オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

【図解】コレ1枚で分かる汎用目的技術(GPT)

»

歴史を振り返れば、経済発展の原動力となり社会構造の変化に新しい技術の登場は大きな役割を果たしてきました。しかし、全ての技術が等しく同様の役割を果たしたわけではありません。様々な分野で広く適用可能な技術が、その役割を果たしてきました。このような技術は「汎用目的技術(GPT:General Purpose Technology)」と呼ばれています。

スクリーンショット 2016-08-09 9.01.52.png

例えば、18世紀後半~19世紀中期の第1次産業革命を支えた蒸気機関は、ものづくりばかりでなく鉄道や船舶にも用途が拡がり、経済や社会の仕組みを大きく変えてゆきました。また19世紀後半~20世紀初頭における第2次産業革命を支えた内燃機関(エンジン)電力もまた社会の隅々に行き渡り、いまでも私たちの社会や生活を支える主要な技術として広く使われています。このような技術がGPTです。

これら以外にも、1940年代に登場するコンピューター、1990年代に普及が始まるインターネットなども私たちの生活や社会に浸透し、その活動に様々な影響や変化を与えてきたGPTと考えることができます。

次に来るGPTは「人工知能(AI:Artificial Intelligence)」かもしれません。AIは既に特別な存在ではなく、様々なところに使われはじめています。例えば、機械翻訳や音声による検索、ショッピング・サイトでの商品の紹介やコールセンターでのお問い合わせに最適な回答を推奨する機能など、私たちは既に日常の中で知らず知らずに使っています。また、医療現場での診断支援や自動運転自動車の登場は、AIのさらなる可能性を実感させてくれます。

このようにAIは私たちの日常の様々な分野へ広く適用可能な技術として普及が進みつつあり、GPTとしての要件を満たしているものと考えることができます。

また同時にAIの進化と普及は雇用のあり方を大きく変え、人間の役割も変えてゆくでしょう。そうなれば社会や経済の仕組みにも大きな変化が生じることになります。AIはそれほど大きな社会的影響力を持つGPTであるとも言えるのです。

ITの分野で次のGPTと期待されているのが「ブロック・チェーン」です。デジタル通貨「ビットコイン」の信頼性を保証する仕組みとして登場したこの技術は、通貨や金融取引以外にも契約や取引、認証などに必要とされる「信頼性を保証する安価で汎用的な基礎的技術」として広く使われてゆく可能性があります。

これまで通貨や取引は、国家機関や中央銀行、そのお墨付きを与えられた銀行や証券会社のような「権威」が保証することで、信頼を担保してきました。そのために多くの人材や巨大な組織を抱え、情報システムにも膨大な投資を行い、信頼を保証する仕組みを築いてきたのです。その歴史もまた信頼を保証する重要な要素となっています。

しかし、「ブロック・チェーン」はそのような権威や歴史に支えた信頼ではなく、暗号と分散処理の技術を駆使し信頼性を保証できる仕組みを安価に築こうというのです。もしこの技術が確立され普及するようになれば、国家や銀行などの役割も大きく変わり、社会や経済のしくみも変わってしまうかもしれません。そんなインパクトのあるGPTとして期待されているのです。

残念ながら、この技術はまだまだ黎明期にあり、可能性は期待されつつも実用には時期尚早といえる段階です。しかし、1990年代の半ば、インターネットは「掲示板や電子メール、ホームページという電子ポスター」程度にしか使えないと思われていた訳ですから、この技術が社会を大きく変えてしまう可能性も否定できません。

ところで、クラウド・コンピューティングやIoTはGPTと言えるのでしょうか。これにはいろいろな考え方があるようですが、個人的な意見としては「GPT」ではないと考えています。

両者は共にGPTのような汎用技術やそれを改良した応用技術を組み合わせた仕組みです。IoTを例にとれば、データを収拾するセンサー技術、コンピューターや電子機器を小型化する半導体技術、集めたデータをインターネットに送り出す通信技術、そのデータを解析し規則性やルールを見つけ出す人工知能技術などの組合せであり、それらを駆使して様々な価値を生みだそうという取り組みです。その実用性は高く、市場の成長性も大いに期待されている分野であることは間違えありません。しかし、それをひとつの技術領域としてGPTに括ってしまうのは少し乱暴なような気がしています。

いずれにしろ、世の中の変化をGPTとその応用技術として捉え、その変化を捉えてゆくと、この先にどのような未来が拡がっているかを予測することができるかもしれません。そして、そんなGPTにビジネスの軸足をのせておけば、様々なビジネス分野への応用が利くこともまた事実です。そんな視点からこれからの事業領域を考えて見るのもひとつの方法かもしれません。

【募集開始】ITソリューション塾・第23期

10月5日(水)より、次期「ITソリューション塾・第23期」が開講します。

「知ってるつもりの知識から実戦で使える知識へ」

をモットーに、テクノロジーやビジネスのトレンド、さらにはこれからのビジネス戦略に踏み込んで考えてゆこうと思います。

160808_schedukle

基本の講義以外にも特別な講義を用意しています。

【特別講師】

情報セキュリティとDevOpsについては、その分野の実践者を講師に迎え「実践ノウハウ」を伺います。

【特別補講】

参加された皆様のご要望にお応えするかたちで行う特別補講では、特にホットなテーマに関わる当事者をお招きし貴重なお話を伺います。これまでは、「クラウド4社・エバンジェリストによる各社の戦略紹介」、「IoT時代のセキュリティ対策」、「最新・SAPまるわかり」などをテーマに取り上げ、オープンな講演では先ず訊くことのできない生々しいお話を聞く機会を設けるなど、「実践」につながる講義を行いました。

【その他】

「実践でそのまま使えるロイヤリティ・フリーのプレゼン500枚」の提供も皆さんの実践をサポートするための一環です。

直近の参加実績は、以下の通りです。

  • 第20期 88名
  • 第21期 81名
  • 第22期 84名

【事前連絡のお願い】

募集開始後、比較的早い段階で定員に達することが予想されます。まだ正式に決定できない場合は、まずはメールで構いませんの参加のご意向をお知らせください。参加枠を確保させて頂きます。

詳しくはこちらをご覧下さい。

【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2016年8月版】

LIBRA_logo

*** 全て無償にて閲覧頂けます ***

最新版【2016年8月】をリリースいたしました。

【インフラ&プラットフォーム編】(295ページ)

フラッシュストレージの記述を新たに追加いたしました。

【新規】ストレージアレイの違い p.275
【新規】フラッシュストレージが注目される理由 p.277

【アプリケーション&サービス編】(250ページ)

解説(文章)付きスライドを増やしています。また、全体のストーリーを一部見直し、内容の古いチャートは削除しました。

【新規】なぜ今人工知能なのか p.147
【新規】人工知能と機械学習 p.148
【新規】人工知能と機械学習/全体の位置付け p.149
【新規】技術的失業と労働人口の移動 p.180
【更新】ウォーターフォール開発とアジャイル開発 p.220
【更新】DevOpsの目的 p.223
【新規】不確実性のコーン p.227
【新規】システム開発の理想と現実 p.228
【新規】ARとVRの違い p.248

【ビジネス戦略編】(92ページ)

記載内容が古いチャートを削除し、解説文付きのチャートを増やしました。

【新規】UberとTaxi p.4
【更新】ハブ型社会からメッシュ型社会へ p.5
【更新】これからのITビジネスの方程式 p.57
【補足】解説文を追加したチャートを増やしました。

新入社員研修教材「最新のITトレンド」 (119ページ)
【更新】原本の改訂に合わせ、内容を刷新いたしました。

閲覧は無料です。ダウンロード頂く場合は会員登録(500円/月)が必要となります。
http://libra.netcommerce.co.jp/

まずは、どのような内容かご覧頂ければ幸いです。

ITソリューション塾・福岡を開催します

既に東京・大阪で多くの皆さんにご参加頂いております「ITソリューション塾」をいよいよ福岡で開催させて頂くこととなりました。

「知っているつもりの知識から、実戦で使える知識へ」

ITビジネスに関わる皆さんや情報システム部門の皆さんが、知っておくべき「ITのいまと未来の常識」をできるだけわかりやすく体系的にお伝え仕様という取り組みで。詳しい資料はこちらからダウンロード頂けます。是非、ご検討下さい。

スクリーンショット 2016-07-29 6.15.48.png

スクリーンショット 2016-07-29 6.16.03.png

「ポストSIビジネスのシナリオをどう描けば良いのか」

これまでと同じやり方では、収益を維持・拡大することは難しくなるでしょう。しかし、工夫次第では、SIを魅力的なビジネスに再生させることができます。

その戦略とシナリオを一冊の本にまとめました。

「システムインテグレーション再生の戦略」

si_saisei_w400

  • 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
  • 身の丈に合った事例を紹介し、具体的なビジネスのイメージを描きやすくすること。
  • 新規事業を立ち上げるための課題や成功させるための実践的なノウハウを解説すること。

また、本書に掲載している全60枚の図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。経営会議や企画書の資料として、ご使用下さい。

こんな方に読んでいただきたい内容です。

SIビジネスに関わる方々で、

  • 経営者や管理者、事業責任者
  • 新規事業開発の責任者や担当者
  • お客様に新たな提案を仕掛けようとしている営業
  • 人材育成の責任者や担当者
  • 新しいビジネスのマーケティングやプロモーション関係者
  • プロジェクトのリーダーやマネージャー
Comment(0)