追加しました。

================================

追加・更新の詳細は以下の通りです。

ビジネス戦略編
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの意味 p.5
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとは p.11
【改訂】デジタル・トランスフォーメーション実践のステップ p.12
【新規】デジタル・トランスフォーメーション時代に求められる能力 p.14
【改訂】SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション p.15
【改訂】共創の3つのタイプ p.82

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】深層学習が前提となったシステム構造 p.68

開発と運用編
【新規】開発と運用:従来の方式とこれからの方式 p.15
【新規】アジャイル開発の基本構造 p.16
【新規】アジャイル開発の目的・理念・手法 p.23
【新規】スクラム:特徴・三本柱・基本的考え方 p.25
【新規】スクラム:スクラム・プロセス p.26
【新規】スクラム:プロダクト・オーナー p.27
【新規】スクラム:スクラム・マスター p.28
【新規】スクラム:開発チーム p.29
【新規】エクストリーム・プログラミング p.30
【新規】これまでのソフトウェア開発 p.58
【新規】これからのソフトウェア開発 p.59
【新規】Microsoft Azureによる予測モデルの開発方法 p.60

インフラ編
【新規】ストレージ・コストの推移 p.215

テクノロジー・トピックス編
【改訂】ソーシャル・グラフ 解説文・追加&改訂 p.4
【改訂】CSIRT解説文・追加&改訂 p.6
【改訂】3Dプリンター 解説文・追加&改訂 p.7
【改訂】RPA 解説文・追加&改訂 p.17
【新規】量子コンピュータがいま注目される理由 p.73
【新規】D-Waveとは
【新規】量子ゲート方式の限界と可能性 p.82

ITの歴史と最新トレンド
*追加・変更はありません。

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
*追加・変更はありません。

サービス&アプリケーション・基本編
*追加・変更はありません。

クラウド・コンピュータ編
*追加・変更はありません。

【講演資料】量子コンピュータ 
【新規】量子コンピュータがいま注目される理由 p.73
【新規】D-Waveとは
【新規】量子ゲート方式の限界と可能性 p.82

LIBRA_logo.png

Comment(0)