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【図解】コレ1枚でわかるポストSIビジネスの戦略とシナリオ

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昨日のブログでは、工数ビジネスの限界について考えてみましたが、必ずしも従来型のビジネスが、全てなくなるわけではありません。何が残り、新たにどのようなシナリオを描けば良いのかを考えてみます。

従来型ビジネスの可能性と限界

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従来型SIビジネス

受託開発・保守、運用に関わる請負や準委任、派遣といった人月積算を前提とした従来型SIビジネスは、なくなることはないでしょう。例えば、次のような業務は、今後とも継続すると考えています。

  • 既存システムの保守や周辺機能の追加開発
  • ユーザー企業の独自システムに関する運用管理
  • 特定業務・技術スキルを持つ個人に依存した業務

しかし、「既存システム」は、いずれは、新しいテクノロジーや開発・運用の考え方を採用したシステムへと置き換わってゆくことは避けられません。また、「独自システム」の運用は、オンプレミスからパブリック・クラウドへ、そして、人工知能を使った自律的な運用管理システムに徐々に移行してゆきます。さらに、「個人に依存した業務」も需要が保証されるものではなく、なによりもビジネスの規模を確保することができません。

直ちになくなることはないにしても、需要の減少に加え、昨日のブログでも述べたように生産年齢人口の減少やエンジニアの高齢化により利益確保は、難しくなります。

ビジネスとして大きな割合を占める受託開発で延命を図るとすれば、「常駐型」を減らし「持ち帰り型」を増やしてゆくことが、有効かもしれません。持ち帰り型受託開発にすれば、ニアショアやオフショアなどの遠隔地の人材を活用でき、自社要員を増やすことなく需要に対応することが容易になります。また、まだ今後の拡大が期待できる新興国などの海外市場進出のためにも、そのノウハウは役立ちます。

ただ、「持ち帰り型」への転換は、お客様との仕様確定のやり方や進捗状況の共有の仕方を見直さなければなりません。さらに、自社内に開発環境を整えることも必要になります。しかし、他のプロジェクトに従事している社員の支援を得たり複数プロジェクトを兼務したりさせることもでき、エンジニア一人当りの生産性を向上させることができます。さらに、開発したプログラムの他プロジェクトで再利用することや、開発手法やツールを工夫し開発生産性を高めることで利益率を高めることが可能になるでしょう。

クラウドやOSSの普及により、開発環境の整備には、従来ほどコストはかからなくなりました。これらをうまく生かすことで、むしろ積極的に持ち帰り型への転換をすすめコスト競争力を高めることができます。

しかし、従来型の受託開発需要そのものが、今後減ってゆくことは覚悟しなければなりません。従って、従来型での需要が確保できるうちに、ポストSIビジネスへの筋道を作らなければならないことに変わりはありません。

インフラ構築・運用ビジネス

企業個別のインフラおよびプラットフォームの構築や運用管理については、相当厳しいものになることを覚悟しておく必要があります。

これまで企業は、独自にシステム環境を築き上げてきました。これらを維持するための運用やサポートの需要は当面継続するでしょう。また、独自システムへのこだわりから独自のプライベート・クラウドを構築し、パブリック・クラウドとの連携環境である「ハイブリッド・クラウド」の需要も生まれてくると考えています。しかし、これは、パブリック・クラウドへの全面的なシフトの過渡期的な需要であり、中長期的には、パブリック・クラウドへの全面シフトが進んでゆくものと思われます。これを見越したクラウド・ネイティブへの取り組みも怠るべきではありません。

また、ユーザー企業のインフラ構築の需要は、なくならないまでも相当厳しくなることを覚悟しておく必要があります。だからと言って、自らがクラウド事業者になろうとしても、圧倒的な資金力と技術力を持つ大手クラウド事業者と真っ向勝負することは、現実的ではありません。

一方で、このような新しい時代のインフラをどのように使いこなすか、そのためのビジネス・プロセスやワークスタイル、そして、システム環境の整備や設定といった上流のニーズは、ますます重要となります。インフラ・ビジネスは、そんな大きな転換を求められることになります。

「アプリケーション/インフラ」「専門特化/スピード」の2つの軸で整理する

「新しいテクノロジーや開発手法を駆使し、従来型の工数積算にこだわらず、収益構造にも工夫したビジネス・モデル」

「ポストSIビジネス」をこのように定義してみました。ただ、従来型SIビジネスの継続は、これに含みません。また、規模の経済が威力を発揮するIaaSや汎用型PaaSビジネスについては、従来型SIビジネスを主な事業としている企業にとって、資金力のある大手サービス・プロバイダーと容易には太刀打ちができないため、これも除外しました。

ここでは、従来型SIビジネスでの経験や人材を活かすことができ、事業規模に関わらずチャレンジ可能なビジネスを「ポストSIビジネス」とし、そのシナリオを考えてゆくことにします。

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まず、ポストSIビジネスを「アプリケーション/インフラ」と「専門特化/スピード」の2つの軸で整理し、3つの戦略と9つのシナリオに区分してみました。この区分は、SI事業者の事業区分ともおおよそ一致するもので、直感的に理解して頂けるのではないかと考えています。

なお、各シナリオは単独でも機能しますが、複数組み合わせることも考えて下さい。適切な組み合わせにより事業価値が高まると共に、その組合せを競合他社ができないとすれば、差別化の要件となります。また、お客様から見たときワンストップ・サービスとなる組み合わせであれば、それもまたひとつの事業価値となります。さらに、ひとつひとつの事業規模は小さくても組み合わせることで事業規模を拡大する、あるいは、フローからストックへのシナリオが描きやすいと言ったメリットが生まれます。

いずれにしろ、自社の現状に照らし合わせながら、「顧客価値×差別化」を最大化できるシナリオを考えてください。どうすれば、自社の売り上げが上がるかではなく、どうすればお客様が幸せになれるかが先ず優先されなくてはなりません。そして、競合他社に容易に参入されないためにはどうすれば良いかも追求する必要があります。この2つの要件が重なり合うところにポストSIビジネスの成功要因があるのです。

なお、「規模の経済」が、競争力を決定する第4象限「インフラ提供戦略」は、既存のSI事業の延長で対応することは困難と考えられることから、詳細な解説は省かせて頂きます。既にこの事業領域をもたれている場合は、それらがまだ収益を上げられるうちに、他の事業領域を拡大、あるいはシフトすることを模索された方が良いでしょう。自身が「規模の経済」を発揮できるか、よほど明確な差別化の要件を持っている場合は別として、「規模の経済」による熾烈な競争に晒されることを想定しておくことが賢明です。

それぞれの戦略とシナリオについての詳細は、「システムインテグレーション再生の戦略」に事例を交えて詳しく述べさせて頂きましたので、よろしければご覧下さい。

【図解】コレ一枚でわかる最新ITトレンド 増強改訂版

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開発と運用(68ページ)
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インフラとプラットフォーム(211ページ)
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【新規】多様化するデータベース p.127
【新規】クラウドデータベース p.156-158

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【新規】IoTはテクノロジーではなくビジネス・フレームワーク p.16
【新規】LPWA主要3方式の比較 p.52

人工知能(103ページ)
【新規】自動化と自律化が目指す方向 p.14
【新規】操作の無意識化と利用者の拡大 p.21
【新規】自動化・自律化によってもたらされる進歩・進化 p.22

テクノロジー・トピックス (51ページ)
【新規】RPA(Robotics Process Automation) p.17

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ビジネス戦略(110ページ)
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ITの歴史と最新のトレンド(14ページ)
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