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管理・統率か自律・連携か?被災地の情報基盤はどうあるべきかを議論した

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昨日、「災害時のITおよび情報支援活動」について、議論する機会があった。災害急性時の被災現場における効果的な情報の収集、活用、発信のための組織、体制を作ってゆこうという取り組みの一貫だ。この中で、「何のための情報か」ということについての議論があり、ビジネスの現場にも通用する話題と思いながら議論に参加した。

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発災後、被災地には多くの個人ボランティアやボランティア団体が駆けつける。皆志は高く、積極的ではあるが、その一方で自立心も強く、必ずしも協調や連携がうまくいくとは限らない。また、被災現場では、情報は錯綜し、情報の精度や粒度もバラバラなことが多い。こういう標準化されず、断片化された情報を頼りにボランティア個人や団体は、自分達の志を果たすべく活動を行うことになるのだが、そうなると、せっかくの支援活動も必要なところに届かなかないことや非効率なことも多い。何かをしたいが、何をすべきが分からないままに、それぞれの思いで事態に対処するといったことも起こってしまう。

例えば、誰かが避難所からTwitterで「紙おむつが足りない」と発言したとする。すると、その避難所に千パックの紙おむつが全国から送られてくる。必要な赤ちゃんは、数人しかいなくてもである。一方、情報さえ発信できない壊滅的な被害を受けたところからは、なにも情報は発信されない。そのため支援が一切届かないとぃった矛盾が生まれる。このようなことが、東日本大震災の被災地では起こっていた。

紙おむつならばこのようなことになっても、あとで足りない避難所に届けることもでき、使い回しはできるが、人命に関わることになれば、一刻を争う。この事態にうまく対処できなければ、深刻な事態をもたらすことも考えられる。

だからこそ、ITの力をうまく使い、正確な被災地の情報を迅速に収集し、適切な方法で発信してゆく仕組みが必要となる。そして、そういう情報をうまく共有できれば、支援に関わる人たちの適切な役割分担を促すことができるだろうと考えられる。

情報やITの仕組みとなると、個人や組織の活動を統率するこが目的ととらわれがちだ。しかし、鮮度や正確さ、必要とされる内容が一定水準満たされている信頼できる情報を彼らに提供できれば、もともと志の高い人たちなので、自律的、自発的な連携や役割分担を促し、結果として、支援活動の品質と効率を高めてゆくことができるのではないかと考えられる。こういう取り組みを行うことで、お互いの信頼関係も醸成され、支援活動も一層円滑に進んでゆくことになるのではないか。このような目的で情報やITを活用することが、必要なこともあるのではないかという議論が展開された。

これは、なにも被災地だけに必要なことではなさそうだ。日常のビジネスの現場でも、同様の取り組みがあってもいいのではないかと思う。情報をコントロールし、指示命令によって統率するのではなく、むしろ正確な情報を迅速に収集し、共有する仕組みを作り、個々人の自律的な行動を促す環境を整えてゆくことが、ビジネスの現場での生産性を高める基盤となるのではないか。

決して、指示、命令のメカニズムが不要だと申し上げているわけではない。ただ、人の自律的活動を機能させる情報基盤があってこそ、指示命令のメカニズムがうまく機能するのではないのだろうか。

被災地では、警察や自衛隊のように訓練された組織が、指示命令をうまく果たし多くの命を救い復旧を支えた。しかし、自律を旨として集まってくる人たちに、このやりかたは通用しない。だからこそ、指示や命令、あるいは、管理や統率ではなく、自律的なつながりを引き出す情報基盤が必要となるのだろう。

さて、具体的な体制作りはこれからだが、ITビジネスに関わるものとして、何らかの役割を果たしてゆければと思っている。

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