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営業の「プロ意識」とは?

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「営業力を強化するためには、営業にもっとプロ意識を持たせなきゃいけないと思っているんです。」

「なるほど、確かにそのようにも思いますが、でも営業のプロ意識って、どんな意識なんでしょう?」

SIerの育成担当者とこんな会話を交わしました。

営業に限らず、どんな職業にもプロ意識は必要です。イチローなんか見ていると、プロだなぁと自然と感じてしまいます。ほかにも歌手や作家、役者などなど、その道のプロと言われる人たちはたくさんいますし、「なるほど」と感じさせてくれる人は少なくありません。

その「なるほど」とは何かです。私は「こだわり」ではないかと思っています。

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自分の道を追求し、それを極めようとうとこだわり抜く。その「こだわり」の強さこそが、プロを感じさせるオーラになっているように思います。

それでは、営業にとっての「こだわり」とは何かです。私は、「数字」だと思っています。何が何でも、この数字を達成する。その執着にも似た、徹底的なこだわりを持つこと。それが、営業のプロ意識ではないでしょうか。

売上、利益、新規顧客獲得数など営業にはそれぞれに様々な数字がノルマとして課せられます。それをなんとしてでも達成する。その必達の意識こそ、プロ意識と言うべきでしょう。

運もあるでしょう。担当するお客様の経営状況や社会状況にも左右されるかもしれません。それでも、なんとしてでも目標を達成する。環境が悪ければ、それを改善するなり、ほかの道を探る。言い訳をせず、いかなる状況にあっても「数字を作る」、その執着心こそ営業のプロ意識ではないかと思うのです。

「お客様に嘘をついたり、だましたり、見栄えは良いがいい加減なものを提供し、何とか数字を作ることだってできるんじゃないですか?それでも、数字を作ればプロなんですか?」

とんでもありません。数字を作るとは、そんな簡単じゃありません。お客様も必死です。そう簡単に、受け入れて頂くなんてできるはずもありません。もし仮にそのときはごまかしが効いても、次はありません。「数字を継続して出し続ける」こともまたプロのこだわりの大切な要素です。

私達の仕事は、お客様の価値を高め、その価値に対する対価を頂く仕事です。その価値を与えられなければ数字もありません。

また競合に勝つことへのこだわりも、大切な要素のひとつだと思います。

競合のないビジネスはほとんどないでしょう。相手も必死です。その戦いに勝つことへのこだわりなくして数字はありません。勝ち負けの世界です。それから逃れることはできないのです。そのためには、巧緻策略を巡らせることも必要でしょう。ただただ何も考えず、玉砕覚悟で、正々堂々と正面突破などと言う美談では、がんばったという自己満足は与えてくれるでしょうが、数字にできる保証などありません。それではプロの営業とは言えません。

数字への執着、それを継続する力、巧緻策略を駆使できる知性と実行力がプロの営業に求められる姿ではないかと思っています。

ところで、最近、営業新人の研修で、すこし困ったことがあります。それは、数字や競争へのこだわりを「よくないこと」と考える傾向が、見受けられるからです。

「成績より態度」を重視する教育がそんな若者たちを増やしてきたと指摘する人もいます。教育評論家の尾木直樹氏が次のよう指摘をしています。

「今、教育現場で重要視されているのは、得点力よりも『関心・意欲・態度』なんです。これを文部科学省は『新学力観』として指導してきましたが、その影響で教育現場はおかしなことになっている。80点と100点では、普通なら100点の方が学力が高いとされますよね。しかし、態度が悪ければ先生から低い評価をつけられてしまう。先生から見た"良い子"という主観的な点数です。この評価が各教科ごとに設けられ、高校・大学進学に影響します。つまり子どもたちは、基礎的な学力を身につけることよりも、先生にどう評価されるかが勝負となっています。」

そして、それは先生だけではなく友達や親からどう見られるかを強く意識するようになったというのです。

人と争わず、うまくやっていくことを重視し人から嫌われることを避け、どう見られるかがとても気になります。仲間としてそのコミュニティに向かい入れられるためには、どうすれば良いかに関心があります。

そんな生き方を求められてきた若者にとっては、数字や競争にこだわることは、これまで学んできたことと全く反対のことを求められることになるわけです。これは、少々やっかいな問題であると思っています。

ビジネスは競争による切磋琢磨であり、それが世の中の進歩を導いてきた側面があります。ビジネスがグローバル化するなか、ますますその競争に立ち向かわなければなりません。

少々、大仰な話しと受け取られるかもしれませんが、営業という仕事もまた、そういう社会のメカニズムに与された職業なのだろうと思います。

このような教育を受けてきた若者たちに、このビジネスの常識を頭ごなしに押しつけるとこは、彼等の価値観の否定であり、大きな心の負担になるのではないかと心配しています。

だからこそ、その理由やメカニズム、自分たちの役割をきちんと理解させることから始めなくてはなりません。

また、日常の営業会議でも、数字を意識させる取り組みが必要です。その数字について会話し、どうすれば数字を作ることができるかを議論することでしょう。

数字へのこだわりの度合いを確かめる方法があります。それは、自分のノルマをすらすらと空で言えるかどうかです。数字をすぐに言えないようでは、数字へのこだわりが希薄であること示しています。

「プロ意識」だけで優秀な営業になれるわけではありません。お客様のこと、技術のこと、社会こと、自社製品のことなど様々な知識やスキルも身につけてゆかなければなりません。そういう総合力のプロフェッショナルが営業なのだと思っています。

しかし、そのような能力を高めるためには、自発性が必要です。そして、それを生み出す根底には「プロ意識」があることは言うまでもありません

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