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人に寄り添うITへ 人工知能のビジネスについての可能性について

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「ITは難しいから・・・」とITを遠ざける「IT音痴」を自認する人は少なくありません。その理由のひとつは、「操作方法を覚えなければならないから」というものです。

そんな課題を解決しようとGUI(Graphical User Interface)が登場しましたが、それとてもアプリケーション毎に操作方法が異なり、それぞれの使い方を学ばなくてはなりません。また、スマートフォンやタブレットの登場により、最初は使い方が分からなくても使っているうちに自然と使いこなせるようになる、あるいは使って楽しい、もっと使いたいと思わせるなどのユーザーの体験を大切にする考え方「UX(User Experience)」が注目され、使い勝手は向上しました。

しかし、それでもまだまだITと人を隔てる壁が取り払われたわけではありません。特に高齢者や「IT音痴」の人たちにとっては、「ITにこちらから寄り添い、こちらが、あわせなくてはならない」という壁をどうしても乗り越えられません。

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人工知能はこの状況を大きく変えてしまうかも知れません。例えば、交通手段も限られている田舎のお年寄りが「3時に病院へ行きたいので、車を呼んもらえないだろうか?」とコタツの上のクマのぬいぐるみに語りかけると、病院の時間に間に合うように自動運転の自動車が迎えに来てくれます。そして、車が来たことを告げ、「保険証は持ちましたか?」と気の利いたことを告げてくれるでしょう。

病院で車を降りるときには、「4時に迎えに来て下さい。帰る途中に"いつもの"スーパーによってくださいね。」と告げれば、そのようにしてくれます。そんな時代の到来は、もうそれほど遠くないでしょう。音声認識と音声応答、自動車の自律走行、機械学習による行動予測などの技術を駆使すれば、「ITは人ひとり一人に寄り添い、ITが個人に合わせてくれる」ようになるのです。

テクノロジーの進化は、自動化や自律化を推し進め、利便性を高め、自らの難しさを隠蔽する進化でもあります。人工知能もまた、そんな進化の道筋に位置付けることができるのです。

ビジネスの現場でも「人に寄り添うIT」が使われるようになるでしょう。例えば、製造業の現場では、これまで、徹底して無駄を省いた業務プロセスをプログラム・コードに置き換え、それを現場に徹底して使わせること、つまり「ITに人が合わせる」ことで、業務の効率や品質の向上を実現してきました。それは人それぞれの個性をなくし、機械と一体となって仕事をさせることでもあったのです。

しかし、人や設備、材料などのあらゆる仕事の資源が、IoTによってデジタル・データに置き換えられ、その時々の最適な使い方や資源の配置・配分をリアルタイムに人工知能のシミュレーションで見つけだすことができるようになります。その情報を使って現場に指示を出し、機械を制御すれば、効率を落とすことなく、人や現場に合わせた仕事ができるようになります。IoTのところで紹介した「Industry 4.0」は、そんな「人に寄り添うIT」を実現するための取り組みでもあるのです。

合理化や効率化のためのITから、人に寄り添い現場に合わせるITへと、その役割や価値が拡がろうとしています。

ITビジネスもまた、その変化に応えてゆかなければなりません。そのためには、テクノロジーの進化がもたらす価値や役割の変化を常に学び、正しく理解して活かしてゆくことが必要となるのです。

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【更新】ITビジネス・レイヤ p.49
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人工知能(92ページ)
【新規】統計確率的機械学習とディープラーニング p.25
【新規】人工知能とは p.31
【新規】人工知能の得意分野と不得意分野 p.47
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【新規】アジャイル・ソフトウエア宣言の背後にある原則 p.60
【新規+改訂】DevOpsとは何か? p.66-69
【新規】DevOpsとコンテナ管理ソフトウエア p.74-77
【新規】マイクロサービス p.78
【新規】オーケストレーションとコレグラフィ p.79
【新規】AWS Lambda p.80
【新規】サーバーレスとサーバーレス・アーキテクチャ p.81

【ビジネス戦略編】(98ページ)
【新規】デジタルトランスフォーメーションの進化 p.7
新刊書籍「未来を味方にする技術」紹介 p.91

【テクノロジー・トピックス編】(49ページ)
【新設】FPGAについて新しい章を作り、解説を追加しました。 p.39-48

【ITの歴史と最新のトレンド編】(13ページ)
変更はありません。

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