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【図解】コレ1枚でわかる人工知能やロボットの必要性

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人工知能やロボットが人間の仕事を奪ってしまうのではないかという懸念が拡がっています。しかし、かつて道具を手にした人間は、その道具を自ら進化させ、人手に頼るしかなかった様々な労働から人間を解放し、人間の仕事を奪い続けてきたとも言えるでしょう。そして同時に、人間に新たな機会や役割を与え、それ以前にはなかった新たな社会的価値を生みだしてきたのです。例えば、

  • 鋤や鍬を使い人手によって畑を耕すことから、それらを家畜に取り付けて効率を大幅に向上させてきました。これによって、大規模で効率のよい農業が可能となり、人口が増え、経済が豊になり、社会基盤の充実が図られてきました。
  • 馬車を使い運搬していた荷物を鉄道で運べるようになり、大量の荷物を短時間で広域に運べることができるようになりました。これにより、産業が発展し、さらに海運と結びつくことで、世界的な規模での産業の発展を促してゆきました。
  • 近年では、炊飯器や洗濯機、冷蔵庫などの家電製品の普及により主婦が家事労働から解放され女性の社会進出を促してきました。

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人工知能やロボットもまた、そんな道具の進化と人間との関係の延長線上に捉えることができます。むしろ社会課題を解決する手段と捉え、その積極的な活用を促してゆくことこそ、健全な使い方であると言えるでしょう。

例えば、我が国が抱える社会課題を考えれば、「少子高齢化」、「低い労働生産性」、「グローバル競争の激化」があげられます。

少子高齢化

我が国の人口は、2010年の1億2086万人をピークに、2030年の1億1,662万人を経て、2048年には1億人を割って9,913万人となり、2060年(平成72年)には8,674万人になるものと見込まれています。また、生産年齢人口(15~64歳の人口)は2010年の63.8%から減少を続け、2017年には60%台を割った後、2060年年には50.9%になるとなるのに対し、高齢人口(65歳以上の人口)は、2010年の2,948万人から、2042年に3,878万人とピークを迎え、その後は一貫して減少に転じ、2060年には3,464万人となります。そのため、高齢化率(高齢人口の総人口に対する割合)は2010年の23.0%から、2013年には25.1%で4人に1人を上回り、50年後の2060年には39.9%、すなわち2.5人に1人が65歳以上となることが見込まれているのです。このような働き手の減少は経済や福利厚生の維持を困難にします。

低い労働生産性

日本生産性本部は、主要先進35カ国で構成されるOECD加盟諸国の「2015年の就業者数(または就業者数×労働時間)1人あたりのGDP」(通称:国民経済生産性)を「労働生産性」と定義し、諸外国と比較した結果を発表しています。これによりますと、米国は121,187ドルで3位、フランスは100,202ドルで7位、イタリア97,516ドルで10位、ドイツは95,921ドルで12位、カナダ88,518ドルで17位、英国は86,490ドルで18位、日本は74,315ドルで22位となり、日本はG7中最下位になります。働き手が減少するにもかかわらず、労働生産性が低いままでは、日本の社会基盤が維持できません。改善すべき余地は大いにあるでしょう。

グローバル競争の激化

新興国の急速な発展や最先端のテクノロジーを活かしたものづくり革命により、かつてないグローバルな競争環境に晒されています。また、かつて言われた六重苦(円高、重い法人税・社会保険料負担、経済連携協定の遅れ、柔軟性に欠ける労働市場、不合理な環境規制、電力供給不足・コスト高)は解消されつつあるとは言え、まだ多くの課題を抱えています。このような状況で国際的な競争力を確立してゆかなければなりません。

  • 人工知能やロボットの活用は、このような社会課題の解決にとって、有効な手段になり得ると期待されているのです。
  • 少ない労働人口での社会・経済基盤の維持
  • ワークライフバランスや賃金を犠牲にしない国際競争力の維持
  • 高い付加価値や差別化による産業競争力の向上
  • 過疎地での医療・福祉・生活支援などの社会課題を解決
  • 労働環境の改善と生活の質的向上 など

人工知能やロボットの活用だけで、我が国が抱える社会課題の全てを解決できるわけではありませんが、大きな助けになることは間違えありません。

人間の仕事を奪う「脅威」ととらえるのではなく、社会課題を解決するための「手段」として捉え、人間の働き方や役割を積極的に変えてゆくことで、その価値を引き出してゆくことが必要なのです。

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