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CM好感度ランキングTOP10のうち、iOSデバイスに対応しているCM配信サイトがわずか3社だけという現状について

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CM総合研究所が、前・後期に分けて毎月2回CM好感度TOP10というランキングを発表している。このTOP10は、毎月2,000本以上オンエアされているCMの中から、視聴者の好感度ポイントの高い順にランキングしたもので、TOP10に入っているCMは、視聴者から高い支持を集めている作品だと言っていい。下記の図は、2011年11月度後期の最新のランキングになる。企業名を見ればおわかりの通り、誰でも知っている一流企業がズラリと並んでいる。

※ CM好感度ランキング ⇒ http://www.cmdb.jp/ranking/

1

実は、昨日アップルストア銀座店で「スマートデバイス×ビデオ活用事例-スマートデバイスとビデオがコミュニケーションを改善する-」というテーマでプライベートセミナーを開催した。その中で、iOSデバイスでビデオの視聴ができるウェブサイトが最近増えて来ているといった内容の説明をした。実際、最近ビムーブのサービスをお使いのお客さまは、ほとんどiOSデバイスへの対応を希望されており、ニーズに関して言えばiOSデバイスはAndroidデバイスに圧勝と言ってもいいほどである。

そうした背景もあって、CM好感度ランキングのTOP10に名を連ねている企業のCM配信サイトが、どれくらいiOSデバイスに対応しているか調べてみたくなった。結果は、10社中3社だけという予想外に低いものであった。


■ 東京ガス: http://www.tokyo-gas.co.jp/channel/200ch/

  ※iOSデバイス対応 ⇒ ○(iPhone、iPadでCMの視聴が可能)

2

最新のガス・パッ・チョ!を含め、全てのCMがiOSデバイスに対応している。PC、iPhone、iPad全てのデバイスで同じインタフェースを実現している。


■ トヨタ: http://toyota.jp/tvcf/name9.html

  ※iOSデバイス対応 ⇒ ×(iPhone、iPadでCMが視聴できない)

3

最新のドラえもんを始め、全てのCMがiOSデバイスで視聴することができない。また、公開日を過ぎたCMが視聴できないのにクレジットされているのも気になる。


■ ソフトバンクモバイル:  http://mb.softbank.jp/mb/campaign/3G/

  ※iOSデバイス対応 ⇒ ○(iPhone、iPadでCMの視聴が可能)

4

さすが国内のiOSデバイスの取り扱い店らしく、PCとは別にiOSデバイス専用のCM配信サイトを用意している。iPhoneまたはiPadでアクセスすると、自動的にiPhone用のサイトが表示されるようになっている。残念なのは、iPadでアクセスしてもiPhone用のページが表示されてしまう点だ。iPhoneとiPadそれぞれに最適化してくれると、ユーザはもっと使いやすいはずだ。


■ ダイハツ: http://www.daihatsu.co.jp/cm/mira_e-s/index_03.htm

  ※iOSデバイス対応 ⇒ ×(iPhone、iPadでCMが視聴できない)

5

CM配信サイトまでは辿り着くことができるが、最新のブルース・ウィリアムスを起用したCMも含め視聴するこができない。


■ グリー:なし

グリーは、TOP10の中で唯一ウェブサイト上でCMを配信していなかった。一般ユーザがYouTubeチャンネルを開設しており、そこでCMを視聴することができる。


■ 日清食品: http://www.nissinfoods.co.jp/product/cm/show_cm.html?cm_id=334

  ※iOSデバイス対応 ⇒ ×(iPhone、iPadでCMが視聴できない)

6

今や国民的に人気者になった芦田愛菜ちゃんを起用した最新のCMを始め、全てのCMがiOSデバイスで再生できない。


■ 森永製菓: http://www.morinaga.co.jp/cm/biscuit_02.html

  ※iOSデバイス対応 ⇒ ×(iPhone、iPadでCMが視聴できない)

7

最新作の小さなチョコビスケットシリーズはもちろん、全てのCMがiOSデバイスで視聴することができない。


■ 味覚糖: http://www.akb48cho.jp/cm/index.html

  ※iOSデバイス対応 ⇒ ×(iPhone、iPadでCMが視聴できない)

8

AKB48を起用した話題のCMはもちろん、全てのCMがiOSデバイスで視聴することができない。


■ エステー: http://st-sendenbu.com/cm/tmr03.html

  ※iOSデバイス対応 ⇒ ○(iPhone、iPadでCMの視聴が可能)

9

8月に好感度ランキングで1位に輝いた「消臭力」を始め、過去のCMもメイキング映像も全てiOSデバイスで視聴ができる。実装方式は、東京ガスと同じくPC、iPhone、iPad全てのデバイスで同じインタフェースを実現する方式を採用している。


■ 味の素: http://www.ajinomoto.co.jp/cookdo/tvcm/index.html

  ※iOSデバイス対応 ⇒ ○(iPhone、iPadでCMの視聴が可能)

10

最新のクックドゥを始め、全てのCMがiOSデバイスで視聴することができない。


以上、TOP10 にランキング入りしている企業のCM配信サイトの内、iOSデバイスでもCMがちゃんと再生できる実装をしているの企業はわずか3社に過ぎなかった。最低でも半分以上の企業はiOSデバイスにも対応しているだろうと考えていたので、この結果は予想を大きく裏切るものだった。

この結果を受けて、日本を代表する企業のCM配信サイトが、iOSデバイスに対応していないという事実に正直違和感を感じた。ここ最近の動向を見る限り、急速にPCからスマートデバイスの時代に代わろうとしていることは明らかである。IBMが公開したつい先日の米国のブラックフライデーに関する調査報告でも、iPhoneとiPadからのトラフィックがモバイルの中のトップだったという数字が発表されている。この事実は、消費者が利用するデバイスの選択肢の一つに、スマートデバイス(特にiOSデバイス)を選択しているということにを意味している。

企業がウェブサイトに用意しているCM配信サイトは、自社の商品を気に入ってくれている消費者に対するファンサービスだ。そのファンが、iPhoneかiPadでアクセスしてきた時に、肝心のCMが見れないようでは、十分なファンサービスができているとは言えないのではないだろうか。

このiOSデバイス対応は、実現方法が簡単な上に、プラスのコストもかからない。実際に弊社の事例では、iOS対応をしたことにより、CM配信サイトのアクセス数が5倍以上に増えたという事例も少なくない。企業の顔とも言えるCM、もっと見てもらう工夫も必要ではないだろうか。

一部のデバイスからのアクセスに対して対応しないということは、そのデバイスを持っているファンとのコミュニケーションを拒絶していることと同じだ。特に今後は、FLASHのAndroidデバイスへのサポートが終了してしまうことから、何の対策もしなければ、AndroidデバイスでもCMが見れなくなってしまう。消費者に信頼されるウェブサイトになるためにも、CMのマルチデバイス対応は、企業が対応するべき課題の一つであると考えるべきだ。

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