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案件をクローズできない!それは「問題」と「課題」の違いを正しく理解していないからかもしれません

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「なにか、お困りのことはありませんか?」

もしもこんな質問をされたら、あなたは相手にどう応えるでしょうか。

「突然、そんなことを言われても答えようがありません」、「いゃあ、特にないですね。」、「そんなこと言われても困るよ。」

そんな回答をしてしまうのではないでしょうか。では、次のような質問は、どうでしょう。

「御社の問題は、こういうところにあると考えています。ですから、このような取り組みをされるべきだと思います。」

もし、私なら次のように回答するでしょう。

「有難うございます。なるほどよく分かりました。社内で十分に検討の上、後日、改めて連絡させていただきます。」と申し上げて、きっと何もしないでしょう。

「御社の問題」と言われても、「なるほどなぁ」と思うかもしれませんが、それを解決しなければならないほどに、差し迫っているとは思えないのです。それを積極的に解決しようという意欲もありません。

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お客さまの「課題」を見つけ、その解決策を案件にするのが、営業の仕事です。ソリューションとは、そんなお客さまの課題を解決することです。しかし、これでは、解決すべき課題を見つけることができず、案件を作れません。

では、どうすればいいのでしょうか。その答えは、普段私たちが、漠然と捉えている「問題」や「課題」という言葉の本当の意味を正しく理解することで解決できそうです。

「営業活動とは、問題を見つけることから始め、これをお客さまの課題に変えてゆく取り組み。」

「問題」と「課題」という2つの言葉の違いが理解できれば、この言葉の意味も理解できるでしょう。

まず「問題」ですが、これは事実のことです。お客さまの情報を整理することで、お客さまの現状が明らかになります。その現状が、お客さまにとって将来のリスクであり、不利益をもたらすものであるとすれば、それがお客さまの「問題」です。

ただし、お客さまは、その「問題」に気付いているとは限りません。あるいは、気付いていても、問題の重要性やこれに対処する必要性を感じていないかもしれません。そこで私たちはお客さまに代わり、お客様の事実を整理し、分析することで、そこにある「問題」を明らかにすることから始めます。

しかし、それは、私たちが勝手になんとかしなければならない「問題」だと思っているに過ぎないのです。お客さまも同じように「解決しなければ」と思っていただかなければ、お客さまは、行動を起こすことはありません。

一方、「課題」とは、この「問題」を解決したいという「意志」が、お客様にある場合です。つまり、「課題=問題+意欲」となります。

提案活動を始めるに当たり、事実としての「問題」を私たちが、知っているだけでは不十分です。また、お客さまに、その事実を伝えるだけでも意味がありません。それを解決したいというお客さまの意欲を引き出す必要があります。もし、お客さまに解決したいという意欲がなければ、貴方の提案がどんなにすばらしいものであっても、お客さまは決して受け入れません。

この違いを、正しく理解しておくべきです。独りよがりの「問題」をお客さまに押しつけても、お客さまが、それを自分の「課題」として、受け入れない限り案件にはなりません。

今日のあなたは、とてもうまく説明できたかもしれません。「これで分からないなら、分からない方がおかしい」と思うかもしれません。確かに、あなたはうまく事実=問題を伝えることが出来たのかもしれませんが、お客さまから、その問題を解決したいという意欲を引き出すところまで、お客さまと会話できたのでしょうか。

意欲を引き出すとは、「脅す」こどす。この問題を放置すれば、お客様の将来はどうなるかを、具体的な数字や可能性を提示して、「このままでは大変なことになる」ということを説明することです。一般論ではなく、お客様個別の事実に結びつけて、お客様の未来のイメージを描き、示すことです。

「問題」にとどめるのではなく、お客様の「解決したい」という意欲を引き出し、問題を「課題」にすることが、営業活動のスタートなのです。

最新版(2月度)をリリースしました!

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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*ビジネス戦略のチャートと解説を充実させました。
*人工知能の動画事例を追加しました。
*大手IT企業の現場改善大会での講演資料を掲載しました。
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ビジネス戦略編 106ページ
新規チャートの追加と解説の追加
【新規】ビジネス・プロセスのデジタル化による変化 p.6
【新規】ビジネスのデジタル化 p.17
【新規】ビジネス価値と文化の違い(+解説) p.19
【新規】モード1とモード2の特性(+解説) p.21
【新規】モード1とモード2を取り持つガーディアン(+解説) p.22

人工知能編 98ページ
【新規】Amazon Alexa (+解説) p.18
【新規】動画での事例紹介 Amazon Go p.94
【新規】動画での事例紹介 Amazon Echo p.95
【新規】動画での事例紹介 Tesla p.96
【新規】動画での事例紹介 Nextage p.97

IoT編 93ページ
LPWAについての記載を追加、また日米独の産業システムへの取り組みについて追加しました。
【新規】LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークの位置付け p.47
【新規】ドイツでインダストリー4.0の取り組みが始まった背景 p.82
【新規】アメリカとドイツの取り組みの違い p.88
【新規】インダストリー・インターネットのモデルベース開発 p.90
【新規】日本産業システムが抱える課題 p.91

インフラ編 294ページ
【新規】Googleのクラウド・セキュリティ対策 p.72

基礎編 50ページ
変更はありません。

開発と運用編 66ページ
全体の構成を見直し、チャートや解説を追加しました。
【新規】自律型の組織で変化への柔軟性を担保する p.20
【新規】超高速開発ツール(+解説) p.37
【改定】FaaS(Function as a Service)に解説を追加しました p.39

トレンド編 
変更はありません。

トピックス編 
変更はありません。

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