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YouTubeらしくないYouTube LiveはUstreamとは似て非なるもの

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4月8日にリリースしたYouTube Live。先行してライブストリーミング配信サービスを提供しているUstreamとはかなり異なるサービスのようなので、両者の違いを簡単に整理してみることにした。

なぜなら、情報を集めてみればみるほど、YouTube LiveとUstreamの共通点が、意外にも少ないということがわかったからだ。両者の共通点と言えば、ライブストリーミング配信ができることと、アカウントさえ持っていれば誰でも自由にライブストリーミング映像を視聴できるということくらい。その他の部分に関しては、逆に異なる点が多いのである。

※まずは下の図を参照してほしい。

Ustream_vs_iphone_3  

YouTube Liveで一番気なった点が、YouTubeがいままで提供してきたサービスやUstreamのように、誰もが簡単に配信できるサービスではないということ。ライブ映像を視聴することはもちろん誰でもできる。問題はライブ映像を配信したい時だ。ライブ映像を配信するためには、事前に承認を得た契約パートナーの資格が必要とのこと。この契約パートナーの資格がないと、ライブ映像を配信することはできないのである。

YouTube は、この契約パートナーの数を数か月後には数千社レベルまでに増やす計画であると発表している。ところが、この契約パートナーの拡大は、YouTubeの情報によると、一気に行うのではなく段階的に行うとのこと。理由については、映像配信の品質を維持しながら規模を拡大して行く必要があるからだとしている。この理由を聞いて、YouTubeらしくないなと感じたのは私だけではないはずだ。

こうした制限があるということは、使われ方も当然限定されてしまう。Ustreamの使われ方に多い、個人がプライベートな勉強会や飲み会などの映像をダダ漏れ配信するような使われ方は、YouTube Liveではできないということになる。そもそも、一般の個人が配信することが無理なのではないだろうか。これはあくまでも想像にすぎないが、事前に配信するコンテンツの内容について合意を得られている、それなりのコンテンツを保有しているコンテンツホルダーしか配信を許可されない可能性が高い。

予想されるコンテンツとしては、スポーツ、音楽、演劇、討論会などの、ライブとはいえ綿密に計算し尽くされた質の高いコンテンツが中心になりそうな気がしている。つまり、今までのYouTubeがウリにしていた、ユーザが意外性のあるコンテンツを見つけるというような楽しみ方は影を潜めてしまうに違いない。ハプニング性のないお行儀の良いサービス。この辺も、ちょっと今までのYouTubeらしくないと言えるだろう。

以上のことから、YouTube LiveとUstreamは、かなり異なるサービスになりそうだということがわかっていただけたかと思う。ただし、あくまでも現時点の情報を参考にした予想にすぎないといことだけはご理解いただきたい。もしかしたらYouTubeのことだ、まったく戦略を変えて、あっと言わせるようなサービスを出して来る可能性は十分ある。

間違いなく言えることは、YouTube Liveの登場によって、ライブストリーミング配信サービスの新しい市場が創造されるということ。今後は、YouTube LiveやUstreamにはない、付加価値な機能を実装した有料のライブストリーミング配信サービスが登場してくるかもしれないなど、目が離せない分野であることだけは間違いない。

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